【銀魂】その酒屋の孫は愛想がいい
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目的地の前で車を止め、扉をうるさくない程度に叩く。
扉の向こうは明かりこそついていないが、家主は奥にいるだろう。
奥の部屋に届くように声を上げる。
「こんにちはー、酒屋でーす!」
「はいよ、ちょっと待ちな。」
ほら、いた。
ゆっくりと近づいてくる音がして、扉が開く。
すぐさま愛想よく笑顔で挨拶すると、今日も精が出るね、と笑われた。
「お登勢さんこそ、今日もお綺麗で。」
「そんなバカなことを言うのは旦那とアンタぐらいだよ。酒はカウンターの中に置いてくれるかい?」
「了解しましたぁ!」
車の荷台に積んだ酒を一度に室内へ運ぶと、お登勢さんが呆れたように言った。
「相変わらずの馬鹿力だねぇ。」
「馬鹿は余計ですよ!ちょっと力持ちなだけですから。」
「前が見えないぐらいに酒瓶の箱を重ねて持つ奴が、ちょっと力持ちな訳あるかい。」
「いやー、でも時間短縮になりますし。」
「まぁ、あの酒屋の夫婦もいい歳だからね。アンタみたいな働き者の孫が来てくれて嬉しいだろうよ。」
「・・・そうだと、嬉しいです。」
領収証にサインをしながらそう呟くお登勢さんに、眉を下げつつ苦笑した。
・・本当の孫じゃないんだけどな、とは声には出さない。
半年前のある日、この江戸の町にいた私は身寄りもなく、仕事もなく、あてもなく文字通り町をふらふらしていた。
もうここまでかと諦めかけていたとき、運よく通りかかった老夫婦に保護していただいた。
言動も存在も怪しい私に対し、人手が足りないからと、仕事を、暖かい食事と空間を与えてくれた。この恩は決して忘れない。
そして今は老夫婦が営む酒屋で、配達を専門に手伝っている。
「ウチの上のももう少し気概があればねぇ・・。」
「あぁ、坂田さん・・。」
「銀時ったら、今日もまだ寝てるのかね。まったく。」
お登勢さんは天井を見つめ、重くため息をつく。
銀時の上の名は坂田、坂田銀時。
この雑踏にまぎれた江戸の町の様々な依頼を請け負う万事屋である。
「兎も角。今日もどうもね。気を付けて帰んな。」
「はい!まいどありがとうございました!」
扉が閉まるまで頭を下げて、さて次の配達場所は・・と顔を上げると、二階の玄関が開く音がした。
ハッとして上を見上げるとキラキラと日光に反射する髪の毛を持つ彼がいた。
パチリと目があったので、勢いよく頭を下げる。
「坂田さん、おっはようございます!」
「あー。・・はよ。朝はえーのに元気だな。」
彼は髪をぐしゃぐしゃと混ぜながら、大きな欠伸をしていた。
今の時間は10時。
確かにいつもの彼にしては早い方だとは思うが、一般的には朝としては遅いと思う。
これではお登勢さんが文句を言うのもうなずける。
「私は毎朝5時起きなので!健康体です!」
「嫌味ですか、コノヤロー。」
「それではまだ配達が残っているので失礼します!」
「聞けよ。」
ぶつぶつ文句を言っている彼を横目に、車に乗り込む。
午前中の内に配達を終わらせないと、店にいる二人を待たせてしまう。
何度言ってもお昼を三人で食べたがる二人は、私が遅くても有難いことにずっと待っていてくれる。
朝は早いが、夕方には閉店。お昼は12時、おやつは3時。健全なホワイト企業ならぬ酒屋である。
坂田さんがお登勢さんに見つかり元気よくお話しているのを横目に見つつ、
後ろに積む酒瓶に衝撃がいかないように、私はゆっくりとアクセルを踏んだ。
扉の向こうは明かりこそついていないが、家主は奥にいるだろう。
奥の部屋に届くように声を上げる。
「こんにちはー、酒屋でーす!」
「はいよ、ちょっと待ちな。」
ほら、いた。
ゆっくりと近づいてくる音がして、扉が開く。
すぐさま愛想よく笑顔で挨拶すると、今日も精が出るね、と笑われた。
「お登勢さんこそ、今日もお綺麗で。」
「そんなバカなことを言うのは旦那とアンタぐらいだよ。酒はカウンターの中に置いてくれるかい?」
「了解しましたぁ!」
車の荷台に積んだ酒を一度に室内へ運ぶと、お登勢さんが呆れたように言った。
「相変わらずの馬鹿力だねぇ。」
「馬鹿は余計ですよ!ちょっと力持ちなだけですから。」
「前が見えないぐらいに酒瓶の箱を重ねて持つ奴が、ちょっと力持ちな訳あるかい。」
「いやー、でも時間短縮になりますし。」
「まぁ、あの酒屋の夫婦もいい歳だからね。アンタみたいな働き者の孫が来てくれて嬉しいだろうよ。」
「・・・そうだと、嬉しいです。」
領収証にサインをしながらそう呟くお登勢さんに、眉を下げつつ苦笑した。
・・本当の孫じゃないんだけどな、とは声には出さない。
半年前のある日、この江戸の町にいた私は身寄りもなく、仕事もなく、あてもなく文字通り町をふらふらしていた。
もうここまでかと諦めかけていたとき、運よく通りかかった老夫婦に保護していただいた。
言動も存在も怪しい私に対し、人手が足りないからと、仕事を、暖かい食事と空間を与えてくれた。この恩は決して忘れない。
そして今は老夫婦が営む酒屋で、配達を専門に手伝っている。
「ウチの上のももう少し気概があればねぇ・・。」
「あぁ、坂田さん・・。」
「銀時ったら、今日もまだ寝てるのかね。まったく。」
お登勢さんは天井を見つめ、重くため息をつく。
銀時の上の名は坂田、坂田銀時。
この雑踏にまぎれた江戸の町の様々な依頼を請け負う万事屋である。
「兎も角。今日もどうもね。気を付けて帰んな。」
「はい!まいどありがとうございました!」
扉が閉まるまで頭を下げて、さて次の配達場所は・・と顔を上げると、二階の玄関が開く音がした。
ハッとして上を見上げるとキラキラと日光に反射する髪の毛を持つ彼がいた。
パチリと目があったので、勢いよく頭を下げる。
「坂田さん、おっはようございます!」
「あー。・・はよ。朝はえーのに元気だな。」
彼は髪をぐしゃぐしゃと混ぜながら、大きな欠伸をしていた。
今の時間は10時。
確かにいつもの彼にしては早い方だとは思うが、一般的には朝としては遅いと思う。
これではお登勢さんが文句を言うのもうなずける。
「私は毎朝5時起きなので!健康体です!」
「嫌味ですか、コノヤロー。」
「それではまだ配達が残っているので失礼します!」
「聞けよ。」
ぶつぶつ文句を言っている彼を横目に、車に乗り込む。
午前中の内に配達を終わらせないと、店にいる二人を待たせてしまう。
何度言ってもお昼を三人で食べたがる二人は、私が遅くても有難いことにずっと待っていてくれる。
朝は早いが、夕方には閉店。お昼は12時、おやつは3時。健全なホワイト企業ならぬ酒屋である。
坂田さんがお登勢さんに見つかり元気よくお話しているのを横目に見つつ、
後ろに積む酒瓶に衝撃がいかないように、私はゆっくりとアクセルを踏んだ。
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