動物園
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『騒がしい』
「なんでおいらがこんな目に……」
「ふん。晴太が勝手なことをしたからじゃ」
『月詠が自分で声かけてくれればこんなことにはならなかったんだがな』
「それはっ」
『それで?どうするんだ?』
「何がじゃ」
『動物園。行きたいんだって?』
頭にゲンコツを落とされて涙目になっている晴太の頭を優しく撫でながら月詠へと目を向ける。
「別にわっちはどちらでも……」
『だそうだ。なら晴太、二人で行くか』
「えっ、兄ちゃんと二人で!?」
「なんでそうなるんじゃ!」
『だってどちらでもいいんだろ?なら月詠はお留守番ということで』
どちらでもいいなんて曖昧な返答をされてはわからない。月詠が動物園に行きたいと言っていたから晴太は自分に手紙を出したんだろうけど、本人は先程から微妙な返事しかしていない。流れで行くことになってもつまらないだろうし、なにより本人の口からちゃんと行きたいと聞きたかった。
「ぐっ……」
『そういえば最近、パンダが来てるみたいだな』
「パンダ?なにそれ」
『白と黒の毛をもつクマみたいなやつ。もっそりしてるんだと』
「もっそり……兄ちゃんってたまによくわかんない表現するよな」
『テレビで見た時にもっそりしてたんだよ』
「へ、へぇ……パンダかぁ。おいら見てみたい!」
『よしよし。パンダ見に行こうな』
晴太と一緒に月詠をちらりと見る。一人除け者となっていた月詠はプルプルと震えながら悔しそうに歯噛みしていた。
「わ、わっちも……!」
『んー?』
「……わっちも……動物園に……」
『うん』
「い、いってやらんこともない!」
『月詠、それ不正解』
「月詠姐!素直になりなよ」
それではまだダメだと晴太と共に首を横に振ると、月詠は観念したように項垂れながらボソリと呟く。
「わっちも……動物園に……行きたい」
『おう。よく出来ました』
恥ずかしそうに顔を真っ赤にして項垂れている月詠の頭を撫でようと手を伸ばしたが、横からガシッと手を掴まれた。
「動物園?なにそれ、面白そうじゃん。俺も一緒に連れてって?」
「ぎ……銀さん……!?」
海の手を力強く掴みながら銀時はにっこりと笑う。表情は笑みを浮かべているのに対し、目は冷たく怒っているように見える。
『(めんどくさいのが来た……)』
ギシッと込められる力から察するに銀時は完全に怒っている。言葉にはしないが、きっと月詠を動物園に誘ったことが気に食わないのだろう。未だに彼は月詠に対してよく分からない敵対心を燃やしているから。
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