ハチマキの危険度大
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「いただきます」
『いただきます』
4人集まって手を合わせる。本当はここにもう1人居るはずなのだが、その人物はここから随分と遠い所へと旅立っていった。「次、また会う時には平和になってるぜよ!」と元気に笑いながら彼は己の信じた道を進んだ。
「ん……美味い」
『そりゃ良かったな。桂にちゃんと礼を言えよ?』
「ヅラが作ったのか」
「ヅラじゃない。桂だ。野菜の切り込みは海に任せたんだがな。うむ、いい大きさだ。食べやすいぞ」
『お、おお』
上手いな、と褒められて海は恥ずかしそうに俯いた。ただ野菜を切っただけなのにそんな褒めなくてもいいのに。
照れながら桂の作ったご飯を口へと運ぶ。じわりと口内に広がる野菜本来の甘みに頬が緩んだ。
「そうだなぁ。ヅラはいつもでかく切るから食いずれぇんだよ」
「何を言うか!煮込んだら形が崩れるんだぞ!多少なりともでかい方が残るんだ!」
「だからってデカすぎんだろうが!なんだよあれは!半分に切ってそのまんまだろうが!いつか顎が外れるわ、あんなもん!」
「それはお前の顎が軟弱なだけだろう!若い頃から噛む力をつけておかなければ、歳食った時に困るのはお前だぞ、銀時」
銀時と桂が取っ組み合いの喧嘩をし始めたのを横目に、黙々と食べている海と晋助。「煮物うめぇな」『そうだな』なんて言いながら箸を進めた。
『桂、いい加減にしろ。これじゃ話も進まないだろ』
「はっ……すまん、ついカッとなってしまった」
「ぷすー!海に怒られてやんのー」
『いい加減にしろって言ったの……聞こえなかったか?』
キラリと光る刀。その切っ先は銀時の喉元へと向けられている。ひくりと喉を鳴らす銀時。両手を上げて降参のポーズを取る。そして小さい声で銀時が「ごめんなさい」と呟いたのを聞いた海は刀を鞘へと戻した。
「明日は奇襲をかけようと思う」
『その事なんだけど。明日は俺が出るわ』
「海が!?なんでだよ。いつも俺がやってんだから、俺でいいじゃねぇか」
『いつも銀時がやってるから今回は俺がやる』
「はぁ!?意味わかんねぇよ」
『分かれよ!お前ばっか危ない橋を渡らせるわけにはいかねぇって言ってんだよ!』
「何度も同じことやってんだから今回も変わらねぇよ!お前がやる方が不安だわ!」
『てめぇ、俺が弱いとでも言いたいのか?』
「そんなことは言ってねぇだろが!」
「お、おい!2人ともやめないか!」
海が銀時の胸ぐらを掴んで押し倒す。今にも殴りかかろうとしている手を銀時が掴かみ、逆に海の事を殴ろうとしていた。
「おい……お前らうるせぇよ」
『だったら晋助からも言えよ!』
「心配だから無理をするなってか?」
『なっ……!は、はぁ!?誰が銀時を心配してんだよ!誰が!』
「「(お前だよ)」」と桂と晋助は思いながら冷めた目で海を見る。
図星をつかれて顔を赤くさせながら必死に否定する海。誰がどう見ても、心配していたんだなと悟ってしまう。
そんな海を見た銀時もぶわりと顔を赤くしていた。海に心配されていた。もう危ないことをして欲しくないと思われていた。海に大事にされている。
「(やべぇ……今すぐ抱きしめたい……!)」
銀時に馬乗りになったままの海。その身体を引き寄せて力強く抱きしめたい。海が心配するようなことは何一つないんだよと言い聞かせながら、心配させてごめんと謝りたい。
でも、この場には晋助と桂がいる。抱きしめたい思いと我慢しなくてはという思いの葛藤で、銀時は悶えた。
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