第一幕
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「た……大変です!」
バタバタと走ってきたのは監察である山崎。息を切らしながら彼は事件の報告をした。
「また辻斬りが出たそうです」
「またか。これで何人目だ」
最近、江戸では辻斬りが横行している。警察の方で見回りを強化しているのだが、犯人発見にはいたっていない。
「場所はどこだ」
「近くの橋の下です。今、岡っ引き達が遺体を処理してます」
「辻斬りがいるってのに出歩くバカがどこにいんだ」
土方が文句を言いたいのもわかる。辻斬りが出るようになってからまだ日は浅いが、死んだものはもう片手で数えられなくなってきていた。
その為、夜間の外出は控えるようにと警告を発していたのだがそれも無意味と化していた。
「トシ、辻斬りの方もなんとかしないとだな。今日から夜の巡回頻度を増やすか」
「そうするしかねぇ。海、総悟。怪しいヤツがいたら容赦なくたたっ斬れ」
『土方、その言い方じゃ……』
「了解でーす。浪人全員斬り殺せば解決しますよ」
「前言撤回。斬るな!身元の特定だけしろ!!」
言わんこっちゃない。何でもかんでも斬ればいいという話では無いのだ。
『近藤さん、俺ちょっと出かけてきます』
「うん?便所か?」
『なんで便所を外で済ませるんだよ。辻斬りの件について聞き込みをしてくる。目撃者は居なくてもその付近で物音を聞いている人がいるかもしれないし、殺された浪人の方で何か共通点があるかもしれないだろ』
「殺される理由があるかもしれないってことか?」
『それは調べてみないことにはわからない』
チェックし終えた書類を土方に手渡して海は近藤たちに背を向けた。
「海!一人じゃ危ないだろ」
『辻斬りが出るのは夜中だ。それまでには帰ってくる』
「だが、」
『土方たちは高杉のことでも忙しいだろ。こっちはこっちでやるから気にすんな。他のやつらにも言っておくから』
近藤の言う通り一人で行動するのは危ないだろう。相手は殺人者であって、ただの盗人とかではないのだ。
鉢合わせたら海だって殺られるかもしれないと彼らは心配してくれている。その気持ちは分からなくはないのだが、海からしたらそれは好都合でしかない。
『(狙ってくれればな。相手ボコして連れて帰ってくればいいだけだ)』
そうすれば辻斬りの件は片付く。そんな安易な考えで海は屯所を出ていった。
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