ハチマキの危険度大
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『まったく……お前らいい加減にしろよ』
漸く口喧嘩が止まり、海は呆れた顔で二人を見た。子供の頃から喧嘩ばかりしている二人。互いに顔を合わせれば、罵る言葉か貶す言葉しかとびかわない。
何度やめろと言っても二人はやめることはなかった。喧嘩するほど仲が良いとは誰が言ったか。海にとっては嫌味にしか聞こえない言葉だった。
「海、明日のことについて話があるんだがいいか?」
喧嘩を止めて一息ついていたところに桂が声をかけてきた。
『わかった。後でそっちに行くよ』
「あぁ。頼む」
明日のことと言われて思い出したのは先程、晋助と話していた奇襲についての話。
天人が新しい武器を導入するかもしれないという話を晋助が知り、今日帰ったら会議をする予定だった。
道中、晋助とはその武器について話していた。天人自体が未知の生物。そんな奴らが使う武器など想像出来るわけもない。武器を使われる前に天人共を殺すしかないという結論に至った。
そのための奇襲攻撃。
桂と会議の話をしていたらいつの間にか拠点へと帰ってきていた。前をゾロゾロ歩いていた仲間は疲れた体を休ませる為に地面へと腰を下ろす。その顔はどれも青ざめていて、生気を感じられなかった。
『桂、今日の炊き出しってどうするんだ?』
「俺が作ろう。こんなでは誰も作れないだろう」
『なら、俺も手伝う』
「海がか?作れるのか?」
『多少なら……桂みたいにがっつりなんか作るのはちょっと厳しいと思うけど、手伝いくらいならなんとかなるだろ』
「そうか……なら、野菜の切り込みを頼めるか?」
『わかった』
桂一人に任せるのは申し訳ない。桂だって戦場で沢山動き回っていたのだ。手伝えることがあるなら手伝うと名乗り出れば、桂は困ったように笑った。
料理を作るのであればこれは邪魔になるだろう。そう思って、頭に巻いたままだったハチマキを外した。手に持ったハチマキをどこに置いておこうかと辺りをキョロキョロしていたら、眼前に差し出される手。
「ヅラの手伝いすんだろ。貸せ、持っててやる。ついでに洗っとく」
『悪いな、晋助』
「気にすんな。その代わり美味い飯作れよ」
海の手からハチマキを受け取る。そして、海の頭をぽんと撫でてから洗い場へと消えていった。
『さて……やるとするか』
桂から渡されていた籠の中にある野菜を順に洗っていく。仲間の一人が持ってきてくれたものだ。実家で野菜を作っているんだと誇らしげに笑っていた。
その男は一昨日、物言わぬ骸となってしまったが。
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