ハチマキの危険度大
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「海。無理だと感じたらすぐに退け。お前のことだから心配はないだろうが……」
翌日の早朝。刀を腰に差して柔軟体操している海へと桂が憂い気な顔を見せた。
まだ日が昇る前からのたった1人での出陣準備。
天人たちがまだ夢心地の間に奇襲をかけるという作戦のため、まだ暗闇が辺りを包んでいる頃から動き始めていた。寝込みを襲えば奴らとてそう簡単に反撃はしてくるまいという桂の意見によってこの時間。
「海、これ忘れんな」
『ありがとな、晋助』
昨日、渡したままのハチマキを晋助から受け取り頭へと結ぶ。黒い髪に白いハチマキはとても目立つものだが、これが攘夷志士として、銀時たちと繋がっているものとして大切なものである。
「……気をつけろよ」
『おう。任せろ』
心配そうに見つめてくる晋助に微笑みながら背を向け歩く。
「海……やっぱ俺が……」
『しつこい。お前だけに任せられるかよ』
「でもよ……」
『うざったい。そんなに信用ねぇのかよ。別に心配されなくともやるべき事はこなしてくる。お前は二度寝でもなんでもしてろよ!』
「そんな言い方あるかよ!あー、もう行っちまえ!」
『はいはい、行きますよ』
しっしっと邪険に扱ってくる銀時。その態度にイラッとしつつ海は銀時の顔を一切見ずに拠点を後にした。
その後ろ姿を見た銀時が自分が放ってしまった言葉に後悔し、海を引き留めようと手を伸ばしていたことにも気づかずに。
明かりのない道をただひたすら一人で歩く。暗闇での行動は慣れているから困りはしないのだが、それでも孤独感と不安感がまとわりつく。何度も歩いた道のはずなのに初めて歩いているように感じる。
一人だからといって弱音なんか吐いていられない。自分がここで挫けようものならば、代わりに銀時が敵陣へと行ってしまうだろう。もうあの感情を味わいたくないのだ。待たされる側のあの気分を。
『あそこか……』
しばらく歩いたところで明かりが見えた。
山の上から光の元を見る。そこは天人達のいる軍の拠点。事前に桂が周辺を偵察してくれたおかげで、どこに何があるのかなどはすべて把握している。
桂が言っていた通り、拠点の入口付近には数人の天人が駐在している。あそこを抜けるのは今はやめたほうがいいだろう。ここからは隠密での行動となるのだから。
『どっから入るか……』
桂が言うには拠点の正式な入口は2つ。だが、そこには天人が見張っているので使えない。その為、この日のためにと事前に攘夷志士達が秘密裏に作った抜け道を侵入経路として使う。
刀が鳴ってしまわないように手で押さえながら抜け道へと走る。葉で隠されている抜け道から拠点の中へと入る。まずは侵入に成功。ここから寝ているであろう天人達を起こして撹乱させる。そこからが勝負だ。
ここでどれだけの天人達を殺せるかが重要になってくるのだから。
天人達が就寝しているであろう部屋へを探す。呑気にいびきをかいて寝ている天人を見つけては、開いている窓から桂お手製の煙玉を投げ込みまくった。
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