【銀魂】その隊士は真面目である
夢小説設定
銀さんと別れ、俺はあの色々有名な真選組の門前に立っていた。
いくら色々言われていようと、真選組は国の中心の江戸を守る要の武装警察だ。
大きなこの門の向こうが、その真選組の屯所で。
しかも今日から俺の新しい職場か、と思うとついつい興奮して目を輝かせてしまうのも仕方がない…よな?
今の俺を誰かが見たら、真選組に憧れて上京してきた田舎者に見えたことだろう。
まぁ、「憧れて」以外はほぼ合っているのだけれども。ほぼ転勤だし。
「えーと…入っていい、んですかね?」
……なんでか知らないけど、門の近くには人っ子一人もいない。
普通、こういう所って見張りみたいな人がいるような気がするんだが。
「ま、いいけど。…お、おじゃましまーす…。」
一歩。
二歩。
三歩。
四歩目に入ろうとしたとき、ガチャリという金属音が背後で鳴った。
ギギギとぎこちなく後ろを振り返ると、どす黒い笑みを浮かべた青年が、俺にバズーカを構えて立っていた。
…バッ、バズーカ!?
「のこのこ屯所に入ってくるなんざ、てめーどこの攘夷志士でィ。」
ええと、師匠…もう帰りたいです…。
そう現実逃避をしても、背中に感じる金属の感触は離れてくれない。
銃口…しっかり俺を捉えてらっしゃいますね…。
「えっ、ちょ、誤解です!違います、そういうのじゃないです!」
「分かってるって、ドリー。いつもお前はそうやって誤魔化してるけど、本当はテロリストなんだってな。」
「全然分かってないし、つかドリーって誰!?」
あわてて誤解を解こうとするも、青年は俺に向かってバズーカを今にも撃ちそうな勢いだ。
穏便に済ませたかったんだが、仕方がないか。
俺も撃たれたくはないしな。
「だから、危ないですって、ば!」
「ちっ!」
青年の目の前で急にしゃがみ、相手の一瞬の隙を狙い、バズーカごと蹴り飛ばす。
よろける青年から急いで間合いをとる。
そこで息つこうとした瞬間、視界の端でギラリと反射した何かを、思わず短刀で受け止める。
辺りに鋭く金属同士がぶつかり合う音が響いた。
手元を見ると、俺が短刀で受け止めていたのは刀だった。
しかも持ち主を見ると、刀以上に目がギラギラしてやがる。
つか、瞳孔開いてるよ!何この人、怖い!
「ヒィ!殺す気ですか!?」
「攘夷志士なんだからあたりめぇだろ。」
「違いますって!俺は攘夷志士じゃないです!!」
「はぁ?総悟、テメェ、どういうこと…」
「油断大敵ですぜィ。」
「「どぉわああ!!」」
鯉口を切る音に、本能的に間合いをとると、
俺と怖い人の間に、青年の真剣が振り下ろされた。
え。地面、抉れてまっせ???
「なななな、仲間ごと斬る気ですか!?」
「てめぇ総悟!!俺ごと斬るつもりだったな!?」
「いやですぜィ、土方さん。俺はいつでも下克上したい気ムンムンですぜ。」
「ムンムンって何だ、満々だろうが!?」
青年と怖い人は、バチバチと漫画のように火花を散らしている。
俺は一歩引いた。が、気づいた様子はない。
……逃げよう。やっぱり俺に真選組なんて無理だったんだ。
師匠も事情を説明すればきっと何とかしてくれるに違いない。
そうだ、そうしよう。
「お、お邪魔しました!!」
「あ、待て!!」
怖い人が叫ぶが、無視して走り出す。
入り口は二人で塞がっていたから、多分有るであろう裏門を目指すことにした。
しかし、急いで走るあまり、曲がり角の先に人がいることに気づかずぶつかってしまった。
しかも、相手が体幹が良いのか、俺は思いっきり筋肉に弾き飛ばされ、地面に転がった。
「うう…す、すみません…。」
「いてて…ん?君は誰だ?」
「はい!大和旅館から来た山崎と…ってやばい!!」
「え?もしかして…。」
背後から二つの殺気!
やばい、さっきの人たちだ!
思いっきりぶつかったせいで、荷物も散乱してるしまだ身体が痛い。
「てめーここにいやがった…って近藤さんっ!ちょ、総悟待て!」
「くらえーおれのーきゅうきょくばずーかぁー!」
「「はっ?」」
屋根を見上げると、いつの間に登ったのかさっきの青年がいて、こちらにバズーカを撃ってきていた。
もう一度言う。こちらにバズーカを撃ってきていた。
…まじか!?こっちには俺以外にも人がいるっていうのに正気かよ?!
