お迎えにあがります
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ガチャリと扉が開く音が耳に入り、椅子に縛り付けられている海はその音に身構え、狸寝入りを続けた。
足音からして五人くらいだろうか。
男達は部屋に入るなり海の髪を鷲掴んで顔を無理矢理上に上げさせた。
「まだ起きてねぇのか」
「殴りすぎたんじゃねぇか?そっちの男も目を覚まさねぇしよ」
「ハッ、これが幕府の犬って言うんだから笑えるよな」
ゲラゲラと笑う男達。海の髪を掴んでいた男はその手を離し、項垂れた頭へと振り下ろした。
ガツンッと頭を殴られる衝撃。思わず文句を言いそうになった口を慌てて引き締めた。
ここに来てからどれだけ経ったのかは分からない。
土方との見回りの途中、突然襲われてここへと連れ込まれた。
民家の路地で蹲っていた男。どうしたのかと声をかけた海に向けられた刀。そこまではハッキリと覚えている。
そこからの記憶が全くもってない。土方も共にここに居るということは、あの場で自分たちはこの男たちによって拉致されたということ。
どういう理由なのかはまだ分かっていないが。
「おい、どうすんだ?」
「どうするもこうするもねぇだろ。コイツらが起きなきゃ始まらねぇんだ」
「そうだけどよ。いつまでもこのままじゃどうしようもねぇだろ。もうどっちか起きるまで殴っちまおうぜ」
そう言った一人の男が海の方とは違う方へと歩いていく。
『(やばいな……)』
男が向かった先にはまだ眠ったままの土方がいる。ここに来る前に大分手酷くやられたのだろう。頭からは血を流し、ぐったりと椅子に座っていた。
自分が意識を失っていたのはどれくらいだったのか。その間、土方はアイツら相手に応戦していたのか。
「どっち起こそうと構わねぇけどよ。俺ァ、めんどくせぇことは嫌ェなんだよ」
だから、と呟いた男はニチャリと笑って海を蹴り飛ばした。
『……ッ……』
「起きてんなら言えよ」
椅子ごと倒れた海が床に頭を打ち付けた痛みで呻く。
倒れ込んだ海の前にしゃがみ込んだ男は下卑た笑みで海を見下ろした。
「お前に決めたわ」
「ソイツにすんのか?なんか弱そうじゃねぇ?」
「最初に起きてた方にやるって言っただろうが」
「そうだけどよ……つか、よくソイツが起きてたの気づいたな」
土方を殴ろうとしていた男が驚いた顔でこちらを見た。海の前にしゃがんでいる男は海の髪を掴んで引っ張る。
「上司がボコられんの耐えられなかったのかな?あ?殺気がダダ漏れなんだよ坊主」
『う"ッあ"!』
持ち上げられていた頭を床へと思い切り叩きつけられて視界がブレる。じわりと濡れる髪。
「美人顔が痛みに歪むなんてイイもんじゃねぇか」
ゲラゲラ笑う男に海はゆっくりと目を見開き、相手を射殺さんと鋭利な瞳で睨みつけた。
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