第三幕
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『あのクソマヨラーどこにいるんだよ』
山崎に言われた通りに巡回に行こうとしたのだが、相棒である土方がどこにもいない。夕食の時に食堂に来るだろうと思って待っていたのだが一向に姿を現さなかった。
「土方さん見つからないなら俺が一緒に行きましょうか?」
『総悟は夕方に行ってるだろ』
それに子供は夜更かしをするものではない。
「でもそれじゃ……」
『確か岡っ引きの方も夜間警備を強化するって言ってたよな』
「ええ」
ならば外で誰か引っ捕まえればいい。何かあった時の為に。
『とりあえず時間だから行ってくる』
時計の針はもう既に十二時を指しているし、前に出ていった隊士たちも屯所に戻ってきて報告をしている。ここで文句を言ってる間に辻斬りが動き出すかもしれないのだ。
「海さん……」
『ちゃんと戻ってくるからそんな顔すんなよ』
とても心配です。と言いたげな顔で総悟に見られ、海は苦笑いを浮かべる。
「約束ですよ」
『大袈裟な』
「戻ってこなかったら屯所にある全てのマヨネーズ廃棄するんで」
『それ俺関係ないよな。被害被るの土方だよな』
「ここにいないのが悪い」
どんまい土方。海が屯所を出た時点でマヨネーズが全て捨てられそうな気がする。
『行ってくる』
「気をつけて」
街灯の薄明かりを頼りに外へと出る。警察からの警告を素直に受け取った住民たちは誰一人として外出していなかった。
少し前なら飲んだくれのおっさんや、テレビを見て笑っているおばさんの声が聞こえたりしていたのに今はしんと静まり返っている。
『早く捕まえないとな』
被害者が出る度に住民たちの不安は高まっていく。いつ自分たちが標的にされるかわからない恐怖と警察が犯人を捕まえられない不満。
そして早く捕まえなければと焦る隊士たち。
焦りは油断を生む。その隙をつかれて辻斬りに殺られるなんてことがあってはならない。それこそ警察の信用問題になってしまう。
『運良く今日の夜にひょっこり、なんてことが起きてくれたらこっちは大助かりなんだけどな』
そうすれば全てが片付く。辻斬りは逮捕され、街は平穏を取り戻す。捕まえた犯人から桂のことを聞けば居場所もわかることだろう。
桂が見つかれば子供らやエリザベスは安心するはずだ。
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