出会いの季節
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「そんで?どこ行くんですか要お兄さん?」
「何その呼び方、新鮮だねぇ〜」
「…」
「そんな顔しないで、本当に楽しいところだよ」
仕事をしようとしたところを、要に誘われた奈菜は言われるがまま要の車に乗り込んでいた。
「かなにいの車乗るの、久々だな」
「そういえばそうだね、なぁちゃん仕事は家で出来るし、出かけるのも電車とかだもんねぇ」
「まぁこの年にもなって休みに家族とわざわざ出かけたりしないし」
「そんなこと言わないで、俺ならいつでも大歓迎だよ?」
「遠慮しまーす」
「酷いなぁ」
くだらない会話を続けているうちに、目的の場所に着いたようで車が止まる。
「何ここ?」
「この前檀家さんに教えてもらったんだ、なぁちゃんワイン好きでしょ?」
「…うん、好き」
「結構穴場な店らしくってさ、奈菜と行きたかったんだ」
「へぇ〜」
檀家という言葉に奈菜は一瞬顔を苦痛に歪めたが、要がそれに気づく事は無かった。
もちろん、後ろで組んだ手を強く握りしめていることも。
「どうぞお座りください、レディー?」
「…様になるから、腹立つ」
「褒め言葉どうもありがと」
「褒めてないから」
「今夜もレディーは手厳しいな」
席は個室になっており、綺麗な星空のカーテンで仕切られていた。
オーダーを要に任せて、薄暗くも雰囲気の良い室内を見渡した。
「気に入ってくれた?」
「…嫌いじゃないかな」
「素直じゃないんだから」
オーダーしたワインと料理が届いて、グラスを合わせて飲む。
「…美味しい」
「だね、美味しいワインに可愛い女の子…俺、酔っぱらっちゃいそう」
「…本当冗談ばっかり、私よりお酒強いの知ってるんだけど」
「あれ、そうだっけ?」
『可愛い女の子』と言われて少し早くなる鼓動を無視する。
平常心を装って返すと、余裕綽々におどけて見せる要に何だか腹が立って、奈菜はグラスを煽った。
「なぁちゃんいくねぇ」
「こうなったらかなにいのお財布をすっからかんにしてやる」
「ちょっ、それは勘弁して」
「やぁ〜だね」
舌を出して意地の悪そうな顔をした奈菜、要にはそれが小悪魔のような可愛らしさに見えて、胸の鼓動が早まったのがわかった。
「全く、困った妹だね」
「………妹、ね」
「… なぁちゃん?」
「…何でもない」
妹という言葉が奈菜の胸に突き刺さる。
たった4文字の言葉が奈菜をずっと苦しめて、家族に縛りつける。
「もう子供じゃないのに、みんなして子供扱いしおって…」
「みんななぁちゃんが可愛いんだよ、初めての女の子だったしね」
「まぁそうなんだけどさぁ」
「京兄なんかもうそれはそれは過保護で、見てて面白かったなぁ」
「なんか簡単に想像つくわそれ」
他愛もない話を続けていると、良い時間になった。
最後のグラスを空にして、ぽそりと奈菜は呟く。
「…それより新しく家族になる子、どんな子かな」
「そうだねぇ、俺は女の子ってだけで嬉しいんだけど」
「…色欲坊主」
「違うよ?俺はただお近づきになりたいだけ」
「はいはい」
何だか胸がざわつくような感覚を感じた奈菜は、胸をおさえた。
今までの心地のいい空間が彼女によって、どんな風に変わるのか。
奈菜は嫌な予感をかき消すように頭を振って、願った。
どうか変わらぬ日常をこの先も
「何その呼び方、新鮮だねぇ〜」
「…」
「そんな顔しないで、本当に楽しいところだよ」
仕事をしようとしたところを、要に誘われた奈菜は言われるがまま要の車に乗り込んでいた。
「かなにいの車乗るの、久々だな」
「そういえばそうだね、なぁちゃん仕事は家で出来るし、出かけるのも電車とかだもんねぇ」
「まぁこの年にもなって休みに家族とわざわざ出かけたりしないし」
「そんなこと言わないで、俺ならいつでも大歓迎だよ?」
「遠慮しまーす」
「酷いなぁ」
くだらない会話を続けているうちに、目的の場所に着いたようで車が止まる。
「何ここ?」
「この前檀家さんに教えてもらったんだ、なぁちゃんワイン好きでしょ?」
「…うん、好き」
「結構穴場な店らしくってさ、奈菜と行きたかったんだ」
「へぇ〜」
檀家という言葉に奈菜は一瞬顔を苦痛に歪めたが、要がそれに気づく事は無かった。
もちろん、後ろで組んだ手を強く握りしめていることも。
「どうぞお座りください、レディー?」
「…様になるから、腹立つ」
「褒め言葉どうもありがと」
「褒めてないから」
「今夜もレディーは手厳しいな」
席は個室になっており、綺麗な星空のカーテンで仕切られていた。
オーダーを要に任せて、薄暗くも雰囲気の良い室内を見渡した。
「気に入ってくれた?」
「…嫌いじゃないかな」
「素直じゃないんだから」
オーダーしたワインと料理が届いて、グラスを合わせて飲む。
「…美味しい」
「だね、美味しいワインに可愛い女の子…俺、酔っぱらっちゃいそう」
「…本当冗談ばっかり、私よりお酒強いの知ってるんだけど」
「あれ、そうだっけ?」
『可愛い女の子』と言われて少し早くなる鼓動を無視する。
平常心を装って返すと、余裕綽々におどけて見せる要に何だか腹が立って、奈菜はグラスを煽った。
「なぁちゃんいくねぇ」
「こうなったらかなにいのお財布をすっからかんにしてやる」
「ちょっ、それは勘弁して」
「やぁ〜だね」
舌を出して意地の悪そうな顔をした奈菜、要にはそれが小悪魔のような可愛らしさに見えて、胸の鼓動が早まったのがわかった。
「全く、困った妹だね」
「………妹、ね」
「… なぁちゃん?」
「…何でもない」
妹という言葉が奈菜の胸に突き刺さる。
たった4文字の言葉が奈菜をずっと苦しめて、家族に縛りつける。
「もう子供じゃないのに、みんなして子供扱いしおって…」
「みんななぁちゃんが可愛いんだよ、初めての女の子だったしね」
「まぁそうなんだけどさぁ」
「京兄なんかもうそれはそれは過保護で、見てて面白かったなぁ」
「なんか簡単に想像つくわそれ」
他愛もない話を続けていると、良い時間になった。
最後のグラスを空にして、ぽそりと奈菜は呟く。
「…それより新しく家族になる子、どんな子かな」
「そうだねぇ、俺は女の子ってだけで嬉しいんだけど」
「…色欲坊主」
「違うよ?俺はただお近づきになりたいだけ」
「はいはい」
何だか胸がざわつくような感覚を感じた奈菜は、胸をおさえた。
今までの心地のいい空間が彼女によって、どんな風に変わるのか。
奈菜は嫌な予感をかき消すように頭を振って、願った。
どうか変わらぬ日常をこの先も