事件ファイル(1)前編
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「海、お前この後見廻りだったよな」
煙草を吹かしながら部屋に来た土方。部屋が煙臭くなるから煙草をやめろと言ったが聞く耳を持たず、仕方なく側にあった刀で煙草の火を斬り落とした。
「うおっ!?あっぶねぇなてめぇ!」
『臭くなるからやめろと言ったはずだが?』
「だったら言葉で言えばいいだろうが!」
『言っただろ。聞かなかったのは土方の方だ』
刀を鞘に戻して書類へと目を戻す。
最近、また攘夷浪士たちの動きが過激になってきている。数日前にやっとリーダー格を捕まえたのにその下の者たちがテロを起こしまくっているのだ。
やめて欲しければ収監された仲間を解放しろと言って。
「気をつけろよ。この間、見廻り中に襲われたらしいからな」
『原田か……怪我はどうなったんだ?』
「そこまでは酷くはねぇ。だが、襲われたのは事実だ。残党を捕まえない限りは続くだろうな」
いつだったか原田が怪我をして帰ってきた。医務室に運んで見てもらった結果、左腕を少し斬られていたとのこと。念の為病院に行かせたら数日の入院が必要だと言われて今は大江戸病院にて入院中だ。
襲ってきた相手は取り逃してしまったと原田は悔しがっていた。自分の命を守ることを優先したのだから何も謝ることは無いと励ましたのだが、原田は納得のいかない顔で俯いていた。
原田のためにも残党を早く捕まえたいと思っているのだが、なかなか尻尾を出そうとしない。随分と逃げ隠れの上手いやつらだ。
「とにかく見廻りの時は気をつけろ」
『そんなに言われなくても分かってる。土方も気をつけとけよ。お前の場合は攘夷浪士だけじゃねぇんだから』
「あ?どういう意味だそれは」
土方の敵は攘夷浪士だけじゃない。いつも引き連れている総悟も土方のことを狙っているのだから。暇さえあれば後ろからバズーカを撃たれている身だ。本当の敵にやられるよりも先に身内にやられそうである。
「おかしなこと言ってんじゃねぇよ」
『はいはい。書類終わらせたいからちょっと静かにしててくれ』
しっしっと追い払うように手を動かす。机の上にはまだ報告書がどっさりとあるのだ。これを終わらせなきゃ見廻りどころの話では無い。
『……静かにしろとは言ったがそこで煙草吸っていいとは言ってないけど』
「あ?文句の多いやつだな。少しくらいいいじゃねぇか」
海の部屋の前に座ったかと思えば、庭を眺めながら土方は煙草を吸う。障子が開けたままなので、風に乗って煙草の臭いが部屋に入ってくるのだ。
『お前いつか本当に肺を壊すぞ?』
「平気だろ」
『毎日吸っててよくあんなに動けるもんだ』
もしかして土方は鉄の肺でも持っているのだろうか。普通煙草を吸い続けていたら持久力が低下するというのに。
一度、土方の肺を見てみたい。
『土方』
「なんだ。どうした?」
『肺のところ開いてもいいか』
「……は?」
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