第三幕
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「今日は良い夜だ……。白夜叉と閃光に会えるなんて」
『ほんとに良い日だな。辻斬りをここで始末できるなんて』
「この日が楽しみだったんだよ。少しばかり期待はずれもあったがね」
『そりゃ残念だったな。その楽しみは牢屋まで持っていけよ。なんならあの世まで持っていったって構わない』
"白夜叉""閃光"と似蔵は呼んだ。それは攘夷戦争時代の二つ名。今ではもう殆どの人間が覚えていない忘れられた名前だ。
その名を何故この男が知っているのか。それどころじゃない。何故、白夜叉が銀時だと、閃光が海だと知っているのか。
『(誰かの入れ知恵か)』
そうでなければ知るはずもないこと。ならば誰がこの男に教えたのか。
そんなの聞かなくても分かってしまう。
"高杉は鬼兵隊を復活させたらしい"
土方の話に似蔵の名前が挙げられていた。この男は晋助の元にいる。
「閃光とあれば良い戦いが出来ると思ったんだけどねぇ」
残念そうに笑う似蔵は赤く光る刀を天へと掲げる。刀を握る手はもちろんのこと、その腕さえも管によって見えなくなっていく。
「やはりこの刀は素晴らしい。あの閃光ですら打ち負かすほどの力!」
月の光で見えた刀身は不気味な色に染まっていた。赤く輝いている刀は似蔵の腕に寄生しているように見える。
「さぁ、閃光。もっと……もっと殺り合おうじゃないか!!」
「海!!!」
後ろから銀時の声が聞こえたが、それに構わず海は似蔵へと刀の切っ先を向ける。
『新しい玩具もらって喜んでるところ悪いけど……』
「な……」
『やっぱ遅い』
突っ込んできた似蔵の腕目掛けて刀を振り落とす。ばしゃりと水の中へと落ちたのは似蔵の腕。
『新八!これ使って岡っ引き呼んでくれ』
「え……あ、はい!」
取り出したのは先程貰った笛。それを新八へと投げ渡して代わりに吹いてもらった。
『お前刀に頼りすぎなんじゃないか?』
「くっ……くく……」
切り落とされた腕を掴みながら似蔵は怪しく笑う。腕一本落とされているというのに何故か満足そうな笑みを浮かべていた。
「あの方が知ったら大層喜びそうだ」
『何を言って──』
「桜樹さん!!辻斬り見つかりましたか!?」
似蔵の言葉の意味を知る前に海の意識は慌てて駆けつけてきた岡っ引きへと移ってしまった。
「あっ!」
岡っ引きが似蔵へ指を指したのを見た刹那、海の眼前には似蔵の刃が迫っていた。
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