動物園
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「銀さん!あの人たち……なんでずっとついてきてるんだよ」
海がゴリラを眺めている隙を見て、晴太が銀時の元へと駆け寄ってきた。銀時たちの後方にいる二人組の女へちらりと目を向ける晴太の頭をガシッと掴んで違う方向へと目を向けさせる。
「あまり見るな。向こうはこっちが気づいてないと思ってんだから」
「あんなにジロジロ見られてたら誰でも気づくよ!気づいてないのは兄ちゃんだけだろ!」
「今、海くん純粋に動物園楽しんでっから。あれはもうダメだから」
「だってあの人たち兄ちゃんのこと狙ってるんじゃないのか?」
「多分な。だから海から離れるな。お前が引っ付いてれば牽制になんだろ」
子供がそばに居るなら下手に手は出せないはず。そもそもその後ろに銀時と月詠がついているのだから手を出そうなんて思えないだろう。だからただ後を追いかけて見ているだけ。運が良ければ声をかけることが出来るかもしれないと期待を胸に抱いて。
そんなことさせるつもりは毛頭無いが。
「銀さんたちがあの人たちに声かけるのはダメなの?おいら気になって仕方ないんだ」
「さっきから失せろと睨んでるんじゃがな。まったく効いておらん」
「え゙……月詠姐が睨んでるのについてきてるの?」
「わっちだけじゃない。銀時も女共に対して冷たい目わ向けておるが、怯むだけで逃げはせん」
「どんだけ兄ちゃんのこと気に入ってるんだよ……」
晴太が呆れるほどの粘着質。靴の裏にくっついたガムのように彼女らは海から離れようとしない。海がそこらの男どもより魅力的に見えるのは分からなくもないが、それにしても異常な食いつきだ。一目惚れをしたとかのレベルじゃない。
「まさか持って帰ろうなんて思ってねぇだろうな」
声をかけるだけならまだいい。少し話をするだけならまだ許せるが、海の事を連れていこうと考えてあるのであればこのままにはしておけない。銀時たちの目を掻い潜って海に接近し、なんらかの方法で連れ去ろうとしているのであれば。
「痴漢なんて冤罪吹っかけて連れてこうとか考えてねぇよな」
「ありえる。あのタイプの女子は頭がカラじゃ」
「お前もカラだけどね」
「あんなのと一緒にするな!」
「変わんねぇだろ。海には俺という存在がいるんですー。それなのにコソコソと約束なんてしやがって。海がお前のことを好きになるわけねぇだろ」
「ふん。そうやって自惚れてればいい。いつか飽きられて捨てられるのが落ちじゃ」
「そんなことするわけねぇだろ。そうなったとしても俺がアイツのこと離すと思ってんのかよ」
たとえ月詠の言葉が現実にったとしても。銀時は海から離れることは絶対にしないだろう。どこへ逃げたって必ず見つけてみせる。自分から逃げ出そうなんて許さない。
「おっと。こんな話してる場合じゃねぇわ」
青ざめた顔で銀時を見上げている晴太に海の元に戻れと声をかけ、銀時はちらりと横目でついてきている女子の位置を確認する。
徐々に距離を詰めてきている彼女らをどうやって追い払うか。もういっその事、海の元へと行ってキスでもしてしまおうか。そうすれば彼女らだって諦める……と思いたい。
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