梓
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いつもとは違うスーツに身を包んで、琉生に簡単な髪のセットをしてもらう。
今日は結婚式に参列するから、いつもよりも着飾っているけど…何となく落ち着かない。
「梓〜そろそろ行くの〜?」
「うん、二次会は出ないから…夕飯は食べるって京兄に伝えてくれる?」
「オッケー☆」
「じゃあ行ってくるね」
「梓」
さっきまでの声とは打って変わって、少し低い声で真剣な表情の椿に少し嫌な予感がする。
「今日は一緒に寝ようぜ!」
「!……しょうがないな」
すぐにいつもの笑顔に戻る椿に、少しだけホッとしつつも…その優しさが痛くて、嬉しかった。
風の強い晴れた日、当時高校生だった僕は珍しく一人で出かけていた。
最寄駅の近くにある書店で、自分好みそうないかにもマイナーな小説を手に撮ろうとした時、柔らかな感触があった。
「あっごめんなさい!」
「いや、こちらこそ…」
僕と同じ制服に身を包む彼女は、取ろうとしていた本を差し出した。
反射的に受け取ってしまったけれど、彼女もこれが欲しかったのではなかったのかと思い、顔を上げる。
「いいんですか?」
「貴方の方が先でしたから、お気になさらず…どうぞ」
そう言って微笑む彼女を見て、時間が止まったように思えた。
艶めく黒髪、透き通る琥珀色の瞳に目を奪われた。
一目惚れなんか馬鹿馬鹿しいと、そう思っていたのに。
「…良ければ、学校同じみたいなので…貸しましょうか」
「いいんですか!?」
このまま彼女と別れるのが惜しいように思えて、僕は気がついたら口に出していた。
その言葉に彼女は思いの外食いついて、前のめりに聞いてきた。
了承の言葉にまた彼女は顔を綻ばせるが、その笑顔は先ほどの微笑みとは比べものにならない満面の笑みだった。
恥ずかしいけれど、あの時は本当に天使だと思っていたんだ。…まだ高校生だったからね。
あの後、彼女は同じ学校で椿と同じで僕の隣のクラスである事を知った。
翌日、僕のいる教室にやってきて本を差し出してきた。
「これって…!」
「昨日の本が好きなら、これも好きだと思って…良かったら」
そう言って照れくさいといった風にはにかむ彼女に、また胸躍らせた。
本の趣味が合う僕と彼女が仲良くなるにはそう時間がかからなかったし、必然的に椿とも仲良くなって3人でいることが多くなった。
そして彼女を好きになるのも、好きだと気付くのも、時間がかからなかった。
でも、僕は高校を卒業しても…今になっても、彼女に想いを告げることは無かった。
「あの時、言えてたら…なんてもう遅いのにね」
僕は、あの時の青い春に、この想いを手放したと思ったのに。
それはフリで、ちっとも振り切れてなんかしなかったんだ。
変わらない純白の君に、おめでとうを
(愛の言葉は、僕の胸の中で永遠に燻って)
今日は結婚式に参列するから、いつもよりも着飾っているけど…何となく落ち着かない。
「梓〜そろそろ行くの〜?」
「うん、二次会は出ないから…夕飯は食べるって京兄に伝えてくれる?」
「オッケー☆」
「じゃあ行ってくるね」
「梓」
さっきまでの声とは打って変わって、少し低い声で真剣な表情の椿に少し嫌な予感がする。
「今日は一緒に寝ようぜ!」
「!……しょうがないな」
すぐにいつもの笑顔に戻る椿に、少しだけホッとしつつも…その優しさが痛くて、嬉しかった。
風の強い晴れた日、当時高校生だった僕は珍しく一人で出かけていた。
最寄駅の近くにある書店で、自分好みそうないかにもマイナーな小説を手に撮ろうとした時、柔らかな感触があった。
「あっごめんなさい!」
「いや、こちらこそ…」
僕と同じ制服に身を包む彼女は、取ろうとしていた本を差し出した。
反射的に受け取ってしまったけれど、彼女もこれが欲しかったのではなかったのかと思い、顔を上げる。
「いいんですか?」
「貴方の方が先でしたから、お気になさらず…どうぞ」
そう言って微笑む彼女を見て、時間が止まったように思えた。
艶めく黒髪、透き通る琥珀色の瞳に目を奪われた。
一目惚れなんか馬鹿馬鹿しいと、そう思っていたのに。
「…良ければ、学校同じみたいなので…貸しましょうか」
「いいんですか!?」
このまま彼女と別れるのが惜しいように思えて、僕は気がついたら口に出していた。
その言葉に彼女は思いの外食いついて、前のめりに聞いてきた。
了承の言葉にまた彼女は顔を綻ばせるが、その笑顔は先ほどの微笑みとは比べものにならない満面の笑みだった。
恥ずかしいけれど、あの時は本当に天使だと思っていたんだ。…まだ高校生だったからね。
あの後、彼女は同じ学校で椿と同じで僕の隣のクラスである事を知った。
翌日、僕のいる教室にやってきて本を差し出してきた。
「これって…!」
「昨日の本が好きなら、これも好きだと思って…良かったら」
そう言って照れくさいといった風にはにかむ彼女に、また胸躍らせた。
本の趣味が合う僕と彼女が仲良くなるにはそう時間がかからなかったし、必然的に椿とも仲良くなって3人でいることが多くなった。
そして彼女を好きになるのも、好きだと気付くのも、時間がかからなかった。
でも、僕は高校を卒業しても…今になっても、彼女に想いを告げることは無かった。
「あの時、言えてたら…なんてもう遅いのにね」
僕は、あの時の青い春に、この想いを手放したと思ったのに。
それはフリで、ちっとも振り切れてなんかしなかったんだ。
変わらない純白の君に、おめでとうを
(愛の言葉は、僕の胸の中で永遠に燻って)