周りは池や生け垣に囲まれ、逃げる時間は無いか…仕方ない。
「屈んでください!」
「えっ…?」
俺はそれだけ伝えて、弾に向かって短刀を構えた。
大事なのはタイミングとセンスだって、師匠も言ってたのを思いだせ。
女は度胸…女は度胸…泣きそう…。
…今!
「どぉおおりゃあ!!」
俺は叫びながら、バズーカの弾を誰もいない方向の空へ打ち返した。
弾は甲高い金属音をたてて、空へと飛んでいき、そして爆発した。
「…ふぅ。」
俺は弾の破片が飛び散るのを眺めながら、息を吐いた。
そして、先程の青年と怖い人と男の人が俺を取り囲んでいるのに気が付いた。
青年と男の人は俺の事をキラキラした目で見ているが、一方怖い人はライオンも逃げ出しそうな睨みを利かせていた。
…師匠…俺…帰りたいですぅ。
その日の夜、俺は師匠に電話をしていた。
『…だーっはっは!初日から面白ェことになってんじゃねーか。』
「面白くないです!その後も大変だったんですよ!」
あの後、応接室に通された俺は局長に何度も謝られた。
なんと、ぶつかってしまった男の人は真選組局長だったのだ。
自分の部下が迷惑をかけたと何度も頭を下げてきたので、なんだか申し訳なかった。
俺が本当に謝ってほしかったのは、あのこっちの話を全く聞かない二人だったんだけどね!!
怖い人、ちなみに副長だった、はギラギラした目で睨み付けるだけでムスッとしてたし、
青年、ちなみに一番隊隊長は、さっきの出来事なんて忘れたようにいい笑顔だった。
怖いよー、いろんな意味で新しい職場に不安しかないよー。
『でもまぁ、いい印象ついたんじゃねーか?』
「まさか。攘夷志士だと思われたんですよ?」
『それじゃなくて、俺のコネで入った女子隊士じゃねぇってことは伝わったんだろ?』
「…まぁ、それはそうですけど…。」
夕方の集会で俺のことが紹介されたのだが、皆、昼間の事件は耳にしていたらしく、挨拶と同時に質問攻め。
昼の事情を説明し、事実だと言うと、尊敬の眼差しを受けた。
あの二人を相手に逃げ回るなんて、相当実力がないと無理だから、だそうだ。
正直、女だからともっと馬鹿にされるかと思っていたので驚いた。
まぁ中にはまだ馬鹿にしている人もいるが。
『そういえば、オメーの兄ちゃんはどうだったよ?』
「あれ?知ってたんですか?」
『まっつぁんから聞いてたんだよ。』
ちなみにまっつぁんとは、松平片栗虎警察庁長官のことだ。
よく、事件や部下の話や娘の話を聞かされるらしい。守秘義務はどうした警察。
「なるほど。…兄さんとはさっきまで話をしてましたよ。」
それはそう、紹介された後に先輩たちからもみくちゃにされている時だった。
俺は気づかなかったが、今帰ってきた隊士がいるらしい。
挨拶しないと、と思ったのは社会人として当然だと思う。
横で誰かがその人も同じ「山崎」なのだと教えてくれた。
…ん?山崎???
「ほら、コイツが山崎だよ。新人山崎。」
そういわれて振り向くと、「山崎」がいた。
そう、俺と同じ山崎だ。
「あえ!?兄さん!?久しぶり??」
「嘘!?疾風!!何でここに?!」
「「「……えええええ!!!!」」」
皆さん気づいているとは思うが、俺、山崎疾風は、山崎退の妹です!
幼い頃は家族全員で暮らしていたが、俺が師匠の元に奉公にいってからは、
手紙でやり取りはしていても、なかなか会う機会もなくおおよそ二年ぶりぐらいだ。
江戸で働いていると言っていたから、落ち着いたら連絡しようとは思ってたけど、まさか真選組とは。
俺たちが兄妹であると分かると、似てるだどうだで大盛り上がりになり、最終的に副長のお叱りバズーカで解散(物理)となった。
「…てな感じです。」
『そうか、元気そうでよかったな。』
「はい!…また何かあったら電話します。」
『おう。おやすみ。』
電話の通話停止音を聞いて、電源を落とす。
夜の部屋は静かで、昼間の大騒ぎとは段違いだ。
ちなみに部屋は、丁度空室だった兄さんの隣の部屋を与えられている。
屯所以外にも社宅があるらしいが、俺は職場と住居が近い方がいいからこちらのが都合が良い。
しかし、部屋の真ん中に客人用の布団を敷いているが、周りには段ボールが山積み。
誰だ…この部屋を物置代わりにしていたやつは…。
やや不安定さを感じる積み方に、片付けずに寝ることへの不安を覚えるが…しかし眠い。
……もういいや、明日やろう。
今日はともかく、
「おやすみなさい。」
いくら色々言われていようと、真選組は国の中心の江戸を守る要の武装警察だ。
大きなこの門の向こうが、その真選組の屯所で。
しかも今日から俺の新しい職場か、と思うとついつい興奮して目を輝かせてしまうのも仕方がない…よな?
