お迎えにあがります
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「海がいるなら大丈夫じゃねぇの?……と言いてぇ所だが……アイツも馬鹿みたいに無理すっからな」
土方一人ならてめぇらでどうにかしろと追い出せるのだが、海が関わっているとなるとそうも言えない。
海の実力は嫌という程知っている。そこら辺のヤツに簡単にやられるようなタマでは無いことを。そんな海が行方不明になった。
いつぞやの狛犬の時のように軟禁状態にあるのか、それとも攘夷浪士だかなんだかに狙われて拉致されたか。
共に土方がいたのであれば、相手と応戦して怪我をしたか。はたまたどちらかが人質にされたか。
「(嫌な考えしか浮かばねぇな)」
はぁ、とため息をついた銀時は近藤から目を天井へと移した。
「銀さん、海さんたちは大丈夫ですかね……」
「海がやられるわけないアル。どうせマヨラーが足引っ張ったネ」
左右から海を心配する声が上がるが、銀時は気にせず天井を見つめ続けた。
別に心配していないわけではない。誰かに誘拐されたと言うのであれば今すぐにでも探し出して助けに行きたい。
巻き込まれ体質の海の事だ。きっと今回も面倒事に巻き込まれたに違いない。
そう思う反面、
「(最近……仲良いんだよな。アイツら)」
銀時の天井を見る目がスッと細くなる。思い浮かぶのは土方と海の二人の姿。
時折、外で見かける二人は楽しそうに話をしていた。海と土方の距離が縮まったのは何となくわかる。
総悟の姉のミツバの件。あの時は海が土方を一人にさせられないと言って助けに行った。
真選組のクーデター事件。伊東鴨太郎が起こした動乱のせいで、土方は真選組を追われた。その件も海が傷つきながら奮闘した。
あれからだ。土方が海を離さなくなったのは。どこに行くにも金魚のフンのように引っ付いては、海の事を見守るようにそばに居る。
町中で海を見つけた時に銀時が声をかけようものならボディーガードかと言いたくなるくらい邪魔された。
そのせいで最近中々海と二人きりになる機会が減った。見回りの最中なのだから仕方ないというのはわかるのだが、少しくらい良いじゃないかと思ってしまう。
「……なんかなァ」
だから、思ってしまうのだ。もしかして、を。
「銀ちゃん?どうしたネ」
きょとんとした顔で神楽が銀時の顔を覗き込む。視界に入った顔へと視線を向けると、不思議そうに見つめてくる目と目が合った。
「いんや、コッチの話」
「心配アルか?海のこと」
「そりゃァねぇ?」
「海なら大丈夫ネ。早く見つけて誘拐したヤツらボコボコにするアル!」
誘拐じゃなかったらどうすんの?お前。
なんて言ったら目の前の子供はどう思うだろうか。何言ってるんだと銀時を怒るだろうか。
海と土方を探すんだと意気込んでいる新八と神楽を横目に、銀時は複雑な感情を胸に抱いたままソファから立ち上がった。
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