祭囃子
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「ほらよ」
『え、なんで晋助これ持ってんの?』
「俺の口にばっかり入れるからてめぇは食ってねぇだろが」
廃屋へとつき、寝るためにと刀を腰から抜いていた俺に差し出された物。それは祭りで売ってたべっこうあめ。すぐに食べれるものを選んでいたから買うことのなかったものがそこにあった。
『いつの間に買ってたんだよ』
「お前がかき氷買ってた時にな」
『あ、なるほど』
「それ食ってとっとと寝ろ」
『お、おう』
差し出された飴を受け取ると、晋助は明日の作戦を考えるためにと部屋へ行ってしまった。受け取った飴をじっと見て微笑む。
『もったいなくて食べられないじゃんか』
もらった飴を大切そうに抱えて俺はそのまま寝た。いつ食べようかなぁなんて思いながら飴を眺める。
数日の間は飴を食べることなく大事に取っといたのだが、銀時と桂が帰ってきた時にはその飴は無くなってしまい、必死に探したところ銀時が食べてしまったと謝ってきた。
『た、食べちゃったの!?』
「お、おう……まずかったのかよ」
『あ、あれは……楽しみに取っといたのに……』
「うっ……わ、悪かったって」
「おい、お前ら何してんだ」
「げ、高杉」
「あ?……海?」
しょぼける俺に近寄ってくる晋助が俺の頬へと手を添える。どうした?と聞かれて、あのひもらったべっこうあめ食べられちゃったと言うと、ピシッと固まる晋助。
「お前……またあの飴持ってたのかよ……俺はてっきりもうねぇもんだと……」
『だって勿体なくて食べれなかったんだよ!』
「そ、そうかよ……。誰に食われたんだ」
そろりと目を動かして銀時を見る。銀時はゆっくりと後ずさりしながら俺たちから距離を置く。その態度に晋助は悟り、腰にある刀へと手を伸ばした。
「てめぇか……銀時ィ」
「いや、だって美味しそうだったからさ!あんな置いてあったら誰でも食べちゃうでしょうが!」
「誰のもんかも確認せずに食ったってか?あ?」
「だから悪かったって言ってるじゃん!!」
脱兎のごとく走り出した銀時を追う晋助。その場でえぐえぐと泣いていたら桂に肩に手を置かれて宥められた。
「まったくあいつらはまた喧嘩してるのか!ほら、海。泣くな。どうした?銀時と高杉にいじめられたのか?よしよし、泣くでない」
『桂ぁぁぁ!』
頭を撫でる桂に飛びついてびえーーんと泣く。よーしよーしと頭を撫でられていたら、後ろから晋助と銀時がこちらへと走ってくるのが聞こえた。
「「どさくさに紛れて海を抱きしめてんじゃねェェェ!!!」」
「ぐふぅぅぅ!!!」
結局、2人の喧嘩は3人の喧嘩となった。もうその頃にはどうでも良くなっていた俺はふらりとその場から姿を消した。
『……今日も平和だな……』
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