掴めなかった手と救い上げた手
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『晋助!』
「海?なんでお前がここに……銀時もいんのか」
「いて悪かったかよ」
「悪いとは言ってねぇだろ。来たんだったら手伝え。天人共が応援を呼びやがったせいで捌ききれねぇんだよ」
「はいはい。仕方ないなぁ、晋ちゃん」
「てめぇからぶったぎんぞ?」
『喧嘩は後にしろよ……ほら、奴さん来たからやんぞ』
3人で背中合わせになり天人と対峙する。後ろには2人がいるからただ、前に集中すればいい。海は天人の中へと飛び込み切りつけ、薙ぎ払う。何人もの首を飛ばしていく。
目にも止まらぬ速さで敵を減らしていく姿に銀時と晋助は目を奪われる。こうして一緒に戦うことはあったが、間近で海が戦っているのを見るのは初めての事だった。
「あいつが蒼き閃光って呼ばれんのも頷けるな……つか、速すぎねぇか?」
「さすがってところかァ?」
「海が味方で良かったわ……」
「そりゃ同感だ」
目の前の敵を蹴散らしていきながら、視界の隅には海の後ろ姿を映す。
いつの間にか天人達は地に伏せて息絶えていた。
『大丈夫か?』
「おう。なんとかな」
「てめぇは大丈夫なのか?海ィ」
『おう。別に怪我してないし』
「嘘つけ。このほっぺの切り傷はなんですかー」
『いっ!痛いっての!このくそ天パ!』
左頬に銀時の手が伸びてツンっと突かれる。その後に襲う地味な痛み。目の前に銀時が人差し指を立てる。その指には少量の朱。
「あとで桂に手当てしてもらえ」
グイッと横から晋助に引っ張られる。
ぽすんっと晋助の腕の中へと大人しく収まる。それをみた銀時はあからさまな不機嫌顔をした。
「おーい、晋ちゃん。それはねぇんじゃねぇの?」
「海にちょっかいかけたのはてめぇだろが」
「だからってそんなやり方あるか?」
「悔しかったらやってみろ」
ニヒルな笑みを浮かべる晋助。勝ち誇ったような晋助に銀時は思わず舌打ちをした。
『晋助?』
「なんでもねぇ。こっちの話だ」
腕の中にいる海に優しい笑みを向けて背中を撫でる。こんな戦場の中でも気が安らぐというものだ。
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