事件ファイル(1)後編
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辺りを警戒しながら建物内へと侵入する。中は銀時が来た時と何も変わらない。夜逃げでもしたのかというくらい当時のものが残っているままだ。
「ええと、確か一階の仕掛けは全て驚かす物でしたよね」
「そのはずだが……入口に設置された爆弾の事を考えると気は抜けねぇだろう」
相手はこちらを確実に殺しにかかって来ている。銀時たちを驚かして帰そうなんて微塵にも思っていない。
『山崎さん、見取り図を借りてもいいですか?』
「うん。何か思い出せるかな」
一階の見取り図を山崎から受け取った海は紙と実物を交互に見る。
『ああ……銀時さん』
「どうした?何か分かったか?」
『そこから全員動かないでください』
「え?」
見取り図を山崎に返したかと思えば、海は銀時の腰にある木刀へと手を伸ばす。
「海?」
『みんな下がって』
土方たちを玄関の方へと下がらせ、海は木刀を天井へと投げつける。がしゃん!という音と共に何かが床に落ちてきた。
「なんだあれ」
『人感センサーです。僕たちが中に入った途端、動き出したので』
「人感センサー?」
『人の動きに反応したのか、それとも体温で反応したのかは分からないけど……』
木刀を取りに行こうと歩き出した海の後を追う。床に落ちていたのは監視カメラのようなもの。これで自分たちの動向を探ろうとしていたのか。
「見取り図見ただけで分かるもんなの?」
『カメラがあった場所は丁度僕たちが入ってきたところの死角にあったから。僕たちに気付かれずに探ろうとしてたんだと思う』
「へ、へぇ……でもよく気づいたな」
『なんだか見られている気がして』
気持ち悪い視線を感じて周りを見たらカメラがあった。海たちが動くのに合わせてカメラが点滅していたからもしかしてと思って海は木刀を投げつけたと言う。
「犬みたいな鋭さだよな本当に」
『犬?』
「褒めてんの」
『そうなの?えっと……ありがとう?』
バカにするなと言われると思いきや礼を返されてしまったものだから銀時は口元を引き攣らせる。
「海、そこは怒っていいんだからね?」
『え?褒められたのに?』
「犬と一緒にするなって言ってくんない?」
『うん?』
「あ、なんでもないです」
ダメだ。今は素直に言葉を受け取ってしまう。言葉に気をつけなくては。
「どうすんだ。カメラがあったってことは俺たちが来てることが相手にバレてるってことだろ」
『うん。だから気をつけないと』
粉々になったカメラを忌々しそうに見る土方。山崎から見取り図を受け取り、再度皆で確認する。
「海の記憶を取り戻すために来たのが、まさかこんなことになるとはな」
「でも副長、行方不明になってた伊敷山の息子の足取りが掴めるなら一石二鳥じゃないですか?この廃病院の取り壊しをさせるべきですよ」
「そりゃそうだが……」
「それに病院内にまた仕掛けを張ったとなれば、史彦は父親と同じように攘夷浪士を匿ってる可能性もあります」
「蛙の子は蛙ってことか」
「待てよ。そしたら俺たちはなんで狙われてんだよ」
「お前、依頼されてここに来たと言ったな。何を運んだんだ」
女に渡された小包。片手で持てる程の箱は人に贈るような梱包をされていた。綺麗にリボンが結ばれていたから開けるのは良くないと思ってそのまま運んだ。
だから中身の確認などしていない。
「てめぇらが運んだそれは攘夷浪士どもに関するもんじゃなかったのか」
「知らねえよ。勝手に中を見れねぇんだから」
「チッ……使えねぇ野郎だ」
「あ?なんか文句あんのかよ」
「ま、まあまあ!僕たちを狙っているのか、それとも攘夷浪士の人達が匿われてるのかはさておき、今はとりあえず海さんの記憶が戻るかですよ」
銀時と土方の間に身を滑らせた新八に宥められ、銀時はガシガシと頭をかいた。
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