クザン:嫉妬
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「クザン大将、これ…」
任務から帰還し、執務室に向かう途中で聞こえた声。廊下の影で若い女の海兵が四角い包を渡しているのを見て何も気づかないわけが無い。
今日はバレンタインデーだ。
「あら、名無しさんちゃん帰ってたの」
執務室で書類を処理していると、手にたくさんの袋や包を抱えて部屋に入ってくる我が上司。
「クザンさん、書類が溜まってますよ。私が任務に行ってる間何してたんですか、寝てたんですか」
「あ…、いや…その…なんだぁ…」
「寝てたんですね。」
図星だというような表情で困り果てるクザンに言い放つ。
代わりの補佐役もいた筈なのに、と書類を整える。
「ま、まぁそんなカッカしないの。これもらいすぎて俺一人じゃ食べきれないからさ、名無しさんちゃんも食べる?」
「結構です。」
仕事を一段落させて執務室を出る。
私は何に対してこんなに腹を立てているのだろう。
クザンさんが仕事をしてなかったから?
それもある。
でもそれだけではない。クザンさんが抱えていた膨大な数の袋や包。
あれが私をこんな感情にさせたのか。
だからあんなに冷たく彼に当たってしまったのか。
「私だって、用意したのに…」
私が彼と接する機会が多いのは私たちが大将と補佐役の関係であるから。
でもそんな関係を持っていなくとも、彼のことを想う女はどんな手を使ってでも彼との接触を図る。
現に私がいないことを良いことに、たくさんの女海兵が彼に近づいた。彼が食べきれないほどのチョコを渡した。
お互いの距離が近いからと言って安心はできないのだ。
私が頑張らないと、彼がほかの女の手に渡ってしまう。
「そんなの…やだ…」
「何が嫌なの?」
突然後ろからかけられた声に反応して振り向くと、優しい顔をして私を見つめるクザンが立っていた。
「く、クザンさん…」
私の背丈に合わせて屈み、わしゃわしゃと頭を撫でる。まるで私の気持ちが全てわかっているかのように。
「俺はチョコもらったからって気持ちが揺らぐわけじゃないんだわ」
ポケットを漁り、小さな袋を取り出す。
「これ、しっかり受け取ったよ」
「あ…」
それは任務先でクザンのために買ったチョコレートが包んである袋だった。
「あー、これなぁ、俺が今年もらったチョコの中で最高のもんだよ。」
好きな子から貰えたチョコなんだから。
「あーぁ、やっちまったなぁ。」
少しからかうつもりだったのに、完璧に怒らせてしまったかもしれない。
とりあえず機嫌を直してもらおうと、机に置かれた膨大な数の書類と戦うことを決めた。
「さて、やりますか」
と、そこで自分の判子がないことに気づき、机の引き出しを漁る。
「…ん?」
ある引き出しに、小さな袋がぽつんと置かれている。
"クザンさんへ"
と書かれた紙を開けると、突如口元が緩む。
そこにはただ一言
"好きです"
と見慣れた文字で書かれていたのだった。
任務から帰還し、執務室に向かう途中で聞こえた声。廊下の影で若い女の海兵が四角い包を渡しているのを見て何も気づかないわけが無い。
今日はバレンタインデーだ。
「あら、名無しさんちゃん帰ってたの」
執務室で書類を処理していると、手にたくさんの袋や包を抱えて部屋に入ってくる我が上司。
「クザンさん、書類が溜まってますよ。私が任務に行ってる間何してたんですか、寝てたんですか」
「あ…、いや…その…なんだぁ…」
「寝てたんですね。」
図星だというような表情で困り果てるクザンに言い放つ。
代わりの補佐役もいた筈なのに、と書類を整える。
「ま、まぁそんなカッカしないの。これもらいすぎて俺一人じゃ食べきれないからさ、名無しさんちゃんも食べる?」
「結構です。」
仕事を一段落させて執務室を出る。
私は何に対してこんなに腹を立てているのだろう。
クザンさんが仕事をしてなかったから?
それもある。
でもそれだけではない。クザンさんが抱えていた膨大な数の袋や包。
あれが私をこんな感情にさせたのか。
だからあんなに冷たく彼に当たってしまったのか。
「私だって、用意したのに…」
私が彼と接する機会が多いのは私たちが大将と補佐役の関係であるから。
でもそんな関係を持っていなくとも、彼のことを想う女はどんな手を使ってでも彼との接触を図る。
現に私がいないことを良いことに、たくさんの女海兵が彼に近づいた。彼が食べきれないほどのチョコを渡した。
お互いの距離が近いからと言って安心はできないのだ。
私が頑張らないと、彼がほかの女の手に渡ってしまう。
「そんなの…やだ…」
「何が嫌なの?」
突然後ろからかけられた声に反応して振り向くと、優しい顔をして私を見つめるクザンが立っていた。
「く、クザンさん…」
私の背丈に合わせて屈み、わしゃわしゃと頭を撫でる。まるで私の気持ちが全てわかっているかのように。
「俺はチョコもらったからって気持ちが揺らぐわけじゃないんだわ」
ポケットを漁り、小さな袋を取り出す。
「これ、しっかり受け取ったよ」
「あ…」
それは任務先でクザンのために買ったチョコレートが包んである袋だった。
「あー、これなぁ、俺が今年もらったチョコの中で最高のもんだよ。」
好きな子から貰えたチョコなんだから。
「あーぁ、やっちまったなぁ。」
少しからかうつもりだったのに、完璧に怒らせてしまったかもしれない。
とりあえず機嫌を直してもらおうと、机に置かれた膨大な数の書類と戦うことを決めた。
「さて、やりますか」
と、そこで自分の判子がないことに気づき、机の引き出しを漁る。
「…ん?」
ある引き出しに、小さな袋がぽつんと置かれている。
"クザンさんへ"
と書かれた紙を開けると、突如口元が緩む。
そこにはただ一言
"好きです"
と見慣れた文字で書かれていたのだった。