【探偵】その絵本作家は純朴である
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「えーっと、」
「灰原哀よ。」
「えっと、あいち」
「灰原よ。」
「…灰原ちゃん。」
おれは何で睨まれてるんだろう。
博士のお家に久々に遊びに来て、最近あそこのパスタ屋さんが美味しいよーなんて、
お土産のケーキを二人でつつきながら穏やかに談笑していたら、足元に綺麗な茶髪の女の子が立っていた。
「おかえり、哀くん。」
「ただいま。……誰、この人。」
「この子は幸一くん。新一のお母さんの従弟じゃ。」
「初めまして、藤峰幸一って言います。よろしくね。」
と、名前を聞いたのが5分前。
その後、電話で急用を思い出した博士が、おれたちを置いて外出したのが2分前。
そして、今、推定小学校低学年の少女と気まずい距離感でお互い座っている。
「貴方、本当に工藤くんの親戚なの?」
「え?うん、新ちゃんのお母さんと従姉弟で、えっと、新ちゃんのお母さんのお母さんとおれの母さんが…」
「そこは分かっているわ。」
「あ、そう…?」
ねぇ、皆さん…。
灰原ちゃん、大人っぽくすぎやしませんかね!?
あれ?おれより30位下だよね?????嘘でしょ????
すっかり冷めてしまったコーヒーを飲む。さっきよりも苦い気がしてすぐにのみ込んでしまった。
何か話題を…子ども向けの…怪しくないように…えっと…。
「絵本って最近読んだ?」
「え?」
「おれ、絵本作家なんだ。もしかしたらおれの本読んだことあるかなぁ、なんて。」
おれは自分の携帯で作品の一覧を出して、灰原ちゃんに手渡す。
灰原ちゃんはツンとした表情のまま、画像を見ていたが、ぴた、と動きを止めた。
「読んだことあるのあったかな?」
「…読んだことはないわ。」
そっか、とスマホを受け取ろうとする。
灰原ちゃんはそんなおれにスマホの画面を向けた。
「これ。」
「お姉ちゃんがよく手紙に書いてきたキャラクター。」
それはシンプルなタッチで描かれた女の子のイラストだった。
おれがデビューしたときの。
「もっと下手だったけれど、多分、同じ。」
「その子は、頭が良くて、ちょっともの静か、そして」
怖がりだけど、とても心根が優しい女の子だよ。
そう説明したおれに灰原ちゃんは、そう、とだけ返した。
お姉ちゃんは灰原ちゃんのこと、優しい子だと思ってたんだろうな。
「その本って、」
「うん?」
「…まだ貴方持ってる?」
今度持ってくるね、と言うと、ちょっぴり嬉しそうに笑った。
お姉ちゃんが持ってきてくれたら、そっちにもサインもするよ?なんておどけて言ったら、空気が凍った。
最低だ…。
…なんで、おれ、子持ちじゃない博士の家に灰原ちゃんがいることを察しなかったんだろう。
ごめん、と傷が浅い内に謝罪する。
下げた頭の上から、ふぅ、と息を吐く声が聞こえた。
「ちがうわ。」
「でも、」
「…お姉ちゃんは死んでない。」
えっ、と顔を上げると、やっぱりそう思ってたのねと灰原ちゃんは言った。
いや、そんな仲の良さそうなお姉さんと一緒にいないことと、今の空気が変わったのが、完全にそういう複雑な事情かと…。
もごもごと言いあぐねていると、灰原ちゃんは言葉を選ぶように視線を空に彷徨わせた後、こちらをみて言った。
「今はいないけど…。だけど、また会える。」
そう信じてる。
言い切った灰原ちゃんの表情は、まるで探偵になると改めて優作さんや姉さんたちの前で告げた新ちゃんにそっくりで。
きっとやり遂げる。そう感じた。
しかし、大人っぽいなぁ…新ちゃんに似てるなんて…、あれ?
新ちゃんに似てて?大人っぽくて?博士の家にいる????
