【探偵】その絵本作家は純朴である
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
コンビニに行こうと思ったのは、本当にたまたま。
いつもの最寄りじゃなくて、ちょっと遠くのコンビニに行ったのは新商品の炭酸が売ってなかったから。
そこのお菓子売り場で、おれが描いたイラストが使われている商品があって、嬉しくて手に取ると下から声がかけられた。
「おっさん、大人なのに子どもみてーなお菓子買うのか?」
「元太くん、失礼ですよ!」
「そうだよ、歩美のママも新しいお菓子とか買ってるよ!」
下を見ると、小学生と思しき子どもが三人。
すごいな、見た限り1、2年生みたいなのにしっかりしてるなぁ。
「こんにちは、じゃあ、おじさんがこのお菓子を何で買おうとしたか、分かるかな?」
「なんだ?クイズか?」
「なんででしょう?…似た商品でもっと大きいのもありますよね。」
「うーーーん、絵が可愛いから?」
「か、かわ…!?」
う、嬉しい…!!!担当さんたち大人に評価されることは多々あれど、子どもから直接褒められるなんてこと滅多にないからなぁ!
そうか、可愛いのか…良かったぁ。安心して答えを教えられそうだ。
「ふふ、実はね、」
「金を出せ!!!」
レジの方から叫ぶ声と物音に思わず子どもたちを庇う。
コンビニ強盗…人数は見えるのは二人か。
「強盗だって」「捕まえねーと」「やりましょう」
「ダメだよ、君たちはここへ残って。」
今にも飛び出しそうな三人を止めると、不満そうな顔が三つ。
正義感と探究心は恐れ入るところだが、相手が悪すぎる。
「君たちは奥で怖がっている子連れのお母さんのところへ行ってあげて。君たちが守るんだ、いいね。」
そう言うと、口々にわかった、と小さく行って、小柄な身を隠して後ろへ下がっていく。
おれは音を立てないようにゆっくりとレジへ向かって進んでいると、一人の少年がいた。
なんだ、彼がいるなら安心だな。
「二人ってーと、麻酔銃は一発だし、ボールは他の客に当たる可能性が…。」
「じゃあ、片方はおれに任せてくれないかな。」
「なっ!アンタは…!!」
「新ちゃんは右、おれは左。合図はおれが。」
いいね、と目配せすると、大きな目をキリリと鋭くし、一つ頷いた。
三本に立てた指を順に減らしていく。最後の一本を折り、素早く下へ下ろした瞬間、おれは犯人へ向かって飛びかかった。
「なんだこいつ、うおぁ!?」
反撃をさせる前に抑え込む。柔道は囓った程度だが、散々練習させられたこの基礎は、運動苦手なおれでも忘れそうにない。
昔取った杵柄ってやつだね。
もう一人の犯人を見ると、安らかに眠っていた。
うーーん、次に起きるのは取調室ってことだろうか。
「おっさん、すげーーな!」
「かっこよかったです!」
「おじさん、お巡りさんなの?」
警察に引き渡した後、口々に先程の子どもたちが駆け寄ってきた。
お巡りさんか…格好いいよね、先輩もそうだったし。あれ?刑事さんだったかな?
「違うよ、おれは」
「絵本作家、だよね。」
そう言いながら袖を引いた彼に、子どもたちが口々に声をかける。
あ!コナン!またお前だけ手柄とったな!
そうですよ!僕たちみんなで少年探偵団ですよ!
歩美たちもつれてってよ!
