動物園
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『それで?なんであそこに居たんだよ』
じろりと海は銀時を冷めた目で見つめる。銀時はそんな海に目もくれず動物園の方を眺めていた。
「海に会いに屯所に行ってたらトコトコ歩いてんの見かけてよ。こっそり後をついて行ったらお前吉原に行ってんだもん」
『後つけたって……いつからお前はストーカーになったんだよ』
「海の為ならストーカーでも何でもなりますけど?」
こいつはこんなに病んでいるタイプだっただろうか。
誰かのために自分を犠牲にするのはよく見かけるが、ここまで酷いのは初めて見る気がする。
『銀時』
「なに?」
『もしかして俺はそんなに信用ないか?』
「え?なんで?」
『後を追わせるほど俺はお前に対して不審な行動をしているのかと』
「別にしてないからね?海の事は信用してる。つか、海が浮気なんて出来なさそうだし」
『するつもりもないが、なんか貶された気分なんだけど』
浮気をしようなんて一度も考えたことは無い。銀時以外の人間に好意を抱くなんて有り得ないだろう。それでもなんだか銀時にバカにされた気分を感じた。
「貶したんじゃないって。ただ、お前は嘘つくとすぐ分かるし。なんなら態度にでるから分かりやすいんだよ」
『なんだそれ』
「そのまんまの意味。教えちゃったら俺の楽しみが無くなるから教えませーん」
へらりと笑う銀時に海は首を傾げる。
確かに昔から銀時は海がついた嘘をよく見抜いていた。桂や晋助にさえバレたことはないのに銀時は毎回当ててくるのだ。ああ、そういえば松陽も海の嘘に気づいていたような。
『なんか……ムカつく』
「いいじゃん。俺しか知らねぇんだから」
『良くない。言え。直すから』
「やだ。直すなら違うとこ直せよ。嘘ついてまで周りに心配かけないようにするとか、怪我しても隠そうとするところとか。他の奴らは気づかないかもしれないけど、俺はちゃんと見てるんだからな?」
お前のしている事は全てお見通しだと言われているようでなんだか気恥しい。どれだけ取り繕ったって、どれだけ誤魔化したって銀時には悟られてしまう。
それは逆に嬉しいような、違うような。
『……ゴリラの檻の中に落としてやるから覚悟しとけ』
「ゴリラはお前んとこの局長だけで十分なんだけど。その分かりづらい恥ずかしさ隠し怖いからやめて?」
「銀さん、兄ちゃん……二人ともこんなところで何やってんだよ」
後ろから声をかけられて咄嗟に振り返ると、そこには呆れた顔の晴太と不機嫌そうな顔をしている月詠が立っていた。
「約束の時間を過ぎてるが?何してるんじゃお前らは」
「遅れてきたのはお前らの方だろう。俺らはちゃんと十分前に来てましたー」
「ごめん、兄ちゃん……」
『気にしてないから大丈夫。店の方忙しかったのか?』
「うん。今日客がいっぱい来てて。母ちゃん一人じゃ大変だから手伝ったんだ」
『そうか。偉いな』
よく頑張ったと晴太の頭を撫でる。嬉しそうな顔で飛びついてきた晴太を抱き上げ、銀時たちの方へ目を向けると、二人は目をつりあげてまだ言い合っていた。
『あいつら本当は仲が良いんじゃねぇの?』
「そんなことないと思うけど……」
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