【魔法】その穴熊寮生は魔法使い(物理)
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俺はシリウス・ブラック。
スリザリン輩出一家の長男で、グリフィンドール生だ。
家族からは毎日吠えメールが届くが、無視して今日もミートパイの前の席に座る。
リーマスとピーターが近くに座るのもいつものことだ。
挨拶もそこそこに、俺は一番大きなアツアツのミートパイを掴んでかぶりついた。
「大変だっ!!!」
「ごふっ!」
「シリウス、大丈夫!?」
「ジェームズ、おはよう。」
ミートパイを口に入れた瞬間に肩をつかまれ、息が詰まり変な声が出た。
つかんだのは我らが友人のジェームズ・ポッターだ。
秀才かつ勇猛果敢なグリフィンドール生らしいジェームズは、同じグリフィンドール生のリリー・エバンスにご執心だ。
今のところ結果が出ているようには見えないが。
先ほど、リリーに会いに行ってくる!とスキップしそうな勢いで去って行ったはず。
汚れた口を拭いながら睨みつけると、ジェームズがわなわなとある方向を指さした。
ジェームズが指さす方を向くと、エバンスが見知らぬ男と話しているのが見えた。
フードの色からすると、ハッフルパフか。
他の寮にしても入学式に見なかった顔だから、上の学年だな。
男の顔は見えないが、エバンスの表情を見る限り、かなり親しげな雰囲気が伝わる。
ここまで推測して、思わずジェームズの肩に手を乗せて言った。
「まぁ、残念だったな。」
「ちょっとぉ!?まだ付き合ってると決まったわけじゃないだろ!?」
「…うーん、でも友人にしてはやけにフランクじゃない?」
「僕もそう思う…。」
リーマスやピーターにまで追撃され、ジェームズは落胆したように見えたが、すぐに立ち直ると、
「直接、聞いてくるよ!」
と、二人の方へ走って行ってしまった。
「あーあ、行っちゃった…。」
「さ、流石グリフィンドールってやつ…?」
「アイツと一緒にしないでくれ。」
先ほどの衝撃で無残な姿となったミートパイを見つつ、俺はため息を吐いた。
*****
「リリー!この男とどういう関係なんだい!?」
「え!?」
「…ん?リリー、あー、知り合いか?」
久しぶりにリリーとの交流を果たしていると、突然黒髪で癖毛の男がリリーとの間に入って、此方を指さしてきた。
人を指さすなんて、失礼な少年だ。
リリーは突然のことで驚いていたが、誰か分かるとキリリと眉を吊り上げて声を荒げた。
「ちょっとポッター、邪魔よ!」
「あぁ、リリー!大丈夫さぁ、こんなことで僕らの愛は崩れたりしない!」
「元から存在しないわよ!!」
「怒った顔も可愛いけど、笑ってくれた方が嬉しいなぁ。」
「アンタがいなくなったらね!」
おぉ、すごくリリーが怒っている。
俺もセブルスもチュニーも、この赤色の天使をこんなに怒らせたことはない。
二人が見たらびっくりするだろうな。俺は今びっくりしている。
何だ何だと他の生徒が注目し始めている。
これ以上は周りの迷惑になってしまうので、止めるか。
言い争いというよりは言葉の一方通行を続ける二人の間に立ち、リリーの頭を撫でる。
乱暴な言葉は使うのは自分の為にならないよ。
黙って見つめただけだが、通じたようでムスッとしながらも口を閉ざした。
うんうん、リリーは今も素直でいい子だ。
そんな俺たちをわなわなと見つめる男が一人。
「な、何なんだい、君は!僕のリリーに!!」
「…お前、ええと、ポッター?」
そこまで睨みつけたつもりはないのだが、冷や汗を流しながらポッターは一歩後ろに下がった。
静かになってくれて都合が良いけど、悲しいな…この怖い顔。
リリーを庇うようにして前に立つ。
俺より頭一つ小さいポッターは、それでもグリフィンドール生らしく食って掛かるような視線を向けた。
「…リリーはお前のではない。」
「何!」
「当たり前だが、俺のものでもないからな。」
人をモノ扱いしてはいけないと言うと、ポッターはハッとした後、若干すまなそうな表情で俺の後ろにいるリリーを見た。
