祭囃子
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『おおお!!!』
神社へと来ると、少ない人達とはいえ賑わっていた。色んな屋台が立ち並ぶ中をあっちへきょろきょろ、こっちへきょろきょろと動き回る。
「おい、うろうろすんじゃねぇ。ガキかてめぇは」
『だって晋助、ほら!』
晋助の着流しをくいっと引っ張って屋台を指差す。カルメ焼きやらべっこうあめやらと色んな甘いものが並んでいる屋台を見て目を輝かせた。
「ここで食ってけ。持ち帰んな」
『おう!晋助は何食べる?』
「俺は別に……」
『晋助ー!!』
「おい!人の話を聞けェ!!」
晋助の言葉など聞かずに神社の奥へと進み、屋台を見る。後ろから晋助が慌てて追いかけてくるのを見て笑っていた。
まず最初にとカルメ焼きの店で一つ買う。受け取ったものを口の中へと放れば、じんわりと広がる甘さ。くーっ!とにやにや笑うと、隣で晋助が呆れた顔で俺を見ていた。
「バカか」
『晋助も食べてみればわかるって。ほら!』
「だから俺はっ」
開いた口の中へと無理矢理突き入れれば、大人しく動く口。どう?どう??と問いかけると甘いと一言返ってくる。
『よし、次行こう!』
「はぁ……」
カルメ焼きの店から今度はベビーカステラへと移動。そこでもいくつか買っては晋助の口の中へと放り込む作業を行った。
もう何も言わずに無心で食べる晋助に笑みを浮かべる。
鬼兵隊総督として頭を働かせる彼には甘いものが必要だろう。普段摂取することの無い糖分をここで補っておかなくては。
ちょこちょこと甘いものを買っては晋助の口の中へと突っ込み、もぐもぐ食べる晋助をひたすら見ていた。
「おい、いい加減帰るぞ」
『あ、そっか。30分経ったのか』
晋助に腕を引かれて神社の出口へと歩き出す。暗い夜道を2人で歩く後ろで、ひゅるひゅるとなにかが上がる音が聞こえた。
『晋助……』
「花火か」
『うん。まだこんなの残ってんだな』
「そうだな」
『なぁ、晋助』
「あ?」
『今度はさ、みんなで来ようよ。全部終わったらみんなで祭りに遊びに行こうよ』
「……俺ァ……お前と……」
『なに?』
晋助が何かを呟いたのだが、それは花火の打ち上がる音でかき消されてしまいそうな聞こえなかった。聞き返しても答えてくれない晋助に首を傾げつつ、歩き出すその背を追った。
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