なーーんか、憶えがあるような…?
あ。
「もしかして、灰原ちゃん。」
「なに?」
「新ちゃん…コナン君と同じだったりする?」
ガタリと顔を青くして距離をとる灰原ちゃんに、あわてて声をかける。
「あの!ちが!おれ、知ってるから!?大丈夫だから?!」
「………何が、どう、大丈夫なのか説明してほしいのだけれど?」
灰原ちゃん、こわぁい…。
腰に両手をあてこちらを見上げる灰原ちゃんから、最初の時とは違うプレッシャーを感じる。
しかし、どう説明したらいいんだろう。
ヘルプ、呼ぶか。
幸一さんは鋭いけどポンコツだから仕方ない。と、助けとして呼んだコナン君に断言されることになろうとは…。
そんな出会いから幾何か。
「やべ、掃除行ってねぇ。」
幸一ちゃん!新ちゃんだけだと大変だからお掃除ヨロシクね~!ヨロシクね~ねぇ~ねぇ…
有希子姉さんの声がリフレインする。
優作さんと有希子姉さんは度々海外に出ており、ここ数年は海外での仕事が多く、なかなか帰ってこない。
いくら将来の嫁とは云えど、何度も蘭ちゃんに掃除させるわけがなく。
いつも使うところは新ちゃんが、あまり使わない書庫や姉さんたちの寝室はおれが掃除することになった。
と、いっても換気して埃をはらう位だから、大した労働でもないし。
しっかし、夫婦の寝室を頼むって、信頼されてるというのか、上手く使われているというのか。
くそー、この間博士んとこ行ったついでに掃除してくればよかったな。
軍手や雑巾をビニール袋に、帰りに買い物するからあと財布をポッケに突っ込み、工藤家へ向かう。
あ、灰原ちゃんたちに何か買っていけば良かったかな?なんて、思いながら合鍵を回す。
ガチャ
バタン
「んん誰ぇぇえ???!!!」
扉を開けたら、明るい髪色の男性が鍋をミトンで持ってキッチンの方から出てきたところだった。
驚いて閉めた。
恐る恐る腰が引けたまま、もう一度開けてみると真っ暗。
あれ?見間違いかな、と一瞬思ったが、あ、これ黒い布だ。
上から声がかかる。
「何方ですか?」
「びゃう」
それはそれは情けない声を出して、おれは気が付いたら阿笠宅のリビングに倒れ伏していた。
灰原ちゃんがコーヒー片手に歩み寄ってくる。
そこは、どうしたの!?と駆け寄ってくるところでは…?
「貴方、何してるの?」
「新ちゃん家に誰かいたぁ…。」
「情けない声出さないの。」
それって、昴さんのことじゃない。
灰原ちゃんの声と重なるようにチャイムが鳴る。
は、灰原ちゃん!隠れないと!とキョロキョロ見回している間に、灰原ちゃんは玄関へ向かっていってしまった。
慌てて追いかけるとそこには先程の男性。
「貴方も江戸川君も、この人に説明するの忘れてたでしょ。」
怖がってるわよ、彼。
「それはすみません。すっかり失念してました。」
眼鏡の奥でうっすら笑う男性の手には、先程と同じ鍋が抱えられていた。
鍋持ってる?!怖い!?
若干錯乱しているおれを灰原ちゃんは男性の方へ押しやり、
今からサッカーの試合を見るから邪魔。とさっさと鍋を受け取って扉を閉じてしまった。
残されたミトンを装備した男性と雑巾を握りしめたままのおれ。
「あの、」
「は、はいっ!」
コーヒーでいいですか?
ミトンを外しながらそう尋ねてきた男性に、首を縦に振るしかなかった。
何でおれが飲みに行く前提なんだろう…。
「沖矢…昴さん…。」
「ええ。大学院生で、工藤さんのご厚意で居候させていただいていまして。」
「そうだったんですね。」
知らなかった…言っておいて欲しかった…特に新ちゃん。
おれは藤峰幸一です。と握手を交わす。
握った手に思わず視線を落としてしまった。
「…何か?」
「あの、その手…。」
昴さんが黙って左手をジャケットの方へ動かすのをじっと見つめた。
…やっぱり!!!!
