【銀魂】その酒屋の孫は愛想がいい
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配達が終わった帰り道。
信号で一時停止をしていると、後ろからピザ屋の配達のお兄さんがバイクで俺の車に突っ込んできた。
信号の色は赤。私は停止していた。
悪いのは100%お兄さんだが、放置するわけにもいかず、慌てて車から降りて駆け寄った。
「えっと…大丈夫ですか?」
「大丈夫に見えるのかよー!これがよー!」
「で、ですよね…。」
頭か腕を抑えているなら兎も角、何故お尻?
お兄さんは何故かお尻を抑えながらもんどり打っていた。
「いてて…もうこれやばいんじゃない?さけたんじゃない?」
「びょ、病院行きます?」
「やー、いいわ。金無いし。」
「そ、そうですか?」
でも、と続けたお兄さんにごくりと喉が鳴る。
どうしよう、ヤのつくお兄さんだったら…慰謝料とか?
…つか、俺が悪いわけじゃないのだけれど。
お兄さんは真剣な声色で俺に言った。
「君、ちょっと塗るタイプの方買ってきてくれない?塗るタイプね、塗るタイプ。」
「……痔?」
問いかけると小さく頷かれたので、黙って薬局へ向かった。
買うときには貰ってもいないメモをみながら買いましたよ、ええ。
私が使うのだと勘違いされたくないので。
「はい、どうぞ。」
「あー、どうも。」
気だるげに受け取られてイラッとしたので、それ私の金で買ったやつだからな!と心の中で叫ぶ。
もうこれ以上この人と関わりたくないわ、面倒だわ。
「それじゃあ、さようなら。」
「あぁ、またな。」
二度と会うか、ボケ!
舌打ちしかけるのを堪え、私はニッコリと笑って車に乗り込んだ。
しっかり周囲を確認し、最短距離で家へ帰った。
「ただいまー。」
「おかえりなさい。」
玄関で靴を脱いでいるとばあちゃんがパタパタと駆け寄ってきた。
じいちゃんはどうやら近所の飲み屋に顔を見せに行っているらしい。
配達のついでらしいが、言ってくれれば持って行ったのに。
そういうとじいちゃんは決まって「わしはまだ現役だ!」と快活に笑うのだ。
閑話休題
「そういえば今日は帰り遅かったわね?どうしたの?」
「いや…ちょっと渋滞に。」
まさか、痔のお兄さんが車にぶつかってきて、そのお兄さんの為に薬局で薬買ってたなんて言えない…。
「あら、そうなの。…だからかしら?」
ばあちゃんは困ったように首をかしげた。
どうしたのかと問うと、ばあちゃんはため息をつきながら言った。
「今日は出前を取ってみたのだけれど、まだ来ないのよ。」
「……出前?」
「ほら、与彦さんも好きな、アレよ。」
与彦、つまりウチのじいちゃんが好きな…。
見た目は江戸っ子、中身はハイカラ大好き。そんなじいちゃんが好む出前なんて言ったら…!
「まさかっ!」
私が答えを聞く前にガラガラと玄関が開く音がした。
ばあちゃんと二人で振り返ると、そこにはさっきのお兄さんがいた。
…やっぱりか!!