「まーまー、おめーらも親子連れをしっかり守ってたじゃねーか!」
「そうだね。彼みたいに犯人を捕まえるだけが、手柄じゃないよ。」
みんな、お手柄だったね。と、持っていたメモ帳に簡単な絵を描く。
端には「お手柄少年探偵団ありがとう!」とサインを一筆。
「大した物じゃないけど、よかったら貰って下さい。」
「あれ?これ、さっきのお菓子と同じ絵!」
「そっくりだな!」
「そういえば、さっきコナン君が絵本作家って…」
「そう、そのお菓子の絵はおれが描いたやつだよ。」
三人はしばし凝視したあと、キラキラとした目で受け取ってくれた。
すげーすげー!と喜ばれて、何というか、すごく、嬉しい。
そこに一人の警官が声をかける。
「すみません、先程の事件のお話をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。今行きますね。」
「えー!作家先生行っちまうのかよ!」
「そうです!もっと話聞きたかったです!」
「歩美ももっと絵を描いて欲しかったー!」
「あーと、ごめんね?」
「おめーら、あんまり困らせんな。後で皆で遊びに行けばいいだろ?」
え?遊びに?作家先生初耳ですけど?
びっくりして皆をみると、期待を込めた眼差し。
頷く以外の道はなかった。
それじゃあまたなー!さようならー!と去っていく皆を見送った。
さて、お巡りさんのところに行くかと踵を返すと目の前に子どもが。
「えーーーと?コ、コナン君?どうしたのかな?」
「……今更、なーにがコナン君、だ。」
「へ?」
さっきアンタが犯人を捕まえる前に何て言ったか覚えているか?
えーと、確か…新ちゃんは右、おれは……あ。
「初対面の筈の俺が、仕事について言っても何も疑問に思ってねー。
つまり、俺が工藤新一だって、気付いてんだろ。なぁ?幸一おじさん。」
「ソ、ソンナコトナイヨ?」
「演技の才能は母さんに全部持って行かれたんだな。」
「…おれと姉さんは従姉弟だから、才能は関係ないよ。」
新ちゃん。と諦めの表情のおれにドヤ顔の新ちゃんこと、新一君。いや、今は江戸川コナン君か…。
何度、何故分かったのかと聞かれても、知ってたから、なんて言えないよなぁ。
かつて画面の向こうで見慣れていた姿すぎて、思わず当たり前に名探偵コナン君として扱ってしまったなんて。
いつもの最寄りじゃなくて、ちょっと遠くのコンビニに行ったのは新商品の炭酸が売ってなかったから。
そこのお菓子売り場で、おれが描いたイラストが使われている商品があって、嬉しくて手に取ると下から声がかけられた。
「おっさん、大人なのに子どもみてーなお菓子買うのか?」
「元太くん、失礼ですよ!」
「そうだよ、歩美のママも新しいお菓子とか買ってるよ!」
下を見ると、小学生と思しき子どもが三人。
すごいな、見た限り1、2年生みたいなのにしっかりしてるなぁ。
「こんにちは、じゃあ、おじさんがこのお菓子を何で買おうとしたか、分かるかな?」
「なんだ?クイズか?」
「なんででしょう?…似た商品でもっと大きいのもありますよね。」
「うーーーん、絵が可愛いから?」
「か、かわ…!?」
う、嬉しい…!!!担当さんたち大人に評価されることは多々あれど、子どもから直接褒められるなんてこと滅多にないからなぁ!
