風邪の日(銀時ver)
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もぞっと身体を動かす。なにかに包まれているのか思うように動けない。自由の効く頭を動かすと、真上には銀時の顔。どうやら自分は銀時に抱きしめられたまま眠っていたみたいだ。
『銀時、銀時!』
「ん……あ?」
『ちょっと起きてくれ』
「海?あー……起きたか?」
『起きたかじゃない。なんでこうなってんだ』
眠そうな顔で銀時は海を見る。まだ頭がしっかりとしていないのか、寝ぼけて抱きしめてくるもんだから銀時の肩を押して離れた。
「なんで離れんだよ。寒いだろうが」
『寒いじゃない。あんまくっつくな。伝染るだろ』
「あ?いいよ、伝染っても。だからほら」
『良くない』
腕を掴まれてまた銀時の方へと引き寄せられそうになったのを足を使って阻止する。銀時の腹にぐっと足を踏み込ませれば苦しそうに呻いた。
「ちょっと……なんでこんな対応雑なの!?」
『うるさい。少し休んだら帰るから』
「いやいや、熱あるんだからな?帰らせるわけないでしょうが」
『ここにいても神楽と新八に伝染るだろうが』
「あいつらは丈夫だから大丈夫ですー」
『ふざけんな……どんだけ辛いと思ってんだよ』
「うん。だからここで休んでけって」
頬へと伸ばされる手が冷たくてなんとも気持ちいい。思わずその手に擦り寄りそうになってしまい、海は慌ててその手を払う。
「なに?いいの?ほら、冷たくて気持ちいいんじゃないの?」
『うるさい、黙れ』
「まったく……さっきまでは素直で可愛かったのに。少し元気になるとツンケンし始めんだからよ」
『いいからこっち来んな。むしろ、部屋から出てけ』
「やだ」
何を言っても銀時は嫌だと言って聞かない。このままでは銀時に風邪が伝染ってしまうというのに。最後の抵抗というように海は銀時に背を向ける。
「いいよ。海の風邪ならいくらでも」
後ろから優しく抱き込まれて耳元で囁かれる。ほんとにこいつは人の話を聞かないやつだなとため息をついた。腰の方から回ってきた銀時の手が自分の手を握りしめる。きゅっと握り返せば至近距離で聞こえた小さな声。
忠告はした。それでも離れなかったのは銀時だ。これで風邪をひいてももう知らない。
背中から伝わる温かさに安心してしまっている自分に呆れつつ、ゆるりと瞼を閉じる。
「おやすみ、海」
翌日の朝にはすっかり頭痛も吐き気も治まっていて、新八が作ってくれたお粥と薬を胃に流し込んだ。嬉しそうに笑う銀時の顔を直視出来なくて顔を背けてしまったが。
「元気になったようでなにより」
『その……』
「ん?」
『あり、がとう』
「どういたしまして」
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