分ればいいんだ、分れば。お互いを知り、理解し合えば物事は大体うまくいく。
うんうんと内心うなずきながら、俺はポッターに右手を差し出して言った。
「ヴァンだ。2年生、ハッフルパフ。」
「ジェームズ・ポッター。」
「リリーと俺は幼馴染。兄妹みたいなもんだ。寮は違うが、よろしく頼む。」
「…こちらこそ。」
幼馴染で兄妹、の発言の時にジェームズが少し嬉しそうな顔をした。分りやすいやつだな。
握手をした後、こっそり「リリーに謝っておけよ」と何か言いたげな表情のジェームズに伝えた。
リリーにはまた別の機会に会うことを伝え、俺はさっさと二人と別れた。
自寮のテーブルに戻ると、友人たちがいたので向いの席に座った。
「二人ともおはよう。」
「…はよ。」
「おっはよー、ヴァン!お疲れ様って言っておこうか?」
「あ?なんかあったのか?」
「あれ、知らないの?ローズちゃんったら遅れてる~。」
「ハドール、次言ったら、てめぇのデザートにマーマイトぶっ掛けるぞ。」
「やめてください!僕、耐えられません!ヴァンはあのジェームズ・ポッターと幼馴染のエバンスをかけて決闘したんだよ!!」
「決闘?おい、ヴァン。何でおれを呼ばねぇんだ!」
「待て。決闘はしていない。話してただけだ。」
「拳で?」
「言葉で。」
つまらん。とローザは山盛りの蜜糖ケーキを口いっぱいに頬張り、ジョッキいっぱいのホットチョコレートを飲み干した。
周りに広がる甘ったるい匂いに頬がひきつる。
隣に座っているハドールも笑顔だがややぐったりしている。
視界の暴力から目を逸らしつつ、ハドールが話しかけてきた。
「ジェームズ・ポッターたら無粋だよねぇ。未来のお義兄さんに向かって。」
「誰がお義兄さんだ。」
「え?だってエバンスが『先輩からももっと積極的になるように言ってください。二人ったら、
せっかくクリスマス休暇に二人っきりにしてあげたのにチューの一つも…』って。」
「リリー!!!!!!!」
俺はハドールの言葉を最後まで聞くことなく、グリフィンドールの席まで駆け込んでいった。
スリザリン輩出一家の長男で、グリフィンドール生だ。
家族からは毎日吠えメールが届くが、無視して今日もミートパイの前の席に座る。
リーマスとピーターが近くに座るのもいつものことだ。
挨拶もそこそこに、俺は一番大きなアツアツのミートパイを掴んでかぶりついた。
「大変だっ!!!」
「ごふっ!」
「シリウス、大丈夫!?」
「ジェームズ、おはよう。」
ミートパイを口に入れた瞬間に肩をつかまれ、息が詰まり変な声が出た。
つかんだのは我らが友人のジェームズ・ポッターだ。
秀才かつ勇猛果敢なグリフィンドール生らしいジェームズは、同じグリフィンドール生のリリー・エバンスにご執心だ。
今のところ結果が出ているようには見えないが。
先ほど、リリーに会いに行ってくる!とスキップしそうな勢いで去って行ったはず。
汚れた口を拭いながら睨みつけると、ジェームズがわなわなとある方向を指さした。
ジェームズが指さす方を向くと、エバンスが見知らぬ男と話しているのが見えた。
フードの色からすると、ハッフルパフか。
他の寮にしても入学式に見なかった顔だから、上の学年だな。
男の顔は見えないが、エバンスの表情を見る限り、かなり親しげな雰囲気が伝わる。
ここまで推測して、思わずジェームズの肩に手を乗せて言った。
「まぁ、残念だったな。」
「ちょっとぉ!?まだ付き合ってると決まったわけじゃないだろ!?」
「…うーん、でも友人にしてはやけにフランクじゃない?」
「僕もそう思う…。」
リーマスやピーターにまで追撃され、ジェームズは落胆したように見えたが、すぐに立ち直ると、
「直接、聞いてくるよ!」
と、二人の方へ走って行ってしまった。
「あーあ、行っちゃった…。」
「さ、流石グリフィンドールってやつ…?」
「アイツと一緒にしないでくれ。」
先ほどの衝撃で無残な姿となったミートパイを見つつ、俺はため息を吐いた。
