動物園
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「おっさん邪魔しないでよ!」
「誰がおっさんだ。誰が」
「アンタだよ!ずっとアタシらの邪魔してさ」
店先で騒ぐ女共に周りの客らは何事かとこちらを見る。腕の中に納めた海も状況を理解していないのか、ストーカーである彼女らと銀時の顔を交互に見つめた。
「そりゃ悪いことしたな。でも、お前らだって俺達のこと邪魔してたんじゃねぇの?こんなところまでずっとくっついて来て」
「はぁ?別におっさん目当てじゃないし」
「そうそう!あんたじゃなくてそっちの人に用があるだけだから。おっさんは早くどっか行ってくんない?」
「言っとくけど、俺がおっさんならこいつも同じだからね?歳一個しか変わらねぇから」
まだ二十後半なのに何度も"おっさん"と呼ばれれば誰だってイラッとするだろう。それでなくともずっとこうしてついてこられているせいで鬱憤が溜まっているというのに。
段々と強くなっていく語気とふつふつと湧き上がる怒り。相手は新八と変わらないくらいの見た目をしている。そんな子供相手に本気で怒るなんて大人気ないと分かっているのだが、矛先が自分ではなく海に向けられているのだと思うと我慢できない。
『銀時』
「お前は黙ってなさい」
戸惑いがちに銀時を見る海を強く抱き締める。安心させるように背中を優しく撫でると、海の片腕が銀時の背中へと回った。
『あの子らずっとついてきてたのか?』
「お前に気があるんだってよ。不純な動機みたいだけど」
一目惚れしたとかそういう類のものでは無い。あれは完全に海を食い物にしようとしている目だ。
「(予想してたことだけど、ここまでやられるとなるとねぇ)」
彼女らは依然として身を引く気は無いのか、銀時のことをキツく睨みながらなにやら話し込んでいる。もういっその事ここから逃げ出した方が早いかもしれない。街でばったり会うようなことさえなければいい。それに今度会う時は海がただの一般人ではないことが分かるはずだ。警察に対してパ.パ.活しようなんて思わないだろう。
「海、今日のところはもう帰るぞ」
『あ、ああ……』
「屯所まで送っていくから。土産も後で持ってく、ね?」
だから今すぐ帰ろうと声をかけたが、海は銀時の着物をキュッと掴んで俯く。
「海?」
『……俺のせい?』
申し訳なさそうな表情を浮かべる海にズキリと胸が痛む。自分のせいでこうなってしまったのかと落ち込んでいる海に咄嗟にそうではないと諭す。
「海のせいじゃねぇよ。お前はただ動物見て楽しんでただけだろ?こいつらが勝手によくわかんねぇ期待してお前を追っかけてただけだから。海は被害者みたいなもんだから落ち込まなくていいよ」
こちらは彼女らに邪魔された側なのだから。
大丈夫だからと声をかけるも海は俯いたまま顔を上げない。この状況をどうしたものかと考えあぐねていた銀時の元へと晴太が走りよってきた。
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