風邪の日(銀時ver)
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喉の痛みから二日後。症状が少しは改善されるかと思いきやさらに酷くなっていた。
『おい……早めに薬飲んだだろうが……』
「あ?なんか言ったか?」
『なんでもない』
いつもの屯所での定例会議。隣に座る土方が海の独り言を拾いあげたらしく、訝しげにこちらを見つめてくる。
まだ目に見える症状は出ていないので誰にもバレてはいない。だが、喉の痛みは酷くなっていて水を飲むのも辛く、そこに頭痛と吐き気まで出てきた。
朝食を済ませたあとすぐに吐いてしまった。薬を飲んだ後だったので、それもすべて出ていってしまい症状を抑える術が消えている。
『(治るどころか悪化してるなこれ……)』
早めに対処したはずなのに良くなった気配がない。このままではどんどん悪化するのではと不安になっていく。
会議で近藤が最近また荒れている攘夷浪士による被害報告と潜伏しているであろう廃屋の場所の特定、そしてそこにいつ乗り込むかと話しているのだが、体調の悪さで全く耳に入ってこない。
「海、俺たちはここの宿を張るぞ……おい、聞いてんのか?」
『聞いてる……』
「また徹夜でもしたのか?」
『違う。ちょっと考え事してただけだ。そこの宿だな。わかった、準備しとくから』
痛む頭を我慢して土方に引きつった笑みを向ける。何か言いたげな顔をしていた土方を無視して会議に集中した。
会議が終わり次第各自準備をして屯所を出るように指示が出された。隊士らが出るよりも先に土方と海はパトカーに乗り込む。
配置場所で待機中に山崎からもらったあんぱんをちまちま胃に流し込む。土方の目を盗みつつ薬も飲んだ。
「体調悪いなら帰れよ」
『誰も体調悪いなんて言ってないだろ』
「てめぇにしては食わねぇじゃねぇか。いつも人の何倍も食うようなやつがそんなんで足りんのかよ」
『屯所で食べてるからそんなに減ってない』
「食ってきてんのにまた食ってんのかよ……」
呆れて項垂れる土方を横目に海はあんぱんを袋の中へと戻した。やはり食欲が出ない。
屯所で食べた昼食は朝食同じく戻した。これでは体力が落ちてしまう。
しかも朝の時点では頭痛と吐き気だけだったのに今では寒気も感じてきている。これはもう薬が負けてしまっている気がしてならない。
早く終わらせて帰らなければ。攘夷浪士たちを捕まえればある程度は落ち着く。その間休ませてもらえれば風邪は治せるはずだ。
だから今日だけ頑張ればいい。
車の中で待機すること二時間。いつもなら何とでもない時間だったが、風邪をひいている状態では地獄以外のなんにでもない。
ようやく現れた攘夷浪士たちを捕まえた時にはもう意識は朦朧としていてまともな思考は出来なかった。
取り調べやなんやらを考えなくてはいけないのに頭が回らず、すべて土方に任せてしまった。屯所までの帰り道、用があると言って途中で降りた海は見慣れた看板を前にしてぼうっとしていた。
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