「すいやせーん、ピザの出前なんですけどー、ちょっと渋滞で遅れちゃいました。」
「そうそう、ピザねピザ!」
ばあちゃんはハイカラな横文字はなかなか覚えられないのか、思い出したかのようにポンと手を叩いた。
一方お兄さんは私のことに気付いていないのか、ピザを上がり框に置き、領収証を取り出した。
「あーっと、料金は…。」
「あら、私ったらお財布部屋に置きっぱなしだわ!ごめんなさい、今とってきますからね。」
「ん?あぁ、慌てなくていいっすよ。」
ばあちゃんが奥にひっこんだ後、私はむすっと座り込みお兄さんを見上げた。
「お尻の具合はどうです?」
「あ、さっきの。」
前髪が長くてよく表情が分からないが、お兄さんは驚いたようだった。
というか、今、気づいたのか。
私は三白眼になりつつぼそっと呟いた。
「渋滞…嘘ですよね。」
「ぎく。」
「ぎく。じゃないですよ、だれがアンタの薬買ったと思っているんですか。」
「あー、払った方がいい?」
「そうですね、じゃあピザ奢ってください。」
「えぇ!何で!?」
お兄さんは私の方に顔をバッと向け、驚愕の声を上げた。
私の車にぶつかっておいて、私に薬買わせたよね?ピザ、遅れて配達したよね?と、
私が無言で圧力をかけると、お兄さんは領収証の値段と私の顔を交互に見ながら、
いやーでも今月キツイしなー、とぼそぼそと言い訳を始めた。
「そういえばウチの車、ちょっと凹んじゃったんですけど、出るとこ出てもいいんですよ?こっちは信号待ってただけですから?」
「ごめんなさいね、細かい小銭が見当たらなくって…。」
「これ、割引券です!毎度、ありがとうございました!それでは!」
「……私、料金払ってないわよね?」
「んー?なんか渋滞で遅れたからじゃない?サービスだよ、サービス。」
「あら、そうなの。最近のピザ?屋さんはすごいのね。」
青い顔して出て行ったお兄さんに気付かないばあちゃんも、相当すごいと思うよ。
また玄関が開く音がしたので振り向くと、じいちゃんが帰ってきた。
「ただいまー。」
「あら、与彦さん。おかえりなさい。」
「じいちゃん、おかえり。」
じいちゃんは靴を脱いでいる途中にハッと顔を上げると、横に置いてある箱を見て言った。
「む!この匂いはシーフードピザだな!早く食べるぞ!」
「じいちゃん、何で具材まで分かるんだ…。」
そしてじいちゃんはばあちゃんに飲み物の準備を頼むと、茶の間へさっさと向かってしまった。
どれだけ食べたかったんだ、じいちゃんよ。
私は玄関が閉まっているのを確認し、ピザとサービス券を持って、茶の間へ向かった。
結論として、ピザは美味しかったです。
信号で一時停止をしていると、後ろからピザ屋の配達のお兄さんがバイクで俺の車に突っ込んできた。
信号の色は赤。私は停止していた。
悪いのは100%お兄さんだが、放置するわけにもいかず、慌てて車から降りて駆け寄った。
「えっと…大丈夫ですか?」
「大丈夫に見えるのかよー!これがよー!」
「で、ですよね…。」
頭か腕を抑えているなら兎も角、何故お尻?
お兄さんは何故かお尻を抑えながらもんどり打っていた。
「いてて…もうこれやばいんじゃない?さけたんじゃない?」
「びょ、病院行きます?」
「やー、いいわ。金無いし。」
「そ、そうですか?」
でも、と続けたお兄さんにごくりと喉が鳴る。
どうしよう、ヤのつくお兄さんだったら…慰謝料とか?
…つか、俺が悪いわけじゃないのだけれど。
お兄さんは真剣な声色で俺に言った。
「君、ちょっと塗るタイプの方買ってきてくれない?塗るタイプね、塗るタイプ。」
「……痔?」
問いかけると小さく頷かれたので、黙って薬局へ向かった。
買うときには貰ってもいないメモをみながら買いましたよ、ええ。
私が使うのだと勘違いされたくないので。
「はい、どうぞ。」
「あー、どうも。」
気だるげに受け取られてイラッとしたので、それ私の金で買ったやつだからな!と心の中で叫ぶ。
もうこれ以上この人と関わりたくないわ、面倒だわ。
「それじゃあ、さようなら。」
「あぁ、またな。」
二度と会うか、ボケ!
