忘れた頃にやってくる(土方ver)
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『そういえばなんで近藤さんがあんな所にいたんだ?』
「さあな。寝れなくて徘徊してたとは聞いたが」
『ついに老人になったのかあの人』
部屋に戻るなり海は用意していた布団の上へとぼふんと倒れた。
「おい。そのまま寝るな」
『起きてる。大丈夫』
「大丈夫じゃねぇ。ったく、こっち来い」
片手にタオルを持ち、土方は海を呼び寄せる。モゾモゾと這うようにして海は土方の側へと寄り、頭を差し出した。
『悪い、もう眠くて』
「徹夜のし過ぎだろうが。今日はちゃん寝ろ」
『俺だってやりたくてやってるんじゃねぇよ。どっかのクソガキが書類溜めてんのが悪い』
いつもならここで海に同調するのだが、今回総悟は海の為に色々と手回しをしている。それを知っているから今日のところは何も言わずに海の話に耳を傾けるだけにした。
『最近、アイツおかしくねぇか?新入りとの稽古で本気だしてるし』
「見たのか?」
『見たも何も……道場から吹っ飛ばされてるんだよ』
「吹っ飛ばされてるだ?」
『庭に積み重なってんだよ。隊士たちが。その中に何故か山崎もいたし』
何となく予想はつく。総悟が相手にしたのはさっきの奴らと同じような奴らだろう。近藤が言っていたような考えではここではやっていけない。それを教えるために総悟は敢えて本気でやったのだ。
そこに山崎が紛れ込んでるのは意味がわからないが。
『隊士の補充どうすんだよ。人手不足で困ってるっていうのに』
「それは近藤さんがどうにかするだろ。総悟のはまぁ、登竜門というかなんというか。あれでへばってたら攘夷浪士なんて相手出来ねぇだろ」
『そりゃそうだけど……』
タオルが全体的に湿ってきたころ、海は顔を上げる。風呂で温まってきたからか血色が良く、ほんのりと頬に赤みがさしていた。女になったせいかいつものキリ目は丸く穏やかに見える。
『土方?』
「な、んでもない」
女になっただけ。ただ性別が変わっただけなのにこうも見違えるのか。
眠さでとろんとしている目は誘っているようにも見える。濡れた肌は艶めかしく普段の倍ほど色気を漂わせていた。
このまま押し倒して抱き潰したいと思ってしまうくらいに。
「ね、寝るぞ」
『ん、もう限界』
ふつふつと湧き上がる劣情を誤魔化すべく土方は海から顔を逸らす。そんなことを知らない海は無防備にもあぐらをかいている土方の足の上にぽすっと頭を乗せた。
「お、お、お、前は何やってんだ!」
『布団。一式しかないだろ』
「それがなんだ!」
『土方が使えよ。俺ここで寝るから』
「そんな所で寝かせられるか!布団で寝ろよ!」
『……それ』
「仕方ねぇだろ!」
一緒に同じ布団で寝なくても、海の部屋から布団を持ってくればいいだけの話だったのだが、今の状況ではそんな考えは頭に浮かばなかった。
戸惑う海の腕を掴んで布団の中へと押し込み、土方も海の隣に寝転がる。
「何もしねぇからこのまま寝ろ!」
『いや、まあ、うん』
互いに顔を赤くさせながら目を瞑る。寝ろと言ったものの、緊張で暫く眠れなかった。先に寝た海が土方に抱きついてきたせいで余計眠れなくなり、その日は一睡も出来ずに朝を迎えた。
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