事件ファイル(1)前編
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『行ってくる』
「ああ、気をつけてな。何かあったら電話しろ」
『ん、』
結局、土方は書類が終わるまで部屋の前で休憩していた。見廻りの時刻となって屯所を出ようとする海を玄関先まで見送りに来て。
「海」
『なんだよ』
「無茶すんじゃねぇぞ」
『それは他の隊士に言ってくれ』
それだけ残して戸を閉める。
原田の一件があってから隊士たちは警戒を強めている。気を引き締めてくれるのは良いことだが、怪しい人物を見かけたらすぐに尾行してしまうようになってしまった。攘夷浪士を早く捕まえたいと焦るあまり、彼らは自ら危険に首を突っ込んでいる。
幸いなことに全て勘違いで済んでいるものの、本物を当ててしまった時が心配だ。原田の仇だと言って乗り込まなければいいが。
『無理か。血の気の多いやつらだし。それに仲間想いだから』
気持ちはわからなくも無い。自分も攘夷浪士を見つけ次第潰そうと思っているから。無駄な犠牲を払わないようにするには自分一人で行ってしまった方がいい。そう思っている。きっと彼らも。
『団体行動を乱すなって怒られそうだな』
どこかのマヨラーに。
「あっ、海さん!」
『新八?』
もう少しで万事屋の前を通りかかるというところで新八と鉢合わせた。
額に汗を浮かべて焦りの表情をしている。
『どうした?』
「海さん、銀さん見ませんでしたか?」
『銀時?いや見てないけど』
「そ、そうですか……」
海の言葉に新八は落胆したように肩を落とす。
『何かあったのか?』
「それが、数日前から帰ってきてないんです」
『またパチンコに行ってるとかじゃなくて?』
銀時はたまにふらっと帰ってこない時がある。その時はいつもパチンコで負けてそこら辺で酔いつぶれていたり、長谷川とともに公園で寝ていたりしているのだ。その度に海が見廻りで見つけ、家まで引きずって連れ帰ってくる。
だが、今日はまだ見ていない。
「先日依頼の電話があったんです。何かを運んで欲しいとかで銀さん出ていったんですけど……」
『それきり帰ってきてないってことか』
「はい……。銀さんが電話に出たから依頼人のことはよく分からなくて。だからこうして探してるんです」
それでも銀時は見つからない。そう言った新八は心配そうに俯いた。
『神楽も探してるのか』
「はい。定春に銀さんの私物を嗅がせて跡を追ってもらってます」
『そういう時って動物は頼りになるな』
マスコットキャラクターと化してる定春も立派な万事屋の仕事をこなしている。いつも銀時の頭をガムか何かだと思って噛んでいるけれど。
「海さん、銀さんの捜索手伝ってもらえますか?」
正直、今は銀時に構っている暇は無い。でも、新八がこれだけ困っているのだ。
『わかった。探してみる。見つけたら半殺しにしてもいいか?』
「はい、大丈夫です」
これだけ周りに心配をかけたのだからそれぐらいは許されるだろう。
『荷運びを頼まれてから行方不明、か』
なんだか嫌な予感がする。
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