ある日のビッグトップ号でのできごと。

｢おいカバジ。｣

｢はい、なんでしょう｣

カバジの名を呼びながらも視線は少し離れたところで魔女のような仮装をした名無しさんに向けるバギー。

｢あいつは一体何をしてるんだ？｣

他の様々な仮装をしたクルー達とお菓子を交換している名無しさんを見て首を傾げる。

｢バギー船長ご存知ないですか？ハロウィンですよ。｣

｢ハロウィン？｣

視線をカバジに移し、さらに首を傾げる。

｢巷では、ハロウィンの日に仮装をしてお菓子を交換するというイベントが人気だそうで。｣

そんなイベントがあるのか、と思いながら視線をクルー達に戻す。

楽しそうにお菓子の交換をしているクルー達を見ると少し羨ましい。

あんな可愛い魔女っ子にお菓子が欲しいと言われるのだ。喜んで持ってるお菓子を全部やりたい程だ。

深く考え込んでいれば、可愛らしい声で自分の名を呼ばれていることに気づく。

｢トリックオアトリート！お菓子をくれなきゃイタズラしちゃいますよ！｣

おいおい可愛すぎるだろ。俺がお前にイタズラしてぇぐらいだ。

そんなことを思いながらポケットに手を突っ込むとちょうどキャンディが五、六個入っている。

｢しょうがねぇからこれやるよ｣

小さな手にポケットに入っていたキャンディを全部乗せてやると、

｢えっ、こんなにいいんですか？｣

と目を輝かせる名無しさん。

｢お、おぉ…｣

その綺麗な瞳に吸い込まれそうになりながらも平然を装う。

｢え、どうしよう、お返しこれじゃ足りないなぁ…｣

手に持っていた籠から出てきたのはピンクのリボンで綺麗にラッピングされた一つの袋。透明な袋の中には二つのクッキーが見える。

確かにキャンディ五、六個にクッキー二枚じゃ平等にならないが、それでも名無しさんがくれるクッキーならたった一枚でも欲しいところだ。

ふと視線を戻すと難しい顔で固まっている名無しさん。

お返しをどうするか悩んでいるのだろう。そんな顔さえ愛おしい。

そして今日の名無しさんは魔女っ子だ、いつもよりも可愛さが増している。

そう思えば下半身が疼き始める。

そして頭をよぎるのは、

イタズラをしたい

と言う欲望。

そんな欲望の中たどり着いた答えは…

｢そうか、それじゃあ確かに足らねぇなぁ…。

…確かさっきお前お菓子をくれなきゃイタズラするって言ったよな？｣

｢え、あ、はい、言いましたけど…？｣

｢それだけじゃもらったうちに入らねぇ。｣

｢え｣

そう言うや否や、名無しさんを肩に担ぎ自室へ向かう。

｢ば、バギー船長？｣

ニヤリと笑えば、耳元で囁く。

｢ド派手にイタズラしてやるから、覚悟しろよ…？｣



｢…ちょ、や、やだぁぁぁぁぁ！｣




この後滅茶苦茶イタズラした。