忘れた頃にやってくる(土方ver)
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「マヨラー!海、来たアルよー……って何してるアルか?」
『ああ、神楽か』
「ったく、感謝しろよ。犯人探し出してやったんだから……あ?」
昼食を食べ終えた頃に銀時たちが土方の部屋へと来た。障子を開けるなり神楽と銀時は目を丸くして海の足の方を見る。
「なにやってんの?」
『膝枕。なんか昨日眠れなかったらしいんだよ』
「だからってなんで膝枕?普通に布団で寝かせればいいじゃん」
『書類やってる間に眠くなったみたいでな。そのまま寝そうだったから』
今、土方は海の太ももを枕にして眠っている。すやすやと眠っている顔は幼く、まるで子供のような愛らしさだ。
そんな彼の頭を優しく撫でていると、銀時の顔はみるみると不機嫌になっていった。
「俺そんな事してもらった事ないんだけど?」
『なんで銀時に膝枕?』
「ズルくない?マヨラーだけなんて。俺もして欲しいんですけど!」
「銀さん、そんなこと言いに来たんじゃないでしょう。海さん、デコボッコ教の信者見つかりましたよ!」
「街中でフラフラしてたから捕まえてきたアル!解毒剤も持ってたヨ!」
そう言って神楽は手のひらサイズの瓶を海へと手渡す。
『これが薬?』
「だとよ。ボコボコにしたら泣きながら出てきたから確かだろう」
『何やってんだよ。犯人と言えども暴力はダメだろ』
「それお前が言う?どうせ海が見つけてたら同じように殴ってただろ」
『俺がやるのとお前らがやるのとじゃ違うだろ。俺は被害者だから。俺がそいつをボコすのは正当な理由がある』
「やだやだ。誰よこんな乱暴者にしたのは」
持っていた瓶の蓋を開けて中身を見る。匂いなどは全くなく、ただの水のようだ。
『これ飲むものなのか?』
「それがわかんねぇんだよ。女になった時はどうだったの?」
『頭から掛けられた』
「なら掛けるんじゃない?」
持っていた瓶を取ろうとする銀時の手を押さえ、海は逡巡してから瓶に口を付けた。
「おい!」
『味は無いな。普通に水飲んでるのと変わらないわ』
「お前何かあったらどうすんだよ」
『大丈夫だろ。それに今水被ったらコイツが起きる』
気持ちよさそうに眠っている人間をこんな事で起こしたら可哀想だと言えば、銀時はムッと土方を睨んだ。
「そーですか。まったく。お前らいつからそんな仲になったわけ?俺だって──」
『銀、一つ頼みたいことがある』
「……なんだよ」
『最近入った新入りの隊士に稽古をつけていってくれないか?』
「稽古?」
『ああ。二度と真選組に入ろうと思わないくらいで』
「なにそれ。ボコボコにしていいってこと?」
『そうだな……屯所の前を歩くのも怖いと思うくらいには』
にこりと微笑んで銀時に頼むと、銀時はうわぁと引いた。
「お前やり方がえげつねぇよ」
『そんなことねぇよ。うちの副長と局長をバカにしたんだ。それぐらいで済ませてやるって言ってんだ。むしろ感謝してもらいたいくらい』
「そーですか。お前といい、ドS王子といい俺の事をなんだと思ってんだよ」
『そりゃ頼れる万事屋さん、だろ?』
「へーへー。その代わり今度飯付き合えよ?」
『それくらいならいつでも』
「そう言っていつもソイツ連れてくるじゃん。俺はお前と二人がいいんですけど」
『それは無理だわ。セコムがいるから』
へらりと笑う海に銀時はがっくしと肩を落とし、屯所の道場へと向かう。
『コソコソやるんなら真っ向から文句言ってこいっつうの』
庭先に飛んでいく隊士らを見て海はふんっと鼻を鳴らす。
「ん……」
もぞりと動いた頭を優しく撫で、土方の寝顔に緩い笑みを浮かべた。
『ちゃんと片付けるから。もう心配しなくていいよ、十四郎』
守られてばかりでは気に入らない。彼が心労で倒れてしまわぬように手を打たねば。今回はずっとそばにいて守ってくれたから。その代わりに彼らは自分が排除しよう。
『人のことを尻軽と吹聴した罪は重いぜ?』
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