「手ェ、でっかいですね!」
「…は?」
「身長もあるから、もしかしたらって思ったんですけど、手も大きいんですね!」
すごいなぁ、おれより一回り大きい。
おれもこの位大きければ、商店街でこの間やってたコインチョコつかみ取りもいっぱい取れたんですけどねぇ。
ぐわしぐわしと掴む動作をしながらそう告げると、一拍おいた後に昴さんは声を殺して笑い始めた。
「そんな風に言われたのは初めてです。」
「そうですか?」
そうかもなぁ。なんてコーヒーを飲んでいるとバタバタと玄関から走ってくる音が聞こえる。
キッチンに入ってきたのは、コナン君で。
焦ったようにおれたちを見た後、はーーっと大きく息を吐いた。
「また幸一さんがやらかしたかと。」
「ひどいやコナン君!?今日は大丈夫だよ!」
「今日は、なんですね。」
三人でしばしコーヒーブレイクを楽しんだ後、おれは目的の掃除の為、席を外した。
いくら居候でも、二人の寝室はおれが守る!!!!
勢いよく窓を開けたおれは、屋根の上から鳥が飛び立つ音に驚いて尻餅をつくことになる。
ドンッ
「幸一さん…落ち着きねぇなぁ。」
「それはボウヤにも言えると思うが。」
「俺はあんなにドジじゃねーよ。」
それにしても、とコナンはカップを置き、沖矢の方へ向く。
「あの人は唯の一般人だから。」
「警察関係者に友人が多いと聞くが?」
「それだけだよ。」
一般人はビルの上から公安とFBIの方へ飛んできたりしないと思うぞ。
コーヒーを飲むふりをして、沖矢こと赤井はクツリと笑った。
嗚呼、この生活も悪くない。
「灰原哀よ。」
「えっと、あいち」
「灰原よ。」
「…灰原ちゃん。」
おれは何で睨まれてるんだろう。
博士のお家に久々に遊びに来て、最近あそこのパスタ屋さんが美味しいよーなんて、
お土産のケーキを二人でつつきながら穏やかに談笑していたら、足元に綺麗な茶髪の女の子が立っていた。
「おかえり、哀くん。」
「ただいま。……誰、この人。」
「この子は幸一くん。新一のお母さんの従弟じゃ。」
「初めまして、藤峰幸一って言います。よろしくね。」
と、名前を聞いたのが5分前。
その後、電話で急用を思い出した博士が、おれたちを置いて外出したのが2分前。
そして、今、推定小学校低学年の少女と気まずい距離感でお互い座っている。
「貴方、本当に工藤くんの親戚なの?」
「え?うん、新ちゃんのお母さんと従姉弟で、えっと、新ちゃんのお母さんのお母さんとおれの母さんが…」
「そこは分かっているわ。」
「あ、そう…?」
ねぇ、皆さん…。
灰原ちゃん、大人っぽくすぎやしませんかね!?
あれ?おれより30位下だよね?????嘘でしょ????