*****
「リリー!この男とどういう関係なんだい!?」
「え!?」
「…ん?リリー、あー、知り合いか?」
久しぶりにリリーとの交流を果たしていると、突然黒髪で癖毛の男がリリーとの間に入って、此方を指さしてきた。
人を指さすなんて、失礼な少年だ。
リリーは突然のことで驚いていたが、誰か分かるとキリリと眉を吊り上げて声を荒げた。
「ちょっとポッター、邪魔よ!」
「あぁ、リリー!大丈夫さぁ、こんなことで僕らの愛は崩れたりしない!」
「元から存在しないわよ!!」
「怒った顔も可愛いけど、笑ってくれた方が嬉しいなぁ。」
「アンタがいなくなったらね!」
おぉ、すごくリリーが怒っている。
俺もセブルスもチュニーも、この赤色の天使をこんなに怒らせたことはない。
二人が見たらびっくりするだろうな。俺は今びっくりしている。
何だ何だと他の生徒が注目し始めている。
これ以上は周りの迷惑になってしまうので、止めるか。
言い争いというよりは言葉の一方通行を続ける二人の間に立ち、リリーの頭を撫でる。
乱暴な言葉は使うのは自分の為にならないよ。
黙って見つめただけだが、通じたようでムスッとしながらも口を閉ざした。
うんうん、リリーは今も素直でいい子だ。
そんな俺たちをわなわなと見つめる男が一人。
「な、何なんだい、君は!僕のリリーに!!」
「…お前、ええと、ポッター?」
そこまで睨みつけたつもりはないのだが、冷や汗を流しながらポッターは一歩後ろに下がった。
静かになってくれて都合が良いけど、悲しいな…この怖い顔。
リリーを庇うようにして前に立つ。
俺より頭一つ小さいポッターは、それでもグリフィンドール生らしく食って掛かるような視線を向けた。
「…リリーはお前のではない。」
「何!」
「当たり前だが、俺のものでもないからな。」
人をモノ扱いしてはいけないと言うと、ポッターはハッとした後、若干すまなそうな表情で俺の後ろにいるリリーを見た。
分ればいいんだ、分れば。お互いを知り、理解し合えば物事は大体うまくいく。
うんうんと内心うなずきながら、俺はポッターに右手を差し出して言った。
「ヴァンだ。2年生、ハッフルパフ。」
「ジェームズ・ポッター。」
「リリーと俺は幼馴染。兄妹みたいなもんだ。寮は違うが、よろしく頼む。」
「…こちらこそ。」
幼馴染で兄妹、の発言の時にジェームズが少し嬉しそうな顔をした。分りやすいやつだな。
握手をした後、こっそり「リリーに謝っておけよ」と何か言いたげな表情のジェームズに伝えた。
リリーにはまた別の機会に会うことを伝え、俺はさっさと二人と別れた。
自寮のテーブルに戻ると、友人たちがいたので向いの席に座った。
「二人ともおはよう。」
「…はよ。」
「おっはよー、ヴァン!お疲れ様って言っておこうか?」
「あ?なんかあったのか?」
「あれ、知らないの?ローズちゃんったら遅れてる~。」
「ハドール、次言ったら、てめぇのデザートにマーマイトぶっ掛けるぞ。」
「やめてください!僕、耐えられません!ヴァンはあのジェームズ・ポッターと幼馴染のエバンスをかけて決闘したんだよ!!」
「決闘?おい、ヴァン。何でおれを呼ばねぇんだ!」
「待て。決闘はしていない。話してただけだ。」
「拳で?」
「言葉で。」
つまらん。とローザは山盛りの蜜糖ケーキを口いっぱいに頬張り、ジョッキいっぱいのホットチョコレートを飲み干した。
周りに広がる甘ったるい匂いに頬がひきつる。
隣に座っているハドールも笑顔だがややぐったりしている。
視界の暴力から目を逸らしつつ、ハドールが話しかけてきた。
「ジェームズ・ポッターたら無粋だよねぇ。未来のお義兄さんに向かって。」
「誰がお義兄さんだ。」
「え?だってエバンスが『先輩からももっと積極的になるように言ってください。二人ったら、
せっかくクリスマス休暇に二人っきりにしてあげたのにチューの一つも…』って。」
「リリー!!!!!!!」
俺はハドールの言葉を最後まで聞くことなく、グリフィンドールの席まで駆け込んでいった。