そうか、可愛いのか…良かったぁ。安心して答えを教えられそうだ。
「ふふ、実はね、」
「金を出せ!!!」
レジの方から叫ぶ声と物音に思わず子どもたちを庇う。
コンビニ強盗…人数は見えるのは二人か。
「強盗だって」「捕まえねーと」「やりましょう」
「ダメだよ、君たちはここへ残って。」
今にも飛び出しそうな三人を止めると、不満そうな顔が三つ。
正義感と探究心は恐れ入るところだが、相手が悪すぎる。
「君たちは奥で怖がっている子連れのお母さんのところへ行ってあげて。君たちが守るんだ、いいね。」
そう言うと、口々にわかった、と小さく行って、小柄な身を隠して後ろへ下がっていく。
おれは音を立てないようにゆっくりとレジへ向かって進んでいると、一人の少年がいた。
なんだ、彼がいるなら安心だな。
「二人ってーと、麻酔銃は一発だし、ボールは他の客に当たる可能性が…。」
「じゃあ、片方はおれに任せてくれないかな。」
「なっ!アンタは…!!」
「新ちゃんは右、おれは左。合図はおれが。」
いいね、と目配せすると、大きな目をキリリと鋭くし、一つ頷いた。
三本に立てた指を順に減らしていく。最後の一本を折り、素早く下へ下ろした瞬間、おれは犯人へ向かって飛びかかった。
「なんだこいつ、うおぁ!?」
反撃をさせる前に抑え込む。柔道は囓った程度だが、散々練習させられたこの基礎は、運動苦手なおれでも忘れそうにない。
昔取った杵柄ってやつだね。
もう一人の犯人を見ると、安らかに眠っていた。
うーーん、次に起きるのは取調室ってことだろうか。
「おっさん、すげーーな!」
「かっこよかったです!」
「おじさん、お巡りさんなの?」
警察に引き渡した後、口々に先程の子どもたちが駆け寄ってきた。
お巡りさんか…格好いいよね、先輩もそうだったし。あれ?刑事さんだったかな?
「違うよ、おれは」
「絵本作家、だよね。」
そう言いながら袖を引いた彼に、子どもたちが口々に声をかける。
あ!コナン!またお前だけ手柄とったな!
そうですよ!僕たちみんなで少年探偵団ですよ!
歩美たちもつれてってよ!
「まーまー、おめーらも親子連れをしっかり守ってたじゃねーか!」
「そうだね。彼みたいに犯人を捕まえるだけが、手柄じゃないよ。」
みんな、お手柄だったね。と、持っていたメモ帳に簡単な絵を描く。
端には「お手柄少年探偵団ありがとう!」とサインを一筆。
「大した物じゃないけど、よかったら貰って下さい。」
「あれ?これ、さっきのお菓子と同じ絵!」
「そっくりだな!」
「そういえば、さっきコナン君が絵本作家って…」
「そう、そのお菓子の絵はおれが描いたやつだよ。」
三人はしばし凝視したあと、キラキラとした目で受け取ってくれた。
すげーすげー!と喜ばれて、何というか、すごく、嬉しい。
そこに一人の警官が声をかける。
「すみません、先程の事件のお話をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。今行きますね。」
「えー!作家先生行っちまうのかよ!」
「そうです!もっと話聞きたかったです!」
「歩美ももっと絵を描いて欲しかったー!」
「あーと、ごめんね?」
「おめーら、あんまり困らせんな。後で皆で遊びに行けばいいだろ?」
え?遊びに?作家先生初耳ですけど?
びっくりして皆をみると、期待を込めた眼差し。
頷く以外の道はなかった。
それじゃあまたなー!さようならー!と去っていく皆を見送った。
さて、お巡りさんのところに行くかと踵を返すと目の前に子どもが。
「えーーーと?コ、コナン君?どうしたのかな?」
「……今更、なーにがコナン君、だ。」
「へ?」
さっきアンタが犯人を捕まえる前に何て言ったか覚えているか?
えーと、確か…新ちゃんは右、おれは……あ。
「初対面の筈の俺が、仕事について言っても何も疑問に思ってねー。
つまり、俺が工藤新一だって、気付いてんだろ。なぁ?幸一おじさん。」
「ソ、ソンナコトナイヨ?」
「演技の才能は母さんに全部持って行かれたんだな。」
「…おれと姉さんは従姉弟だから、才能は関係ないよ。」
新ちゃん。と諦めの表情のおれにドヤ顔の新ちゃんこと、新一君。いや、今は江戸川コナン君か…。
何度、何故分かったのかと聞かれても、知ってたから、なんて言えないよなぁ。
かつて画面の向こうで見慣れていた姿すぎて、思わず当たり前に名探偵コナン君として扱ってしまったなんて。