狐と猫 3
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『十四郎?』
海を見つめたままぼーっとしている十四郎に声をかける。名前を呼ばれてハッと我に返った彼は海の頭から手を引いて咳払いをした。
「もう妖力がないだろ」
『多少は残ってる』
「耳が出てる状態で何が残ってるだ。補給してやるからこっち向け」
ずいっと顔を出して十四郎は待ち構える。猫又となってから何回もしていることなのだが、一向に慣れないものだ。
『これ別のやり方は無いのか……?』
「ない。これが嫌なら直接入れるしかない」
『直接?』
「……直接入れた方が早いが……お前は嫌がるだろ」
『嫌がるも何もやり方が分かんねぇからなんとも言えないんだが』
教えろと言っても十四郎は口の中でモゴモゴとしているだけで説明しようとしない。そんなに言いづらいやり方なのかと問えば、十四郎は顔を赤くしてそっぽ向いてしまった。
「その……お前の腹の中に……」
『腹の中に?』
「い……いれるんだよ」
『妖力を?』
「ああ……。」
腹に直接入れると言われてもピンと来ない。大体、腹の中にどうやって入れると言うんだ。
「この方法は手間もかかるし、お前の身体への負担が大きい。だからいつも通りのやり方でやるぞ」
『……わかった』
今の体調では出来ないやり方なのだろう。ならば仕方ないと海は諦めた。
「海」
『ん、』
十四郎から妖力をもらうべく海は目を瞑る。
近づいてくる十四郎の気配に緊張し、掛けられていた布団をキュッと握った。
顎を掴まれてすぐ、唇に柔らかいものが触れる。海の口を塞ぐように十四郎は深くキスをしてきた。
『ん……ふっ……』
少しずつ流し込まれた妖力は全身に染み渡るように広がっていく。妖力が枯渇していた身体は貪欲で、海の意思に反して求めてしまう。
『と、しろ……』
「ちゃんと入れてやるから待て。大量に流し込んでもお前の体は受け止めきれないだろ」
そう言って十四郎は数回に分けて海の身体に妖力を流し込んだ。
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