狐と猫4
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「いつになったら海は生まれ変わるんだよ」
「さあな」
「さあって……アンタは知ってるんじゃねぇのか」
「猫又の生き返りについてそんなに詳しくねぇ。そもそも猫又自体が希少な存在だ。誰も知らねぇよ」
「なんだよそれ。じゃあいつになるのか分かんねぇじゃん」
海が死んでから三十年経った。
あれから銀時は成長して立派な妖狐となった。今では九尾と呼ばれて周りの妖怪たちから恐れられているほどに。
この三十年の間に銀時は烏天狗である十四郎と同じくらいの大妖怪として名を馳せるようになった。
別にほかの妖怪から敬われたかったわけじゃない。ただ、大切な人を守りたかったから身につけた力だ。自分にこれほどの力があるなんて思いもよらなかったが。
「いつになったらアンタは生まれるんだよ」
猫又は死んでも生まれ変わる。銀時たちとは違って、命がいくつもある存在だ。だからこうして待ち続けているのだが、海は一向にその姿を現さなかった。
「前はどれくらい掛かったんだ」
「二年。あの時は骨を全て回収したからな」
海は一度死んでいる。銀時のいた山の麓の村に来る前に人に殺された。
土に埋められていたのを烏天狗が見つけて掘り起こし山に連れて帰った。
まだ肉体がある状態だったため、海の原型となる骨は全て残っていた。だから早く生まれ変わることが出来たし、元の姿で生まれ変わることが出来たらしい。
ただ、海は一度死んでいることに気づいていない。埋められるよりも前に撲殺されてしまったから。彼は命を一つ失ったことを知らないのだ。
「猫又って何度生まれ変わるんだ」
「九つだ。前回と今回の分であと七つだな」
「ふーん」
海の骨が埋まっている所を眺めながら銀時は適当に返事をした。
あと七回。銀時たちからすれば多い命。だが、人間たちから襲われ続ける事を考えたら少なく感じてしまう。
「次はこんなことさせねぇから」
もうその命を減らすことのないように自分が守る。その為に蓄えた力だ。
だからいつでも返ってきて大丈夫。そう呟いて銀時は土を撫でた。
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