狐と猫4
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たどり着いたのは小さな池。池の縁にぼーっと立っている海にため息を零し、もう帰ろうと声を掛ける。
「海、そんなとこ居たら危ないだろうが」
じっと池を見ているだけで海は答えず、お腹でも空いたのかと思ったがどうやら違うらしい。
「いい加減帰るぞ。またふらふらしてたら烏天狗に──」
『銀時』
不意に名前を呼ばれてビクリと身体が跳ねる。いつも"狐"と呼ばれているので、名前で呼ばれるなんて稀だ。
「海?」
『……俺ここに何しに来たんだ?』
「は?何言って……」
こちらを振り向いた海の顔は困惑。何故ここにいるんだと再度銀時に問いかけた瞬間、池の中から手が生えてきた。
「海!!」
『ぎんッ……!』
手は海の足を掴んで池の中へと引きずり込んでいく。銀時へと伸ばされている海の手を掴まうとしたが、あと一歩の所で届かず池へと沈んでしまった。
「クソッ!」
急いで池の中へと飛び込むと、海は何かに掴まれて水底へと連れ込まれようとしていた。まだ意識があるのか、必死にもがいているが相手は海のことを離さない。
「(海ッ!)」
海の腕を掴んで引き上げようとするも、引っ張られる力の方が強くて敵わない。ならばと銀時は鋭い爪で海に巻きついている物を切り裂いた。
離さないようにしっかりと腕を掴んで水面へと顔を出し、慌ててそこから離れた。
『ゲホッ……』
「大丈夫か!?」
『な、んとか……一体何が……』
「分かんねぇ……冗談じゃねぇよ。この山はほかの妖怪は居ないって話だろうが」
烏天狗は確かにそう言った。この山なら海を安全に育てられるはずだと。それなのに自分たち以外のモノがいる。海に対して敵意を向けているナニかが。
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