今の俺を誰かが見たら、真選組に憧れて上京してきた田舎者に見えたことだろう。
まぁ、「憧れて」以外はほぼ合っているのだけれども。ほぼ転勤だし。
「えーと…入っていい、んですかね?」
……なんでか知らないけど、門の近くには人っ子一人もいない。
普通、こういう所って見張りみたいな人がいるような気がするんだが。
「ま、いいけど。…お、おじゃましまーす…。」
一歩。
二歩。
三歩。
四歩目に入ろうとしたとき、ガチャリという金属音が背後で鳴った。
ギギギとぎこちなく後ろを振り返ると、どす黒い笑みを浮かべた青年が、俺にバズーカを構えて立っていた。
…バッ、バズーカ!?
「のこのこ屯所に入ってくるなんざ、てめーどこの攘夷志士でィ。」
ええと、師匠…もう帰りたいです…。
そう現実逃避をしても、背中に感じる金属の感触は離れてくれない。
銃口…しっかり俺を捉えてらっしゃいますね…。
「えっ、ちょ、誤解です!違います、そういうのじゃないです!」
「分かってるって、ドリー。いつもお前はそうやって誤魔化してるけど、本当はテロリストなんだってな。」
「全然分かってないし、つかドリーって誰!?」
あわてて誤解を解こうとするも、青年は俺に向かってバズーカを今にも撃ちそうな勢いだ。
穏便に済ませたかったんだが、仕方がないか。
俺も撃たれたくはないしな。
「だから、危ないですって、ば!」
「ちっ!」
青年の目の前で急にしゃがみ、相手の一瞬の隙を狙い、バズーカごと蹴り飛ばす。
よろける青年から急いで間合いをとる。
そこで息つこうとした瞬間、視界の端でギラリと反射した何かを、思わず短刀で受け止める。
辺りに鋭く金属同士がぶつかり合う音が響いた。
手元を見ると、俺が短刀で受け止めていたのは刀だった。
しかも持ち主を見ると、刀以上に目がギラギラしてやがる。
つか、瞳孔開いてるよ!何この人、怖い!
「ヒィ!殺す気ですか!?」
「攘夷志士なんだからあたりめぇだろ。」
「違いますって!俺は攘夷志士じゃないです!!」
「はぁ?総悟、テメェ、どういうこと…」
「油断大敵ですぜィ。」
「「どぉわああ!!」」
鯉口を切る音に、本能的に間合いをとると、
俺と怖い人の間に、青年の真剣が振り下ろされた。
え。地面、抉れてまっせ???
「なななな、仲間ごと斬る気ですか!?」
「てめぇ総悟!!俺ごと斬るつもりだったな!?」
「いやですぜィ、土方さん。俺はいつでも下克上したい気ムンムンですぜ。」
「ムンムンって何だ、満々だろうが!?」
青年と怖い人は、バチバチと漫画のように火花を散らしている。
俺は一歩引いた。が、気づいた様子はない。
……逃げよう。やっぱり俺に真選組なんて無理だったんだ。
師匠も事情を説明すればきっと何とかしてくれるに違いない。
そうだ、そうしよう。
「お、お邪魔しました!!」
「あ、待て!!」
怖い人が叫ぶが、無視して走り出す。
入り口は二人で塞がっていたから、多分有るであろう裏門を目指すことにした。
しかし、急いで走るあまり、曲がり角の先に人がいることに気づかずぶつかってしまった。
しかも、相手が体幹が良いのか、俺は思いっきり筋肉に弾き飛ばされ、地面に転がった。
「うう…す、すみません…。」
「いてて…ん?君は誰だ?」
「はい!大和旅館から来た山崎と…ってやばい!!」
「え?もしかして…。」
背後から二つの殺気!
やばい、さっきの人たちだ!
思いっきりぶつかったせいで、荷物も散乱してるしまだ身体が痛い。
「てめーここにいやがった…って近藤さんっ!ちょ、総悟待て!」
「くらえーおれのーきゅうきょくばずーかぁー!」
「「はっ?」」
屋根を見上げると、いつの間に登ったのかさっきの青年がいて、こちらにバズーカを撃ってきていた。
もう一度言う。こちらにバズーカを撃ってきていた。
…まじか!?こっちには俺以外にも人がいるっていうのに正気かよ?!
