ハチマキの危険度大
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「もうその体では動けまい。わしの剣を3度も避けた褒美だ。痛みなくその首を刎ねてやろう」
『ふざけんな。刎ねられるのはてめぇだ。クソ天人』
「ふふ……ふははははっ!戯言を申すな。その体では立っているのも辛かろう」
『どうだか。こんな怪我くらい日常茶飯事なんでなぁぁぁぁ!!』
地面に刺していた刀を引き抜いて天人へ向けて走り出す。海に向けて剣を振り下ろそうとしている天人の股下を滑り込むようにして後方へと回り、天人の背中へと刀を突き刺した。
「ぐは……貴様……人間風情がァァァ」
『その人間様に殺されんのがてめぇだゴラ!!!!』
刀を下へと下ろす。背中に縦一線の傷が出来た天人はふらつきながら前へと歩く。
先程の海と同じく、剣を地面へと突き刺して立つ天人を霞む視界の中で見つめた。
『やばいな……早く……ケリをつけねぇと』
とめどなく流れる血が海の足元を赤く染める。
これ以上の出血は命に関わるだろう。もう一度刀を握りしめて天人へと斬りつけようとした刹那、視界が闇に覆われた。
『は?』
目の前は真っ暗。確かに、まだ日が昇らぬ時間帯なので辺りは真っ暗同然なのだが、拠点の内側には人工的な薄らとした明かりがある。その明かりで今まで目の前の天人と斬りあっていたのだ。それが今ではもう何も見えない。
『な、んだこれ』
焦る海には目を塞ぐ物の正体を知ることは出来ない。そんな海を知ってか知らずか、天人が低く唸る声で叫ぶ。
「ここで死ぬわしではない!!貴様は必ずやここで殺す!!!」
ズシンっと響く地響き。天人がこちらに向かってきているのは分かっている。だが、それを視認することが出来ない。
「死ねえええええええ!」
死ぬ。
それだけが海の頭に過ぎった。
「ぐあっ!貴様!何奴……ぐうう、あっぐ……」
覚悟を決めた時に天人の苦しむ声が耳に入る。いくら待っても痛みがやってこない。天人が静かになったと思えば、ずしりと何か重いものが地面に倒れる音が響いた。
『なにが……』
「何がじゃねぇよコノヤロー。死にてぇのかお前は。突然手を止めやがって」
耳に入るのは聞き慣れた声。
その声に酷く安心する。何者かがこちらに向かって歩いてくる足音。まだ暗闇の中にいる海にはそれが恐ろしく聞こえた。
「なにやってんだてめぇは……って、海?」
『ぎ、んとき?』
「お前……なんでハチマキを目にまいてるわけ?」
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