輝き
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
拠点から暫く歩き回ったが海の姿は一向に見つからなかった。近くにある川沿いも見たが誰もいない。
「どこ行ったんだ。これ以上離れると厄介だろうが」
近くには天人の拠点が点在している。下手に動き回れば見張りの奴らに見つかる恐れがあるのだ。それは海だって知っているはず。
「見つけたらただじゃ──」
その時、どこからか血の匂いが漂ってきた。それと同時に聞こえた悲鳴。
「まさか……」
天人に見つかってしまったか。
血の匂いがするということは無事では済まないだろう。風に乗って来るほどの匂いということは相当な怪我を負っていることになる。もしかしたら海は……。
「知るか。俺は保護者じゃねぇ」
ここに銀時が居たらきっと怒り狂って走り出しているだろう。あいつは何かと海のことを気にかけている。海に何かあれば周りの制止の声を振り払って駆け出していくようなやつだ。
晋助は松陽に怒られている銀時の姿を何度も目にしている。海が迷子になったからと言って何度も探しに行ってはボロボロになって帰ってきたり、近所の悪ガキにちょっかい掛けられたから仕返しに行ったりと見境なかった。
そんなことをしてまで海を守り続ける意味が分からない。寝食を共にしている友人だからなのか、それとも海と交わした約束のせいなのか。
「バカバカしい」
弱いものは淘汰される。それがこの世の理だ。海と銀時を守っていた人は居なくなった。今はその人を助ける為に力を振るっている。弱い人間を守り続けるほどの余力はないのだ。
だから、ここでもし海が死んでいたとしてもそれは仕方なかったのだ。
生きるためには強くならなければならない。弱ければこの世は生きていけないのだから。
血の匂いを辿っていた先に見えたのは天人たちの拠点。
「なんだ……これは……」
おびただしい量の血が辺りに撒き散らしており、地面は疎か木の幹も葉さえも真っ赤に染まっていた。
「誰がこんなこと……」
夜襲作戦のことを咄嗟に思い出したが、銀時たちが狙っているところと晋助が今いる場所は違う。
それなのにここの天人らは皆斬り殺されている。
全て綺麗に喉元を一直線に斬られて。
.