狐と猫4
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「おい。てめぇ人の獲物を横取りしてんじゃねぇ」
咳き込んでいる海を抱いてこの場から逃げようとした銀時の足へと何かが絡まる。足元を見るとそこには蔦が絡まっていた。
「そいつは置いていけ」
「誰がてめぇなんかにやるか!」
池から出てきたのは見知らぬ妖怪。気だるそうに縁のところに肘をついてこちらを睨んでいる。
「お前の意見なんざ聞いてねぇんだよ。それは俺の獲物だ」
池から飛び出てきた蔦が海目掛けて伸びてくる。触れさせまいと銀時も妖力を使って火を操るが、蔦は海を追って更に伸びてきた。
『狐……!』
「海!ここから逃げろ!」
『狐はどうするんだよ!』
「俺のことはいいから早くッ」
あの妖怪の狙いは海だ。ここにいる限りあいつはまた池の中へと引きずり込もうとしてくる。銀時がここで妖怪の相手をしている間に烏天狗の所へ逃げ込んで欲しい。そこまで行けばきっと安全だから。
「早く烏天狗のとこに行け!」
『お前を置いていけるわけないだろ!』
「狙われてんのはお前!俺はこいつの相手するだけだから!それにこんな奴に俺が負けるとでも思ってんのかよ!」
伸びてくる蔦を一本一本焼き消すのには苦労する。いっその事全部燃やし尽くしてしまいたいが、ここに海が残っているとそれは出来ない。
そうこうしているうちに相手も痺れを切らしたのかため息をついた。
「邪魔だ」
男の言葉に反応して襲いかかってくる蔦の量が増える。しかも海の方を狙っていたはずが、銀時の方へと標的を変えた。自分の方へと来るのは構わない。だが、この量を相手するとなると今のやり方では間に合わない。
『狐!』
「ぐっ……」
足に手に絡みつく蔦。身動きが取れなくなった銀時の首へと絡みつき容赦なく縛る。
『おい!なんでこんなことするんだよ!』
「てめぇが逃げるからだろう。大人しくついてくればいいものを」
『なんでそんなに……』
「お前が言ったんじゃねぇのか?"また来る"ってよ」
『また……?』
「覚えてねぇとは言わせねぇ」
不機嫌そうに妖怪は呟く。海は訳が分からないと戸惑う。
「ふざけたこと言ってんじゃねぇ。コイツはお前のことなんざ知らねぇって言ってんだろうが!」
海がこの妖怪と会うなんてことは無いはずだ。ずっと自分が側にいたのだから。
池へと来る前に海は何者かに誘導されている感じがあった。もしかしたらこの妖怪は海のことを一方的に知っていたのかもしれない。集会に来ている妖怪たちと同じように海の命を貪り食うために。
「てめぇに海はやらねぇ!」
ぶわりと青い火が蔦を燃やしていく。その火は蔦だけでなく、銀時の周りの草木も燃やし始める。海がまた殺されると思ったら力の制御が出来なくなった。
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