お迎えにあがります
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「海……お前ッ」
『ん?あぁ、これくらい大したことねぇから気にすんなよ』
土方を縛っているロープを刀で切れば、土方は海の肩を掴んで心配気に顔を覗き込んできた。
これくらい何ともないと言う風にへらりと笑う海。
「そんな怪我でフラフラしてんじゃねェ!」
拘束した男を外に運ぼうとした海の腕を掴む土方。その手の力があまりにも強く、海は痛みに顔を歪めた。
「ちょっとちょっと。こんな所で喧嘩なんかしないでくんない?」
「万事屋ッ……!テメェもだ!よくも近藤さんを……!」
木箱の中に入ったままの近藤の頭を見た土方は銀時を忌々しげに見つめ、恨みの込めた拳を振り上げた。
『落ち着け、土方』
「これが落ち着いていられるかッ!近藤さんは……俺らのために!!」
『これのどこが近藤さんだって?』
海は呆れた顔で溜息をつき、近藤の頭を鷲掴んだ。
持ち上げられた近藤の頭を見て目を背ける土方。海はおもむろに近藤の頭を放り投げて刀で真っ二つにした。
「なッ……」
『短時間でよくここまで精巧に作ったじゃねぇか。あのオッサンの腕も中々捨てたもんじゃないな』
「だろ?一時間くらいで作り上げてくれって言ったら文句言われたけどよ。海が誘拐されたって言ったら顔色変えて作ってくれたんだよ」
ゴロリと床に落ちた近藤の頭。中身は配線や鉄の塊が詰められたカラクリの頭だった。
首から漏れ出していたのは錆びた油。赤くなったそれは、血と変わらない色。
「それにしてもよくわかったじゃねぇか。偽物だってよ」
不思議そうな顔で海を見るに銀時に海は間をおいてから口を開いた。
『……お前がするわけないだろ』
「それはどうも」
銀時は海から顔を背けて頭をガシガシとかいた。ちらりと見えた銀時の耳はほんのりと赤くなっているのが見え、海は苦笑いを浮かべた。
その後、土方と海を迎えに来た近藤たちがボロボロになった海を見て喚き散らしていたのを海は拳骨を落とすことで収めた。
誘拐犯を近藤たちがせっせと外へ連れ出している時、海は足元がふらついて壁へと手をついた。
咄嗟に周りを見渡せば、海がふらついたことに気づいた人間は誰もいない。ホッと安堵の表情を浮かべて海はしっかりと立ち直した。
「兄さん!犯人はパトカーに運んだよ!」
『わかった。後で尋問するから屯所に連行していてくれ』
「うん!」
パタパタと部屋を出ていく朔夜の背を見送る。
朔夜について行くように総悟と新八と神楽が走っていく。子供らが海の前から居なくなった途端、海はその場に座り込んだ。
『あ"ー……』
土方にはなんでもないと笑っていたが、実の所物凄くしんどかった。散々殴られた頭はずっと鈍い痛みが続いている。肩の方も関節が外れているのか、動かす度に息の詰まる痛みが走った。
『……痛い』
それでも子供らの前ではとしっかり立っていたのだが、彼らの目が無い今、見栄を張る必要もなくなった。
「海、」
座り込んで動かない海にかかる人影。
『流石に疲れたわ』
「当たり前だろうが。そんだけ殴られてりゃしんどいだろ」
海と同じようにしゃがんだ銀時は海を横抱きにして持ち上げた。
『電話で言ってたことってなんだよ』
そう言えばと海は切り出す。電話で銀時が言っていたことを海は思い出していた。
「あー……それね。実はさ……海たちが……」
『俺たちが?』
言いづらそうに歯切れ悪く言う銀時を見上げる。ちゃんと話せ、と言うようにじっと見つめていると、銀時は観念したようにぽつりぽつりと話し始めた。
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