舌打ちしかけるのを堪え、私はニッコリと笑って車に乗り込んだ。
しっかり周囲を確認し、最短距離で家へ帰った。
「ただいまー。」
「おかえりなさい。」
玄関で靴を脱いでいるとばあちゃんがパタパタと駆け寄ってきた。
じいちゃんはどうやら近所の飲み屋に顔を見せに行っているらしい。
配達のついでらしいが、言ってくれれば持って行ったのに。
そういうとじいちゃんは決まって「わしはまだ現役だ!」と快活に笑うのだ。
閑話休題
「そういえば今日は帰り遅かったわね?どうしたの?」
「いや…ちょっと渋滞に。」
まさか、痔のお兄さんが車にぶつかってきて、そのお兄さんの為に薬局で薬買ってたなんて言えない…。
「あら、そうなの。…だからかしら?」
ばあちゃんは困ったように首をかしげた。
どうしたのかと問うと、ばあちゃんはため息をつきながら言った。
「今日は出前を取ってみたのだけれど、まだ来ないのよ。」
「……出前?」
「ほら、与彦さんも好きな、アレよ。」
与彦、つまりウチのじいちゃんが好きな…。
見た目は江戸っ子、中身はハイカラ大好き。そんなじいちゃんが好む出前なんて言ったら…!
「まさかっ!」
私が答えを聞く前にガラガラと玄関が開く音がした。
ばあちゃんと二人で振り返ると、そこにはさっきのお兄さんがいた。
…やっぱりか!!
「すいやせーん、ピザの出前なんですけどー、ちょっと渋滞で遅れちゃいました。」
「そうそう、ピザねピザ!」
ばあちゃんはハイカラな横文字はなかなか覚えられないのか、思い出したかのようにポンと手を叩いた。
一方お兄さんは私のことに気付いていないのか、ピザを上がり框に置き、領収証を取り出した。
「あーっと、料金は…。」
「あら、私ったらお財布部屋に置きっぱなしだわ!ごめんなさい、今とってきますからね。」
「ん?あぁ、慌てなくていいっすよ。」
ばあちゃんが奥にひっこんだ後、私はむすっと座り込みお兄さんを見上げた。
「お尻の具合はどうです?」
「あ、さっきの。」
前髪が長くてよく表情が分からないが、お兄さんは驚いたようだった。
というか、今、気づいたのか。
私は三白眼になりつつぼそっと呟いた。
「渋滞…嘘ですよね。」
「ぎく。」
「ぎく。じゃないですよ、だれがアンタの薬買ったと思っているんですか。」
「あー、払った方がいい?」
「そうですね、じゃあピザ奢ってください。」
「えぇ!何で!?」
お兄さんは私の方に顔をバッと向け、驚愕の声を上げた。
私の車にぶつかっておいて、私に薬買わせたよね?ピザ、遅れて配達したよね?と、
私が無言で圧力をかけると、お兄さんは領収証の値段と私の顔を交互に見ながら、
いやーでも今月キツイしなー、とぼそぼそと言い訳を始めた。
「そういえばウチの車、ちょっと凹んじゃったんですけど、出るとこ出てもいいんですよ?こっちは信号待ってただけですから?」
「ごめんなさいね、細かい小銭が見当たらなくって…。」
「これ、割引券です!毎度、ありがとうございました!それでは!」
「……私、料金払ってないわよね?」
「んー?なんか渋滞で遅れたからじゃない?サービスだよ、サービス。」
「あら、そうなの。最近のピザ?屋さんはすごいのね。」
青い顔して出て行ったお兄さんに気付かないばあちゃんも、相当すごいと思うよ。
また玄関が開く音がしたので振り向くと、じいちゃんが帰ってきた。
「ただいまー。」
「あら、与彦さん。おかえりなさい。」
「じいちゃん、おかえり。」
じいちゃんは靴を脱いでいる途中にハッと顔を上げると、横に置いてある箱を見て言った。
「む!この匂いはシーフードピザだな!早く食べるぞ!」
「じいちゃん、何で具材まで分かるんだ…。」
そしてじいちゃんはばあちゃんに飲み物の準備を頼むと、茶の間へさっさと向かってしまった。
どれだけ食べたかったんだ、じいちゃんよ。
私は玄関が閉まっているのを確認し、ピザとサービス券を持って、茶の間へ向かった。
結論として、ピザは美味しかったです。
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