第五幕
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結局、紅桜を止めに行くことはしないと言って銀時は鉄子を追い出した。
彼女は涙ぐみながら何度も頭を下げて雨の中帰って行ったのだ。
「寝る。海、お前も寝とけよ。クマ出来てんぞ」
『誰のおかげで』
「はいはい。すみませんでした」
寝るなら早く行けと銀時を寝室へと押し込む。襖を閉める前にお妙に声をかけ、包帯の状態を見ておいて欲しいと頼んで。
自分は空いたソファへとどかりと座って、事の重大さに頭を悩ませた。
『絶対にあれ一本では済まないだろ……』
紅桜を作った鉄子の兄は晋助の元にいる。きっと、言われるがまま刀を作り続けているはずだ。
刀自体が強く、しかも所持者を操れる能力まで持っているときた。なら刀を握れる人間であれば誰でもいいということ。
『クーデター……』
晋助は紅桜を使って江戸をこの国を滅ぼす気でいる。
『何考えてるのかわかんねぇよ』
十年近く会わない間にこんなにも変わってしまったのか。自分の記憶の中の晋助は銀時としょうもないことで喧嘩していた面影しかない。
海に向けていたあの優しげな瞳は今はもうどこにもなくて、その代わりに怒りと憎しみしか感じられなかった。
もう海の知っている晋助ではない。
『なんで、こうなったんだよ』
そんなの晋助本人に聞いてみなければ分からないことだ。ここでいくら考えたって答えは出ない。
でも、こうして晋助の名前が出る度に思ってしまう。あの時、あの戦場で自分が崖から落ちなければ、と。
『別に俺が残ったところで何も変わりはしないだろうけど。でも……』
止めることは出来たんじゃないか。こんなに酷くはならなかったんじゃないかと何度でも思う。
過ぎたことを悔やんでも仕方ない。こうなってしまった以上、出来ることをするしかないのだ。
『俺、晋助のこと捕まえられるかな』
彼はテロリストだ。必ず捕まえなくてはならない。
かつての友人だったとしても。
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