動物園
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『で?あの子らはどうしたんだ?』
「説教したら泣いて帰ってった。もう二度としませんって」
「ちょっと怒られただけでぴーぴー泣いて大変じゃったわ。アレぐらいで根を上げていてはこれからはやっていけぬ」
月詠と共に動物園を出ると、すぐさま海が駆け寄ってきた。大丈夫だったかと心配げな顔で聞かれ、何ともなかったと笑いかけると海はホッとした顔を浮かべた。
『でもなんであの子らはついてきてたんだ?』
「一目惚れなんじゃねぇの?海ってモテるから」
まさか海から金銭を奪い取ろうとしてたなんて言えず、適当に誤魔化した。月詠の方も海に全てを教えることなく曖昧な返事をするのみ。
「せっかくのデートが台無しじゃねぇか。ったく、久しぶりに海と出掛けられると思ってたのに」
「貴様を呼んだ覚えはないぞ。元々はわっちが海と約束したことじゃ」
「だから?お前と海を二人きりに出来るわけないだろ。てめえみたいなアバズレと純粋な海が一緒にいたら犯罪でしょ」
ふんっと鼻を鳴らしてそっぽ向いた瞬間、右足にグサリと何かが刺さる。グリグリと突き刺さるそれは月詠のヒール。
「痛ッ!てめえ!!」
「海、こんな男と共に居たらお前までバカになるぞ」
『銀、お前もいい加減にしろよ』
「なんで俺だけが怒られるわけ!?大体、俺と海がそういう関係だってこと知ってんのに手を出そうとしてんのが悪いんだろうが!」
『遊びに来てるだけだろ。手を出すも何もない。過度な妄想はその辺にしておけよ』
「海が手を出してるんじゃなくて、こいつがやってんの!!」
どれだけ説明しても海は聞き入れてくれず、それどころか晴太の手を取って帰ろうとする始末。
「ちょっと海!」
『付き合ってられるか!月詠と仲直りするまで近寄ってくんな!』
「なんで仲直り!?喧嘩してるんじゃないんだけど!!?」
帰ろうとしている海の元へと駆け寄れば、綺麗な回し蹴りを受けて銀時は地面に倒れる。痛みで呻きながら海を見上げると、じっとこちらを見下ろしている目と目が合った。
『騒がしい!銀時が変なこと言ってるからだろうが!』
「間違っては無いじゃん!海が気づいてないだけで、こいつはいつも海に色目つか──」
「海、晴太、日輪が待ってるから早く帰るぞ」
グサッと背中にヒールが突き刺さる。涙目になりながら月詠を睨んでいると、目の前に手が差し出された。
『ほら、早く帰るぞ』
「なんでこんな目に……」
差し出された手を握って立ち上がる。どうせすぐに振り払われてしまうんだろうと思ったが、海は銀時の手を離さずに歩き出した。
「海?」
『なに』
「その……」
『嫌なら離すけど』
「嫌じゃない嫌じゃない!むしろこのままでお願いします!」
『あっそ』
ふいっと逸らされた顔はほんのりと赤く染っている。
「なぁ、海。次は俺とデートして欲しいんだけど?」
『……考えとく』
「ん、」
ぎゅっと握られた手を優しく握り返す。横からじとっと見られている気がしたが、そんなの無視して海の横顔を眺めた。
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