すっかり冷めてしまったコーヒーを飲む。さっきよりも苦い気がしてすぐにのみ込んでしまった。
何か話題を…子ども向けの…怪しくないように…えっと…。
「絵本って最近読んだ?」
「え?」
「おれ、絵本作家なんだ。もしかしたらおれの本読んだことあるかなぁ、なんて。」
おれは自分の携帯で作品の一覧を出して、灰原ちゃんに手渡す。
灰原ちゃんはツンとした表情のまま、画像を見ていたが、ぴた、と動きを止めた。
「読んだことあるのあったかな?」
「…読んだことはないわ。」
そっか、とスマホを受け取ろうとする。
灰原ちゃんはそんなおれにスマホの画面を向けた。
「これ。」
「お姉ちゃんがよく手紙に書いてきたキャラクター。」
それはシンプルなタッチで描かれた女の子のイラストだった。
おれがデビューしたときの。
「もっと下手だったけれど、多分、同じ。」
「その子は、頭が良くて、ちょっともの静か、そして」
怖がりだけど、とても心根が優しい女の子だよ。
そう説明したおれに灰原ちゃんは、そう、とだけ返した。
お姉ちゃんは灰原ちゃんのこと、優しい子だと思ってたんだろうな。
「その本って、」
「うん?」
「…まだ貴方持ってる?」
今度持ってくるね、と言うと、ちょっぴり嬉しそうに笑った。
お姉ちゃんが持ってきてくれたら、そっちにもサインもするよ?なんておどけて言ったら、空気が凍った。
最低だ…。
…なんで、おれ、子持ちじゃない博士の家に灰原ちゃんがいることを察しなかったんだろう。
ごめん、と傷が浅い内に謝罪する。
下げた頭の上から、ふぅ、と息を吐く声が聞こえた。
「ちがうわ。」
「でも、」
「…お姉ちゃんは死んでない。」
えっ、と顔を上げると、やっぱりそう思ってたのねと灰原ちゃんは言った。
いや、そんな仲の良さそうなお姉さんと一緒にいないことと、今の空気が変わったのが、完全にそういう複雑な事情かと…。
もごもごと言いあぐねていると、灰原ちゃんは言葉を選ぶように視線を空に彷徨わせた後、こちらをみて言った。
「今はいないけど…。だけど、また会える。」
そう信じてる。
言い切った灰原ちゃんの表情は、まるで探偵になると改めて優作さんや姉さんたちの前で告げた新ちゃんにそっくりで。
きっとやり遂げる。そう感じた。
しかし、大人っぽいなぁ…新ちゃんに似てるなんて…、あれ?
新ちゃんに似てて?大人っぽくて?博士の家にいる????
なーーんか、憶えがあるような…?
あ。
「もしかして、灰原ちゃん。」
「なに?」
「新ちゃん…コナン君と同じだったりする?」
ガタリと顔を青くして距離をとる灰原ちゃんに、あわてて声をかける。
「あの!ちが!おれ、知ってるから!?大丈夫だから?!」
「………何が、どう、大丈夫なのか説明してほしいのだけれど?」
灰原ちゃん、こわぁい…。
腰に両手をあてこちらを見上げる灰原ちゃんから、最初の時とは違うプレッシャーを感じる。
しかし、どう説明したらいいんだろう。
ヘルプ、呼ぶか。
幸一さんは鋭いけどポンコツだから仕方ない。と、助けとして呼んだコナン君に断言されることになろうとは…。
そんな出会いから幾何か。
「やべ、掃除行ってねぇ。」
幸一ちゃん!新ちゃんだけだと大変だからお掃除ヨロシクね~!ヨロシクね~ねぇ~ねぇ…
有希子姉さんの声がリフレインする。
優作さんと有希子姉さんは度々海外に出ており、ここ数年は海外での仕事が多く、なかなか帰ってこない。
いくら将来の嫁とは云えど、何度も蘭ちゃんに掃除させるわけがなく。
いつも使うところは新ちゃんが、あまり使わない書庫や姉さんたちの寝室はおれが掃除することになった。
と、いっても換気して埃をはらう位だから、大した労働でもないし。
しっかし、夫婦の寝室を頼むって、信頼されてるというのか、上手く使われているというのか。
くそー、この間博士んとこ行ったついでに掃除してくればよかったな。
軍手や雑巾をビニール袋に、帰りに買い物するからあと財布をポッケに突っ込み、工藤家へ向かう。
あ、灰原ちゃんたちに何か買っていけば良かったかな?なんて、思いながら合鍵を回す。
ガチャ
バタン
「んん誰ぇぇえ???!!!」
扉を開けたら、明るい髪色の男性が鍋をミトンで持ってキッチンの方から出てきたところだった。
驚いて閉めた。
恐る恐る腰が引けたまま、もう一度開けてみると真っ暗。
あれ?見間違いかな、と一瞬思ったが、あ、これ黒い布だ。
上から声がかかる。
「何方ですか?」
「びゃう」
それはそれは情けない声を出して、おれは気が付いたら阿笠宅のリビングに倒れ伏していた。
灰原ちゃんがコーヒー片手に歩み寄ってくる。
そこは、どうしたの!?と駆け寄ってくるところでは…?
