お迎えにあがります
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「で?どうやって探すのよ。目撃者も居ない、どこで居なくなったのかも分からない。そんなんでどーすんの」
海と土方を探しに出た銀時は前を歩く神楽と新八に声をかける。
新八は眉間に皺を寄せて気だるそうに歩く銀時を怪訝そうに見た。
「海さんがいなくなっちゃったんですよ?心配じゃないんですか?」
「そりゃ心配だけどよ。あの海だぜ?どうせひょっこり出てくるだろ」
「そうかもしれませんけど……でも、やっぱ心配じゃないですか。土方さんも一緒に居るのに二人一緒に行方不明だなんて。何かあったに違いませんよ」
だからその二人ってのが気になるんだろうが。
腕の立つ二人がそう簡単にやられるはずが無い。これは誘拐とかではなく……。
「駆け落ちかもしんねェじゃん」
「はい?」
「なんでもねェ」
ぼそりと呟いた言葉は新八には聞こえなかったのか、首を傾げてこちらをじっと見つめていた。そんな新八に気にするなと声をかけ、頭を乱暴に撫でた。
「それでどこ探すんだ?」
「定春に海の匂い辿ってもらってるアル」
「ちゃんと嗅ぎ分けれんのかよ」
クンクンと海の私物である着物の匂いを嗅ぐ定春。
家を出る時に神楽が寝室の箪笥を漁っているのが見えたが、これの為だったのかと納得した。
「銀ちゃん!定春が!」
突然走り出した定春を慌てて神楽が追いかける。新八と銀時も顔を見合わせ、神楽たちを追うべく走り出した。
「おい……何処まで走んだよ!」
「わかんないネ!でも、定春が何か見つけたアル!」
バタバタ走る定春を追ってかぶき町を走り回る。そろそろ疲れてきた頃に定春はピタッと足を止めた。
「な、にかあったの?」
「定春?海の行方分かったアルカ?」
新八は息切れしながら定春が見ている先を見た。そこは何の変哲もない民家の間の路地裏。太陽の届かない薄暗い場所。定春はじっと陰湿な空間を見つめたまま動かなかった。
「定春、ここに何かあるの?」
新八の問いに定春はひと鳴き。困ったように新八は銀時を見上げ、その視線に気づいた銀時は面倒くさそうに路地へと歩いていった。
「こんなところに何があるってんだよ。どうせここら辺で駆け落ちしたかなんかだろ。全く、海も隅に置けないわ」
駆け落ちした、と疑っている銀時はもはや海を探す気もない。海に裏切られた気がしてそんな気分にはなれなかった。
端から疑うなんてしたくはないが、そう思ってしまう要因が多々ありすぎるのだ。
駆け落ちするならどうぞ。ただ単純にフラれたとかならまだ追いはするが、こんな形で逃げられたんじゃこちらとて気分が悪い。もう勝手にしろ。二度とそのツラ見せるなと言いたい。
「あーあ、俺としては大事にしてたつもりなのによ。なんでこうなるんだか……あ?」
悪態つきながら路地裏を歩く銀時のブーツが踏みつけたもの。何かと思って足を上げると、底には粉々になった注射器が落ちていた。
「なんだこれ」
民家の路地には似つかわしくない物がそこにある。しゃがみこんで割れた注射器をよく見た時、地面に赤いものを見つけて目が点になる。
「……まじ?」
赤い点は転々と続いており、通りに出る手前で途切れていた。
それはここで誰かが怪我をしたということ。そして不自然に途切れた血はそこで乗り物か何かに乗せられたのであろう。
「マジかよ……これ後で謝んねェと」
疑ってごめん。これからはちゃんと探す。
割れた注射器と地面に付着している血を見て、銀時は申し訳なさそうに眉を下げた。
「坂田さん!!!!」
自己嫌悪に陥った銀時を呼ぶ声。今度はなんだよと俯いた顔を上げると、路地の先に朔夜が立っていた。
「兄さんが……!兄さんと土方さんが!!!」
「見つかったのか!?」
「で、電話が!誘拐犯から電話が来たんです!!」
あぁ、やっぱり。駆け落ちなんてバカな話ではなく、本当に海と土方は誰かに誘拐されていたのか。
泣きそうな顔で叫ぶ朔夜の声を聞きつけた神楽と新八が傍に走りよってくる。銀時たちは朔夜に急かされるようにして真選組屯所へと走り出した。
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