第六幕
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「なぁ、勝てると思う?」
『さぁ』
「え、そこは勝てるって言ってくんねぇのかよ」
『勝率は低い方だと思う』
「ちょ、そんなやる気損なう発言やめてくんない!?」
とは言われても実際問題そうとしか言いようがない。
紅桜はもう人間がどうにか出来る物ではなくなっているのだ。小窓から見える赤い光。それは桂の仲間たちが乗っている船を次々と壊している。
『力で押し切ろうとするのは無理だな』
「じゃあ、あんなもんどうやって止めんだよ」
『時期にガタが来る。その時を狙うしかない』
「ガタ?」
対戦艦用として十分な成長を遂げた紅桜には人間の力じゃ到底敵わない。だが、紅桜を手にしている本体である似蔵の方はもう限界を迎えているはず。
紅桜の圧倒的な力に身体が追いついていないはずだ。
『強ければいいってもんじゃない』
「海?」
『なんでもない。とりあえず何も考えずに相手した方がいいだろうな』
「何それ。アドバイスになってないんだけど?」
『銀時はそっちの方が楽だろ。何も考えず、行き当たりばったりの方が』
「そりゃそうだけどよ。もっと他にあるんじゃないの?例えば──」
『死ぬな』
「へ?」
『二度も言わねぇよ』
銀時たちを必ず万事屋に帰さなければならない。お妙と約束をしたのだから。
「なら海、指切りしようぜ」
『は?何言って……』
「いいからいいから。ほら指切り」
グイッと右手を引っ張られ、半ば強引に小指を掴まれた。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます!」
『子供かよ』
「懐かしいだろ。昔はよくやったわ」
『殆どの約束は破られたけどな』
「そんなはずねぇよ!ちゃんと守って……るはず」
約束といってもそんな大したものではなかった。勉強中に昼寝をしないとか、一人で遠くにいかないとか。約束をするまでもないような事を一々約束していた。
「海も死なねぇように」
『お前、指切りを神頼みか何かと間違えてないか?』
結んだ小指に願いを込める銀時にふっと笑みが零れる。まるで神社にお参りに来た人のような仕草をするもんだから。
「叶うならなんでもいいですー」
『いや、良くないだろ』
二人で静かに笑いながら指をゆっくりと離す。
「さて、そろそろ行くか」
『新八と神楽の方は任せろ』
「頼んだ。海、前みたいなことはするんじゃねぇぞ」
『しない。もう銀時の泣きそうな顔はしたくねぇし』
「べ、別に泣いてないですけど!?てか、泣いたのはお前だろ!」
『あー、うるせ。俺もう行くから。鉄子、あとは頼んだ』
「え、あ、うん」
ギャーギャー騒いでいる銀時から離れ、海は新八と神楽の元へと走る。
彼らの中に桂が居るのも見え、やっぱり生きていたじゃないかと安堵した。
『(あとは……)』
銀時が紅桜を止めるだけ。そうすればケリがつくはず。
『晋助が変なことしなければ、だけど』
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