第三幕
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その後、岡っ引きは他の奴と合流し、海はまた一人で街を歩くこととなった。
別れ際に岡っ引きから渡された笛に海は目を細くする。
『これ……使用済みじゃねぇよな?』
どこにでもありそうな笛には茶色くくすんだ紐が付けられている。それは明らかに使い回してますとわかるほどボロボロだった。
正直、何かあっても使いたくない。
応援が必要だったら笛を吹いて呼んで欲しいと言われたが、この状態の笛を口にするのは少し……いや、だいぶ嫌だ。
『でもいらねぇともいえねぇし……』
あの岡っ引きは海を心配して渡してくれたのだ。その厚意を無下にするわけにはいかなかった。
だから受け取ったのだが……。
『使う機会は……なさそうだなぁ』
彼には申し訳ないがこの笛はしまっておこう。見回りが終わった時にでも返しに行けばいい。
笛を上着のポケットに入れ、前を向いたその瞬間。ちかっと見えた光に海は目を見開いた。
『赤い……光……』
そして風に乗って海の所へと届いた血の匂い。
『辻斬りか!』
慌てて光が見えた方向へと走り出す。赤い光は同じ場所で何度も点滅するように見えていた。その為、海は迷うことなく現場へとたどり着く。
『おいおい……まさかお前が狙われてんのかよ』
「海さん!!!」
たどり着いた先に居たのは新八とエリザベス。彼らが見ていた方には木刀を折られて座り込んでいる銀時の姿。
「海さん!!銀さんが!!!」
『お前らはそこにいろ!』
座り込んでいる銀時に辻斬りは刀を振り上げる。身を守る術を持っていない銀時はその身体で刃を受け止めようとしていた。
「うん?これは……」
『へぇ……お前が辻斬りか』
「海……お前、なんで」
「ほう。これはこれは……一番会いたかった人物に会えたようだねぇ」
銀時と辻斬りの間に割って入り、突きつけられた刃を海は自分の刀で受け止めた。
『今夜の見回りが俺でよかったな銀時』
「み、まわり……?」
『他のやつだったら……死んでたな』
ボロボロになりつつも銀時は立ち上がろうとしていたので、その肩を押して地面に座らせる。
『動くな。結構酷くやられてんだろ』
「これくらい大したことじゃねぇよ」
『無理すんなよ。それにあいつを捕まえるのは俺の仕事だ』
「ダメだ。そいつの刀は普通じゃねぇ!」
『生き物みたいだって?あー、それ聞いたわ。どいつもこいつも同じようなことばっかり言いやがって。それしか表現出来ねぇのかよ』
似蔵の腕にまとわりつくようにして動き回る無数の管のようなもの。それは確かに刀が生きているように見える。
『どんな状況においても好奇心ってのは勝るもんだな』
「海!!やめろ!!」
パシャッと水飛沫をあげて海は似蔵へと走り出す。辻斬りを捕まえるというのを建前に、彼が持っている刀の真相を知るべく。
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