周りは池や生け垣に囲まれ、逃げる時間は無いか…仕方ない。
「屈んでください!」
「えっ…?」
俺はそれだけ伝えて、弾に向かって短刀を構えた。
大事なのはタイミングとセンスだって、師匠も言ってたのを思いだせ。
女は度胸…女は度胸…泣きそう…。
…今!
「どぉおおりゃあ!!」
俺は叫びながら、バズーカの弾を誰もいない方向の空へ打ち返した。
弾は甲高い金属音をたてて、空へと飛んでいき、そして爆発した。
「…ふぅ。」
俺は弾の破片が飛び散るのを眺めながら、息を吐いた。
そして、先程の青年と怖い人と男の人が俺を取り囲んでいるのに気が付いた。
青年と男の人は俺の事をキラキラした目で見ているが、一方怖い人はライオンも逃げ出しそうな睨みを利かせていた。
…師匠…俺…帰りたいですぅ。
その日の夜、俺は師匠に電話をしていた。
『…だーっはっは!初日から面白ェことになってんじゃねーか。』
「面白くないです!その後も大変だったんですよ!」
あの後、応接室に通された俺は局長に何度も謝られた。
なんと、ぶつかってしまった男の人は真選組局長だったのだ。
自分の部下が迷惑をかけたと何度も頭を下げてきたので、なんだか申し訳なかった。
俺が本当に謝ってほしかったのは、あのこっちの話を全く聞かない二人だったんだけどね!!
怖い人、ちなみに副長だった、はギラギラした目で睨み付けるだけでムスッとしてたし、
青年、ちなみに一番隊隊長は、さっきの出来事なんて忘れたようにいい笑顔だった。
怖いよー、いろんな意味で新しい職場に不安しかないよー。
『でもまぁ、いい印象ついたんじゃねーか?』
「まさか。攘夷志士だと思われたんですよ?」
『それじゃなくて、俺のコネで入った女子隊士じゃねぇってことは伝わったんだろ?』
「…まぁ、それはそうですけど…。」
夕方の集会で俺のことが紹介されたのだが、皆、昼間の事件は耳にしていたらしく、挨拶と同時に質問攻め。
昼の事情を説明し、事実だと言うと、尊敬の眼差しを受けた。
あの二人を相手に逃げ回るなんて、相当実力がないと無理だから、だそうだ。
正直、女だからともっと馬鹿にされるかと思っていたので驚いた。
まぁ中にはまだ馬鹿にしている人もいるが。
『そういえば、オメーの兄ちゃんはどうだったよ?』
「あれ?知ってたんですか?」
『まっつぁんから聞いてたんだよ。』
ちなみにまっつぁんとは、松平片栗虎警察庁長官のことだ。
よく、事件や部下の話や娘の話を聞かされるらしい。守秘義務はどうした警察。
「なるほど。…兄さんとはさっきまで話をしてましたよ。」
それはそう、紹介された後に先輩たちからもみくちゃにされている時だった。
俺は気づかなかったが、今帰ってきた隊士がいるらしい。
挨拶しないと、と思ったのは社会人として当然だと思う。
横で誰かがその人も同じ「山崎」なのだと教えてくれた。
…ん?山崎???
「ほら、コイツが山崎だよ。新人山崎。」
そういわれて振り向くと、「山崎」がいた。
そう、俺と同じ山崎だ。
「あえ!?兄さん!?久しぶり??」
「嘘!?疾風!!何でここに?!」
「「「……えええええ!!!!」」」
皆さん気づいているとは思うが、俺、山崎疾風は、山崎退の妹です!
幼い頃は家族全員で暮らしていたが、俺が師匠の元に奉公にいってからは、
手紙でやり取りはしていても、なかなか会う機会もなくおおよそ二年ぶりぐらいだ。
江戸で働いていると言っていたから、落ち着いたら連絡しようとは思ってたけど、まさか真選組とは。
俺たちが兄妹であると分かると、似てるだどうだで大盛り上がりになり、最終的に副長のお叱りバズーカで解散(物理)となった。
「…てな感じです。」
『そうか、元気そうでよかったな。』
「はい!…また何かあったら電話します。」
『おう。おやすみ。』
電話の通話停止音を聞いて、電源を落とす。
夜の部屋は静かで、昼間の大騒ぎとは段違いだ。
ちなみに部屋は、丁度空室だった兄さんの隣の部屋を与えられている。
屯所以外にも社宅があるらしいが、俺は職場と住居が近い方がいいからこちらのが都合が良い。
しかし、部屋の真ん中に客人用の布団を敷いているが、周りには段ボールが山積み。
誰だ…この部屋を物置代わりにしていたやつは…。
やや不安定さを感じる積み方に、片付けずに寝ることへの不安を覚えるが…しかし眠い。
……もういいや、明日やろう。
今日はともかく、
「おやすみなさい。」