動物園
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「しつこすぎねぇ……?」
『どうした?』
「いや、こっちの話。で?土産は決まったの?」
『パンダとゴリラどっちがいいかなと』
「どっちも変わらないだろ。白黒かゴリラ色なだけでしょ?」
動物を見終えた先にあったのは土産屋。晴太が日輪に土産を買いたいと言い出したことで店に入ったのだが、海も一緒になって土産を吟味し始めた。
狭い店内に人が押し寄せているせいで、品物をゆっくりと見ている暇は無い。それなのに海はしっかりと商品を見て籠へと放り込んでいる。誰かにぶつかること無くスイスイ動いている様はまるで魚のようだ。かご持ちを任されている自分は四方八方からぶつけられてうんざりしてきているというのに。
『大丈夫か?』
「なんなの?バーゲンセールでもやってんの?」
『物珍しいものが沢山あるからな』
「それでもこの人数は入りすぎでしょ。コ.ミ.ケじゃねぇんだから」
『何言ってんだよ。コ.ミ.ケの方がもっと酷い』
「何その顔。てか、お前行ってんのかよ」
『……少しだけなら』
「少しって顔じゃないよね?それ毎回行ってるような顔だよね?なんなら始発から動いてるような感じだよね!?」
『行ってない行ってない。夏はしんどいから冬だけだ』
ふるふると頭を横に振って否定しているが、どう見ても夏も冬も行ってそうな感じ。
というか、今はコ.ミ.ケの話なんてどうでもいい。
徐々にこちらへと近づいてきているストーカー共の動向を注視しなければならない。この人混みに乗じて海へと近づいてきているのだから。
「海、ちょっと」
『銀?』
かごを左手へと移し、右手で海の手を掴む。離さないようにしっかりと握ると海の方からもぎゅっと握り返される。
『銀時?』
「絶対離すなよ?」
『え?』
海の手を引いてレジカウンターへと進む。その時、ちらりとストーカーの方へと目を向けると、彼女らもこちらへと歩みを進めていた。
「めんどくせぇやつらだな。いい加減諦めろっての」
『さっきから何の話してるんだよ』
「後で話すから。今は俺についてこい」
人の並を掻き分けて漸くレジにつくと、そこには会計を済ませた月詠と晴太が立っていた。
「兄ちゃん!銀さん!」
「ぬしら無事だったのか」
「お前ら!これ頼む!」
「えっ!?ちょ、銀さん!?」
月詠に持っていたかごを渡して、銀時は店の出口へと突き進む。後ろから海が文句言っているのが聞こえたが、全部無視して外へと出た。
『銀時!お前何考えてるんだよ』
「何って……そりゃ……」
海を抱き寄せながら後ろを振り向くと、悔しそうに顔を歪めている女と目が合った。
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