忘れた頃にやって来る
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なんやかんやで街を見回り、そろそろ屯所に帰ろうかと言おうとした矢先。
屯所近くの路地裏で何やらコソコソしている男どもを見つけた。
「こいつらまさか残党か!」
『だろうな。大方、捕まえられた奴らを助けに来たところだろ』
「ミイラ取りがミイラになるなんてよく言ったもんだな」
助けに来た割には呆気なく捕まった彼らに呆れ顔をしつつ、屯所にいる仲間に捕まえた奴らを連れて帰ると連絡しようと携帯を取り出す。
路地裏から出て携帯を耳に付けていると、道の先からじっとこちらを見ている目と目があった。
『(残りのやつか?)』
電柱の陰からじっと海を見つめている男。そいつはゆっくりとこちらへと歩いてくる。
『土方、また残りのやつが──』
「教祖様の仇いいいい!!!」
『は……』
海に向かって走ってきたそいつは手に持っていた何かを海に掛けた。頭からつま先までびっしょりと濡れ、髪先からぽたぽたと水滴が落ちる。
「海ッ!」
異変に気づいた土方が慌ててこちらへと走りよってきたが、海に水を掛けた男は取り逃してしまった。
「大丈夫か!?」
『大丈夫。別に痛くも何ともないから普通の水なんだろ』
突然の事で受身が取れなかったが、もしこれがただの水じゃなかったら。硫酸などの劇物だったら海は無事では済まないだろう。
『そうか。こういうことあるって頭に入れとかないとか』
「なに冷静に判断してんだ。早く帰るぞ」
『そいつらはどうすんだよ』
「山崎に連絡した」
そう言って土方は屯所の方へと目を向ける。門のところで山崎が数人の隊士に声をかけてこちらを指さしているのが見えた。
『騒がしいやつだな。てか、あいつまたミントンしてたのか』
隊士たちに指示をだしながら片手にはラケット。なんとも不格好だ。
「後でシバく……っと、それより着替えだ。冬じゃねぇとはいえその状態じゃ風邪引くだろ」
『今は体調崩してる暇は無いからな』
この場は山崎に任せ、海は土方と共に屯所へと戻った。部屋に行って着替えてから近藤に今日のことを報告すると何故か笑われた。
「海!お前もついに恨まれるようになったか!」
『いやなんでそんな嬉しそうなんだよ』
「俺もよく水かけられるんだよ。だから海も仲間だなって!」
『それはお妙さんに追い出されてるからだろ。俺はそんな不名誉な理由で掛けられたわけじゃない』
「いやわからんぞ?お前もどこかで女子を泣かしてるかもしれないだろ?」
『近藤さんじゃあるまいし』
そろそろお妙が我慢の限界を迎えるかもしれない。今は水で済んでるかもしれないけど、次は熱湯が来るやも。
とは言わなかったけど。
近藤の笑い声を無視して海は自室へと戻る。溜まっている書類に手をつけ、机の上が綺麗になった所で気力が尽きた。
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