お迎えにあがります
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依頼のない暇な平日の万事屋。
銀時は暇そうに頬杖をつきながらテレビのドラマを見ていた。
横では神楽が定春と戯れ、新八はお通の曲を歌いながら掃除をしている。
そんなゆったりとした万事屋に突然、ピシャンッ!と乱暴に戸が開けられた音が響いた。
「よ、万事屋ァァァァ!!」
「あ?」
「な、なんですか急に!」
「だ、誰アルカ!?」
玄関から聞こえてくるのは店主である銀時を呼ぶ野太い声。その声に聞き覚えのある銀時は面倒くさそうに椅子から立ち上がった。
あの男が来る時は大抵良くないことが起きる。どうせまたお妙のケツを追いかけている間に厄介事に巻き込まれたか、その男が所属しているところで一悶着あったかだ。
もしそうであれば大人しく帰ってもらおう。大人しく帰らなくても帰らせる、絶対に。銀時はそう決めて玄関へと向かった。
「今度はなんだよ。また新八のねーちゃんにでも殴られたか?」
玄関へと顔を出せば、想像してた通りの男が立っていた。銀時の恋人である海の上司。近藤 勲。
近藤は銀時の姿を見た途端、くしゃりと泣きそうな顔をして銀時の両肩を力強く掴んだ。
「万事屋!!頼む!!トシと海を一緒に探してくれ!!」
「は……?」
「一昨日の夜の見回りから帰ってきてないんだ!隊士達に探してもらったんだが、見つからねぇんだ!」
玄関先で騒ぐ近藤を銀時は呆然と見つめていた。土方と海が行方不明になった。助けて欲しいと懇願してくる近藤。
「と、とりあえず中入ってください!ね?銀さん!」
「あ?あ、あぁ」
ぼーっとしている銀時に新八が声をかける。
近藤をソファに座らせ、その向かいに銀時達三人が座った。
「海さんと土方さんが行方不明になったって本当なんですか?」
「あぁ……アイツらの携帯に電話してもでねェし、予定されてた巡回ルートを辿って見たが何も無かった」
そう言って項垂れた近藤。先程話していた時は気づかなかったが、近藤の目の下にはクマが出来ていた。ここ数日、二人が見つからないという不安で眠れないのか、それとも夜中まで探し歩いたのか。
「見回りに出る前になんか言ってたりしてないのかよ」
「いつもと変わらん。普通に見回りに行ってくるって……海は笑顔で出て行ったんだ」
「町のヤツらは?」
「へ?」
「町のヤツらは見てねぇのかよ。外歩けば町民に囲まれるようなヤツだぜ?誰かしらの目には止まってるだろ」
町民のアイドルのような存在の海ならば、失踪する前に目撃されているはず。見回りに出れば昼でも夜でも声をかけられるているのだ。その日もきっと誰かに声をかけられているはず。
行方不明になる原因までは突き止められなくても、最後の足取りぐらいは分かるはず。
「……それが……」
「なんだよ」
俯いていた顔が更に下へと向けられる。歯切れ悪く呟いた近藤に銀時は眉を潜ませた。
「誰も……見ていないんだ」
「は?ンなことねェだろ。夜中に見回り行ったワケじゃねぇんだろ?」
「そらはそうなんだが……誰も見ていないって言うんだ。海がよく世話になってる八百屋の主人はその日、地域の集まりで店にいなかった。魚屋の主人も同じ理由だ」
丁度、海達が見回りに出た時間帯は自治体主催の宴会により町民達が一箇所に集まっていた。海をよく知る人物がこぞっていつもの場所にいなかった。
「他は……。その巡回ルートをたまたま歩いてたヤツとか」
「隊士たちが目撃情報を募ってるんだが、中々集まらなくて」
八方塞がり、とはこの事を言うのだろう。あれやこれやと手を尽くしてみたが、どれもこれも二人の行方に繋がるものは見つからなかった。
その結果、近藤は藁にもすがる思いで万事屋の戸を叩いた。叩いたどころか壊れていたが。
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