輝き
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あれは晋助たちが戦争に参加してから暫く経ったころだった。
まだ個々に戦に身を投じていたとき。仲間である銀時や桂、海と四人で固まって動いていた。
「高杉、海を見なかったか?」
「海?さっきまでそこに居ただろ」
「それがどこを探しても見つからないんだ」
先程まで海は木を背にして眠っていたはず。その場所へと目を向けると確かに海の姿はない。
辺りを見渡してみても海の姿どころか銀時も居なかった。
「銀時とどっか行ってんじゃねぇのか」
「銀時は夜襲の方に行っている。今回の作戦には海は入っていないはずなんだが……」
どこに行ったんだと呟く桂の手にはおにぎり。きだと海の夕飯を作ってきたのだろう。
「そう遠くには行ってないだろ。探してくる」
「頼む。またフラフラとどっかで迷子になっていたら困るからな」
「アイツの方向音痴は一体いつになったら治るんだ」
「直すのは無理だろう。あれは一生あのままだ」
海の方向音痴は絶望的すぎる。こっちの道だと信じた方向は必ず間違っているし、近道だと思って進んだ道は遠回りになる。海が選んだ道が合っていないのであれば、その逆を行けばいいと進んだら何故かそれが間違っていたという不思議な事もあった。
海を一人にさせたら変なところに行ってしまう。しかも本人に迷子の自覚が無いからそのまま進み続けてしまう。そのため、晋助たちの中で一つのルールが出来ていた。
海を見知らぬ土地で絶対一人にしてはいけないという暗黙のルールが。
一週間前から晋助たちは拠点を変えている。以前居たところは敵に見つかって奇襲を受けたせいで変えざるを得なくなった。あの場所は目印になる物が多く、海が迷うなんてことはなかったのだが、新しく拠点を構えたこの場所は周りに木々しかなく、晋助たちでさえたまに分からなくなることがある。
そんな場所で海を一人にさせたら確実に迷う。
「高杉、早く海を見つけてくれ。フラフラ歩いて天人達に見つかっては危険だ」
「分かってる」
晋助たちとは違って海は剣の技能は高くない。松下村塾で無理矢理基礎を叩き込んだが、それは人を殺すための力じゃなく、ただ剣道としての知識だけ。天人に囲まれるようなことがあったら海は生きては帰れないだろう。
「見つけたら紐でもつけた方がいいんじゃねぇか?」
フラフラとどこかに行かないように繋いでいた方がいい。常にそばにいれば何かあった時すぐに守れる。
自分たちのように強くは無いのだから。海は晋助たちの後ろで大人しくしていればいい。そう思っていた。
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