忘れた頃にやって来る
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『もしかして俺にも嫌がらせするようになったのかあのクソガキは』
「は?お前総悟にやられたのか?」
『こんなことするの屯所の中でアイツくらいなもんだろ』
「まぁ……確かに」
土方だけでは飽き足らず、総悟は海にもイタズラの矛先を向けたらしい。これくらいのイタズラで済んでいるからまだ許せるが、土方並のイタズラになったら考えなくては。
『サボりを許してやったっていうのにこの仕打ちか。会ったらボコす』
「それに関しては何も言えねぇわ。ところで……」
『あ?』
「なんかお前小さくねぇか?」
土方はじっと海を見て首を傾げる。
『小さい?』
「いつもより一回りぐらい小さい気がするんだが」
『……鼻だけじゃなく目も悪くなったのか?』
「いや、海ちょっと立ってみろ」
『めんどくせぇな』
土方に言われるがまま海は立ち上がる。その後に続いて土方も立ったのだが、何かおかしい。
『……おい、冗談だろ』
「やっぱ小さくなってるぞお前。何したんだよ……」
『何もしてねぇよ……そんな数時間で身長が変わってたらおかしいだろうが!』
いつもなら土方の肩ぐらいに視線がいくのに、今は胸元当たりにまで下がっている。そういえばここに来るまでなんだか見え方が違うと思っていたが、これが原因だったのか。
『手の込んだイタズラにして悪趣味過ぎんだろ』
「イタズラを通り越して嫌がらせだろ。お前総悟になんか言ったのか?」
『言ってない。大体、今日会ってない』
「なら総悟じゃねぇんじゃ──」
そこで土方の言葉は途切れる。どうしたのかと顔を見上げると、土方は顔を赤くして口元を手で押さえていた。
『土方?』
「お、おおおおお前ソレ!!!」
『は?』
海の胸元を指さしながら土方は後ずさる。今度はなんだと自分の胸を見ると、普段は無いものがそこにあった。
『…………ちょっと総悟探してくる』
「いやお前その格好でフラフラすんのはやめろ!!」
部屋を出ようとしたが、肩を掴まれて部屋の奥へと座らせられる。
『なんだよ。こんなの絶対総悟のせいだろ』
「お前覚えてるか?俺たちが女になった時のことを!」
『ボコボッコとかっていう奴らにウイルスばらまかれた時だろ?そんなのとっくのとうに解決したじゃねぇか』
「それしかねぇだろ!いくら総悟でも人の性別を変えるほどのイタズラはしねぇよ!」
『そんなの──』
──教祖様の仇!!!
『あ、あれか』
こうなった理由がわかった。水をかけられたとき、男は確かにそんなことを言っていた。攘夷浪士のリーダーか何かを教祖として崇めているのかと思っていたが、そういう意味ではなく宗教団体の方の教祖だったのか。
「誰がやったのか分かってんのか?」
『一応。でも、取り逃してんだよな』
「犯人がいるなら探せばいい。今はとりあえず……」
顔を赤らめながら土方は海の方をちらりと見る。そしておもむろに自分の上着を手に取って海に掛けた。
「そのまんまじゃ良くねぇだろ。ちょっと待ってろサイズの合う服を見繕ってやる」
『別に隊服のままでも良くないか?』
「み、見えてんだよ!」
『あ?あー……』
男には無い胸。小ぶりながらも主張しているそれは海が着ている服を押し上げている。
『寝起きだったから気づかなかったけど、中々にこれは邪魔だな』
「そんなこと言ってる場合か!ここにいろよ?すぐ戻るから」
念の為部屋に誰もいないと思わせるために部屋の電気を消し、土方は廊下をバタバタと走っていった。
『どうしたものか』
まさか自分が女の身体になるとは思わなかった。土方たちがなった時は哀れに思っていたが、いざ自分がなってみるとその考えも変わる。
『……そういえばトイレがどうのこうのって言ってたよな』
何となく興味本位でズボンの中を覗く。男の象徴ともあろうものが無くなり、そこはつるんとしていた。これ以上は見てはいけない気がしてそっとボタンを元に戻して。
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