動物園
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「と、父ちゃん!!!」
野次馬の中から身を乗り出した晴太はでかい声で叫びながら海の腰へと飛びつく。
『晴太……?』
「父ちゃんどこ行ってたんだよ!急にいなくなったから心配したんだよ!?」
『いや、悪い……え?』
「まったく。目を離すとすぐにこれじゃ。旦那様はすぐに迷子になるから探すのに苦労する」
溜息をつきながら晴太のあとから来た月詠は自然な流れで海の側に寄る。月詠から向けられた視線は"話を合わせろ"と言っている様に見えた。
「だってよ。嫁さんに怒られてちゃ世話ないぜ?」
『嫁さん?お前何言って──』
「な、なぁ!おいら歩き回ったらお腹空いた!父ちゃん、ご飯食べよ!!」
「それもそうじゃな。海、先に晴太と一緒に行ってなんし」
『それは構わねぇけど……月詠と銀は?』
「俺たちは用事を済ませたら行くから」
晴太に目配せをすると、腹が減ったと訴えながら海の手を引っ張っていく。海は引っ張られるがまま先に動物園を出た。
残すはストーカーの処理のみ。
「ぬしら分かっておるじゃろうな」
「なにこのおばさん。キモイんだけど」
「キモイってよ。俺からしたらあっちの方が酷い顔してるように見えんだけど」
「普段なら女の顔に文句なんて言わぬが……今回ばかりは苦言を漏らさずにはいられぬ。これほど醜い女は吉原でも見たことないわ」
月詠は大きくため息を漏らして彼女らを呆れた顔で眺める。その間にも女共は銀時と月詠の悪口をダラダラと呟く。その姿はあまりにも醜く、ここに海を残さなくて良かったと心底安心した。
「で?こいつらどうすんの?」
「お望み通り男を食いものとする仕事につかせればいい」
「うわ、えげつな」
「こやつらが望んだことじゃろう」
「そりゃそうだけどよ。でもこいつらまだ子供よ?」
「子供でも大人でも変わらん。それにこんな事をする程の者らじゃ。すぐ板につく」
吉原で働くの意味を分かっていない彼女らはただ月詠を睨むだけ。そんな彼女らの背後から忍び寄っている百華の存在にはまったく気づいていない。
「連れて行け。あとでわっちが直々に叩き込んでやるわ」
「ちょ、何すんのよ!」
「離して!」
月詠の部下に腕を取られ足を取られて彼女らは吉原へと運ばれていく。きっとあの子らは二度と表には出て来れなくなるだろう。今はマシになったとはいえ、吉原とはそういう町だ。あの場所へ一度落ちてしまえば地上に変える事は出来ない。どこかのお偉いさんにでも買われない限りは。
「ご愁傷さま」
海を付け狙ったことを吉原で後悔すればいい。泣いて反省したとしてももう遅いけれど。
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