「貴方、何してるの?」
「新ちゃん家に誰かいたぁ…。」
「情けない声出さないの。」
それって、昴さんのことじゃない。
灰原ちゃんの声と重なるようにチャイムが鳴る。
は、灰原ちゃん!隠れないと!とキョロキョロ見回している間に、灰原ちゃんは玄関へ向かっていってしまった。
慌てて追いかけるとそこには先程の男性。
「貴方も江戸川君も、この人に説明するの忘れてたでしょ。」
怖がってるわよ、彼。
「それはすみません。すっかり失念してました。」
眼鏡の奥でうっすら笑う男性の手には、先程と同じ鍋が抱えられていた。
鍋持ってる?!怖い!?
若干錯乱しているおれを灰原ちゃんは男性の方へ押しやり、
今からサッカーの試合を見るから邪魔。とさっさと鍋を受け取って扉を閉じてしまった。
残されたミトンを装備した男性と雑巾を握りしめたままのおれ。
「あの、」
「は、はいっ!」
コーヒーでいいですか?
ミトンを外しながらそう尋ねてきた男性に、首を縦に振るしかなかった。
何でおれが飲みに行く前提なんだろう…。
「沖矢…昴さん…。」
「ええ。大学院生で、工藤さんのご厚意で居候させていただいていまして。」
「そうだったんですね。」
知らなかった…言っておいて欲しかった…特に新ちゃん。
おれは藤峰幸一です。と握手を交わす。
握った手に思わず視線を落としてしまった。
「…何か?」
「あの、その手…。」
昴さんが黙って左手をジャケットの方へ動かすのをじっと見つめた。
…やっぱり!!!!
「手ェ、でっかいですね!」
「…は?」
「身長もあるから、もしかしたらって思ったんですけど、手も大きいんですね!」
すごいなぁ、おれより一回り大きい。
おれもこの位大きければ、商店街でこの間やってたコインチョコつかみ取りもいっぱい取れたんですけどねぇ。
ぐわしぐわしと掴む動作をしながらそう告げると、一拍おいた後に昴さんは声を殺して笑い始めた。
「そんな風に言われたのは初めてです。」
「そうですか?」
そうかもなぁ。なんてコーヒーを飲んでいるとバタバタと玄関から走ってくる音が聞こえる。
キッチンに入ってきたのは、コナン君で。
焦ったようにおれたちを見た後、はーーっと大きく息を吐いた。
「また幸一さんがやらかしたかと。」
「ひどいやコナン君!?今日は大丈夫だよ!」
「今日は、なんですね。」
三人でしばしコーヒーブレイクを楽しんだ後、おれは目的の掃除の為、席を外した。
いくら居候でも、二人の寝室はおれが守る!!!!
勢いよく窓を開けたおれは、屋根の上から鳥が飛び立つ音に驚いて尻餅をつくことになる。
ドンッ
「幸一さん…落ち着きねぇなぁ。」
「それはボウヤにも言えると思うが。」
「俺はあんなにドジじゃねーよ。」
それにしても、とコナンはカップを置き、沖矢の方へ向く。
「あの人は唯の一般人だから。」
「警察関係者に友人が多いと聞くが?」
「それだけだよ。」
一般人はビルの上から公安とFBIの方へ飛んできたりしないと思うぞ。
コーヒーを飲むふりをして、沖矢こと赤井はクツリと笑った。
嗚呼、この生活も悪くない。